ラストマイルのレビュー・感想・評価
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人間のために作られたシステムが、人間を非人間化していく
11 月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。やがてそれは日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく――。巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、未曾有の事態の収拾にあたる(公式サイトより)。
テレビ人気ドラマ「アンナチュラル」(2018年)、「MIU404」(2020年)の野木亜紀子(脚本)、塚原あゆ子(監督)、新井順子(プロデューサー)が再集結して手掛けた初の映画作品。人気ドラマ2作品が本編と交錯するシェアード・ユニバース・ムービーとして、極上の社会派エンターテインメントに仕上がっている。
舞台となる巨大物流倉庫には、天文学的な個数の荷物を捌くために毎日、大量の作業員が送り込まれ、パソコン画面上の「稼働率」という「データ」に変換されていく。高効率で発送された荷物は、物流業者に大量の発注と「カスタマー・セントリック」と引き換えに、最安値契約による「主従関係」を成立させ、その下請け、孫請けに余波を及ぼす。
「What do you want ?」で煽動された人間の欲望を満たすために、人間が作り上げたシステムに、人間が取り込まれ、非人間的に扱われていく様は極めて現代的であり、映画を愉しむわたしたちひとりひとりも現実に戻ればそのシステムの一部、否、欲望をワンクリックで満たす主因となっていることを突き付ける。
他方、昔の偉い人は、復讐は最も非合理的な行為と言っていた。復習を遂げたとしても失った人・モノ・コトは戻ってこないし、発覚すれば復讐の当事者は裁かれることになる。復讐は他の動物はやらない。その意味において、極めて人間的な営みである。
本編は、こうした非人間的なシステムに人間的な復讐がメインストーリーとして描かれ、その過程でUDIや4機捜が絶妙な塩梅で絡んでくる。シーンから垣間見える後日談的要素はドラマファンには眼福ものだし、ドラマ未視聴でも十分楽しめる。みんな元気で良かったよ。泣ける。
新井順子プロデューサーによると、特に「石原さとみ」「星野源」「綾野剛」は数年先まで仕事が決まっている中でのスケジュール調整だったというが、そうした豪華キャストの中で主演を張る満島ひかりは圧巻である。
思考と発言と行動が絶妙にちぐはぐな役どころを自然に演じ切って、なおかつ、ラストにかけそれらの伏線を全て回収していく力量をみると、野木亜紀子が彼女のために脚本を「為書き」したくなった気持ちも頷ける。わたし個人は「川の底からこんにちは」以来の衝撃であった。ちなみにもうひとつ、わたしは「重力ピエロ」の頃から岡田将生の横顔がなぜか異様に好きなのだが、本作でも広い構内をベンチコートを着て全力で駆け抜ける様子を横から撮るシーンがあり興奮した。
しかし、人間のために作られたシステムが、人間を非人間化していく現象って何なのだろうか。「人生は寄りで撮れば悲劇だが、引きで撮れば喜劇である」とはよく言ったものである、と。
ショウタイム
TVドラマものというと、相棒とか踊る大捜査線のような関係各所の要望を詰め込んでわけのわからんものになってしまうイメージだったが、こちらは思いのほかちゃんとした映画になっていて好感。
気になるのは脇が妙に豪華なことだが、このくらいで済めば全然邪魔にならない。
爆発の仕方も違和感を持たせて回答を用意しているところとか、見る側に疑問を持たせて解決していく造りも納得感があるし非常にわかりやすくてありがたい。
社会問題をテーマにしてるところは目新しさがなく感動もないのだが、物語の構造は良く出来ていると感じた。
個人的に萌えたのは、火野正平と宇野祥平の親子か。
あと満島ひかりの声がキレイ過ぎるところ。
映画化したことに価値があると感じた
最近は本編よりも力を込めたPV詐欺に騙され鑑賞後にガッカリする映画が多い。
この映画は告知と本編の乖離が少なく、ストーリー性やテンポも良く、面白い映画だった。
爆破シーンも予兆を漂わせてくれるので、緊迫感を感じながらも、急な爆発で心臓が疲弊することがなくて良かった。
現実問題として、小売や運送業界で同じような負担を感じている人はいるのだろうなと思った。
この社会問題を映画化したことは、とても価値があると思いました。
あなたはそれが本当に欲しいものですか
ずっと楽しみにしてました。
MIU404もアンナチュラルも観て万全で観に行きました。
感想を簡潔に言うとスカッとはしません。
メイン役は上には上の立場があるのだろうけれど感情移入は私には難しい。
だけど委託された配送に関わる人たちの気持ちは考えさせられる映画でした。
