「虚構×虚構=真剣」侍タイムスリッパー にゃろめさんの映画レビュー(感想・評価)
虚構×虚構=真剣
後半までのほほんとした流れでストーリーは進みますが、
ダレるでもなく、コメディ全振りでもなく
淀みなく見られます。
おそらくそれは、登場人物に”悪いヤツ”が
一人もいないから。
そしてそんな流れでも殺陣のシーンだけは
ピシッと緊張感を持って描かれています。
そういう脚本づくりに映画、そして時代劇への
そこはかとない”愛”が感じられます。
いよいよ迫るクライマックス。
侍たちの真剣勝負。(監督も優子殿ももちろん侍)
対峙する二人。
フェードアウトするSE。
シンと静まり返る映画館。
ゾクゾクするような迫力と緊張感。
思っているよりだいぶ長い”間”。
と、同時に私の中に湧き上がる別の意味の緊張感。
「こんなに迫力のあるシーンなのに、
どうかヘンテコなラストにしないでおくれ」
「どうか隣で鑑賞しているオジサン、咳払いとかで
この張り詰めた静寂を乱さないでおくれ」
杞憂でした。
迫力と緊張を維持したままの命の取り合い。
演技か本物の感情か区別ができないほどの二人の侍。
どうやら私は呼吸するのを忘れていたようです。
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