劇場公開日 2024年8月17日

「世間の常識を超えた映画というより、世間の人の常識や面白いと思うものにぴったり合わせたヒット作という感じがする。」侍タイムスリッパー push6700さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 世間の常識を超えた映画というより、世間の人の常識や面白いと思うものにぴったり合わせたヒット作という感じがする。

2025年11月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

斬新

公開当時『カメラを止めるな!』みたいに低予算で制作された自主映画で、どんどん上映館を増やしているというネット記事を見て、見に行ってみた。
予告編を見たら『カメラを止めるな!』みたいなコメディーなのかと思っていたら全然違っていて、笑いはほとんどない映画だった。
設定はタイムスリップ物ではよくある感じのもので、実際『ちょんまげぷりん』『武士スタント逢坂くん』2作品ほど同様のドラマを見たことがある。
でもその2作品ともコメディーでアイドルを使ったりして、侍が変なことをすることによる笑いと、恋愛が主なテーマだった。
この映画も多少そういうところはあるけれど、設定以外はひたすら現実感を追及していた。
なんとなくNHKでやっていた映画化もされた『タイムスクープハンター』の逆バージョンみたいな感じだった。
笑わせようというより感動させようとしているみたいで、感動するポイントとしてはストーリーもあるけど、一番は主演の山口馬木也 さんの演技力と殺陣の実力かな?
同様のドラマと違ってアイドルではない専業の役者さんだから演技がうまいし、殺陣の実力も相当なもので、会津弁もうまかった。
最初から最後まで本当の侍にしか見えなかった。
普通は未来の世界にきていろいろ大げさに驚いたり失敗したりして笑いをとりたいところなんだけどそういうところはあまりなかった。
「武士は食わねど高楊枝」みたいな感じで(実際のシーンでもあったけど・・・)あまり驚かない、動揺しないところが本物っぽくてよかった。
監督は『カメラを止めるな!」を研究したらしいけど、『カメラを止めるな!』に似ているのはゾンビものと時代劇のようななやりつくされたジャンルをやって、まともにはいかずに楽屋落ちみたいにしているところかな?
直球で勝負するのは厳しいのであえて変化球で勝負している。
でも『カメラを止めるな!』を研究して同様・同レベルのものを作れるというのはすごいとだと思う。
普通は研究しても同様・同レベルのものは作れない。
自分で作ったものでも無理なのに、他人の作ったものを同様・同レベルで再現していくのは不可能に近いと思う。
それに前文で書いた作品の他にもいろいろ思い出した作品がある。
一番思い出したのは撮影所の話ということで『蒲田行進曲』。
特にラストシーンの「階段落ち」はこの映画のラストシーンにも通じるものがあると思う。
あとは朝ドラの『カムカムエブリバディー』とか映画の『太秦ライムライト』。
題名は忘れたけど切られ役がハリウッド映画に出る話もあったと思う。
たぶんそういう作品のオマージュや真似にならないようにいろいろまとめて1本の映画にしたような感じがする。
監督や脚本や照明その他いろいろを全部一人でやっているらしいけど、そういうことを考えても相当器用な人だと思う。
なんでもそうだけど自分のやりたい事しかできない人と、やりたくなくてもなんでもそれなりにできる人がいるけど明らかに後者のタイプ。
自分の面白いと思うことしかできない人というより、世の中の人が面白いと思うことに合わせていけるタイプなのかな?と思った。
この映画は世間の常識を超えて上映館を拡大してヒットしている映画みたいに言われているけど、実は世間の人の常識や面白いと思うものにピッタリ合わせたヒット作という感じがする。

push6700
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