ポチッとするのが当たり前になった時代。
ネットにのせられた情報。
大型セールに便乗した世の中。
私たちはもう一度考えてネット購入をした方がいい。
「あなたはそれが本当に欲しいものですか?」
単純なことかもしれないけれど
自分で買いに行けるものはできるだけ自分の足で買いに行こうと思ったし
対面で配達してもらった時はもっと、もっと感謝を伝えて感謝を言葉にしたい。
いつも雨の日も風の日も配達をしてくれてありがとう。
爆発シーンの迫力には驚き‼️
予告編は何度も見ていたけどあまり関心も無く気にならず鑑賞する予定は無かった。
しかし、割と評価が高いコメントが多いので、観ても良いかな?って乗りで鑑賞。
予告編では爆弾が配送されるダンボール箱に仕掛けられたので物流センターがパニックになる?って感じかな?と思っていたけど、中々、内容が濃く展開が面白い。
物流業界の隠された闇の世界に問題提起する様な内容。
最初の迫力ある爆発シーンとラストの危機までを上手く繋いでいるのが良い。
大人への宿題
気になる作品に出会った時
映画館で見るか、
プライムビデオや金曜ロードショーで放送されたら見るか、悩むことがある。
2,000円という安くは無い金額をかけて、
観劇後、「何を伝えたかったんだ…?」となるのは少々キツい。
そのため、足を運ぶか悩んでしまった時はレビューの星を見ます。
私にとって、ラストマイルは上記とは違い
楽しみで仕方がなかった作品だけど
スクリーンで見るか悩んでいる人に、
「大丈夫だよ!行ってらっしゃい!」と背中を押すことが出来たら…と思い、レビューを書くことにしました。
内容には触れずに、感想を一言。
この作品は、
「もしも」の物語ではなく
「あなたが生きている、今日」の物語であり
「大切な人が生きていける明日」を作る、
その方法を探す宿題。
そう感じる作品でした。
よく食べて、よく寝て、生きよう。
" 生きている限り、負けない "
誇りある仕事と、ない仕事
正直、地上波ドラマから派生して生まれた映画だし、2時間ドラマを多少予算かけて撮ったような作りなんじゃないかな〜と勝手に想像し、失礼ながらそんなに期待はしていませんでした。
しかし実際見てみたらちゃんと独立した作品として成立しており、テーマ性が非常に高く、何よりめちゃくちゃ面白かったです。
まず第一に、序盤から細かい伏線がいくつも登場し、ラストまでにそれが丁寧に回収されていく脚本が見ていて気持ちいい。そして内容もしっかり社会派で重厚なので、鑑賞後もすごく考えさせられました。
色々思うところはありましたが、最も心に残ったのは、『アンナチュラル』『MIU404』という一種の「お仕事ドラマ」と世界観を共有した物語として、あえて今の日本社会で誇りを持てない仕事をすることを強いられている人々の姿を描いている点です。
『アンナチュラル』『MIU404』それぞれの劇中でも法医解剖医や警官が必ずしもホワイトな職場ではないことは言及されてはいましたが、しかし少なくとも彼らの仕事には志や誇りがあります。だからこそ、ドラマ終了後の世界線でも彼らは同じ職場で働いているのでしょう。
一方、ラストマイルで新たに登場するのは、その『志や誇りある仕事』を失った人々ばかりです。
「カスタマーセントリック」がマジックワードだと気づいたエレナは仕事に誇りを持てなくなっていますし、羊急便の八木も、あるいは配達員の佐野も、適正な料金と荷物量で配送を行えていた時代は持てていた誇りを失ってしまっている。あるいは日ノ本電機の倒産により配達員になった佐野の息子も、良い製品を作って売るという誇りある仕事を無くしてしまった人です。
そして厄介なのは、なぜ誇りある仕事が誇りのない仕事に負けてしまうのかと言えば、そのほうが安く、便利で、人間の欲望を最適に満たすから。そしてこの社会はすでにその誇りない仕事ありきで作り上げられてしまっているから、なかなかそれを変えることもできない。
配達員の佐野息子が、誇りある仕事の象徴のような日ノ本電機製のドラム式洗濯乾燥機によって、いわば誇りない仕事を強いる社会への憎悪の具現である爆弾からシングル家庭の親子を守るシーンは、なにか暗示に満ちているようにも思いました。
つまりあの洗濯機が合理性と利益を優先する企業のそこそこの耐久性の製品なら、彼らは助かっていなかった可能性もあるわけなのです。
その時の台詞、「この洗濯機、まだ使えますか」「もう部品もないし、無理ですね」というやり取りからは、古い時代が残してくれた善意はもはや消費され尽くそうとしていて、私たちは今後それのない新たな時代を生きていかなければならないのだということを示唆しているようにも思えました。
この映画の最後、主人公であるエレナは華麗にその志も誇りも持てない仕事から逃亡します。
国内企業である羊急便の場合は、現場の八木の声が直接社長まで届き、終盤に多少は希望のある対応が行われますが、超巨大グローバル企業であるデイリーファスト社の場合はせいぜい日本の現場の声はアジア統括本部長クラスにしか届かず、ストに対してもあくまでそれ以上企業利益を損なわないための焼け石に水のような対応しか行われない。だからもう希望を捨てて逃げるしかない。
