「一石二テイクアウト」カーリングの神様 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
一石二テイクアウト
何を隠そうカーリングのファンである。ロコ・ソラーレの北京オリンピックの試合は全試合録画して、何度も見ている(と言うのも、結果は知っていても、試合経過までは覚えていないので)。ゲームの繊細な駆け引きとか、超絶技とかこんなにわくわくする競技もないと思う。
さて、カーリング映画と言えば先行して「シムソンズ」がある。あちらは実話ベースで北海道の常呂町が舞台で、モデルとなったチームは実際オリンピックまで行っている。一方、本作は長野県の御代田町の高校生たちの話で、小学校の時優勝して以来カーリングから遠ざかっているという設定。しかも目標は大会で優勝するとかではなく、エキシビションに出場してロコ・ソラーレに会ってTVに映ることだと言う。映画のプロットとしてあまりにも弱くないか?(みよステラというチーム名もロコ・ソラーレの妹分ロコ・ステラからとったのか)
フィギュアスケーターで役者も兼ねる本田望結が主役だと思っていたら、途中からどちらかと言えば長澤樹演じる新加入のメンバーの方にシフトしていく。始めて半年でダブルテイクアウトとか決めるのはかなりの離れ技だが、まぁ、そんなこともあるかもしれない。本田望結は終始同じような困り顔を浮かべていた。
カーリングの試合のシーンは軽井沢ECとの決勝戦ぐらいで、女子同士でぐちゃぐちゃもめている尺が結構長く、辟易する。決勝戦までどう勝ち抜いてきたのかもわからない。その肝心の試合もクローズアップショットが多く、とびとびなので流れがつかみにくい。もっともカーリングはひと試合3時間くらいかかるので、ていねいに追っていたらそれだけで大作になってしまうが。
最後まで見ると、STU48のMV100分バージョンだったのかという気も。
結論として、カーリングファンとしては、劇映画で見るより実際の試合の方がはるかに面白いと得心した次第。