そしてあとに残された梨本や五十嵐に待ち受ける未来は恐らく明るくないことを暗示しながら、映画は終わっていきます。
主として現在の通販業界、物流業界が抱える問題を大きく扱った内容とは思いますが、それだけでなく今の社会の歪さ、社会の変革期にあってそれに乗り遅れまいと必死にしがみつき、今にも壊れそうになっている人々の姿がヒリヒリするような切実さを伴って描かれていると思いました。
話題の物流業界
2024問題以降、なにかと話題の業界と言うこともあり、興味深かったです。
アンナチュラルとMIUとのコラボ(?)も両方のドラマのファンだった私には良き。
内容としては想像の範囲、良くも悪くも現実に有りそうな話と言うのが、私的には良かったです。
また満島ひかりさん、可愛らしい小動物系の見た目なのに、いかにも外資に居そうな方だなぁ。と思わせる演技が良かったです。
ただ短期間に再視聴する様な作品では無いかなぁ。
それを持ってラストマイル
私が描く物語と結末が違ったからこそ面白さをより感じた
『予告からは想像できない、多方向からの視点』
『そして連続性を持った事件』
『豪華なキャストを惜しみなく』
という感じ。
ここからは上記感想をpickup
[予告からは想像できない、多方向からの視点]
‘’荷物の爆破の犯人は一体誰’’
結局はどこが主軸だったんだろうって一瞬考えさせられるくらいの視点量
でも結果としていつも瞬時に発送してくれる物流センターや荷物を運んでくださるドライバーさんたちが指定日時に確実に荷物を届けてくれることに感謝しないとなって
[豪華なキャストを惜しみなく]
ただ少し人が多くて頭がパニックだったし、わからない人には誰って感じの人も…。
私もその一人だったけれども、わからなくても面白かった。
から結果由
ただわかったほうがより面白いって思うからこそ、予告に表示されているドラマは予習しておきたかったな。笑
色々考えさせられる作品でした
テレビドラマの延長かなと思って見ましたが、あの巨大倉庫の雰囲気はスクリーンで見て不思議な怖さを体験して頂きたいと思いました。
企業の理念、エレナの『絶対止めない』という凄み…あー、こんな感じでやってる部分あるよなー💦
ちょっとゾワッとしました。
何も思わず利用している通販、物流の実態はこんな感じなんだろうなと、ちゃんと感謝しようと思いました。
ドラマ観てるとより楽しめますね
やっぱりドラマは必見かと思います。面白さ倍増ですね。
個人的には親子3人のエピソードがぐっとくるものがありました。リアルすぎてw
母親の余裕のなさがばんばん伝わり、本当に見ていて泣きそうになりました。
あと、恋愛要素ゼロなのもよかったです。
石原さんの「そんな根性いらない」の言葉、なんか妙に心に残りました。
予想外。
『アンナチュラル』、『MIU404』、『ラストマイル』が合体、野木さん、塚原監督、音楽得田さんで楽しみワクワク!!で鑑賞。
実際は身に詰まされ考えさせられた。
配送のことはもちろん、働き方や色々。
会社ファーストの企業とか、野心ギンギンの思いやりどっか置いてきちゃったヤツとか、
性善説、良い人では裁けないのであろう出来事や、嫌な面も沢山。
そんな中にポツンポツンと入ってくるほっこりエピソードや笑い。緩急ギュンギュン。
脚本、演出の素晴らしさをとても感じた。
嫌な人6:良い人4
て感じ。1人の人で両方の人がほぼ。
そこが正にリアルなんだよなー
満島さんの役は言動がリアルすぎで理解はできるが共感は難しかった。キュートさでかなりマイルドにはなっていた。
鑑賞後の後味は『よかったー、パンフレット買お♪』ではなかった。
ミコトさんとか伊吹くんとか『オォー!』って、その後が垣間見れたり楽しいのだけれど問題提起映画というか、3作品合体楽しみ!だけでは済まないです。
主題歌はそこからちょっと外れた?ところで歌詞から思い出される場面などがありしみた。エンドロールをみながらゆっくり感慨にふけるのはオススメ。
けっこう怖い話
フィクションとはいえ某企業のイメージになってしまいました。
あんな感じで日々派遣や日雇いみたいな人が出社してるんでしょうか。
管理職の苦悩や板ばさみもリアルで切なくなりました。
満島さんの恐怖で泣く演技が上手いと思った。岡田さんもイケメンすぎるけと自然でよかった。アンナチュラルやMIUは差し込まなくてもいい気がしました。
社会派ムービー
物流のことを色々と考えさせられる映画でした。何よりストーリーに引き込まれてドキドキしながらとても楽しく鑑賞しました!!
アンナチュラル、MIU404のキャストの登場も心踊りました!!プライムビデオで見て良かったです。またこのシリーズのドラマや映画が見れるのを楽しみにしてます♪
どんな状況でも懸命に企業を支える者達の苦闘
興味のあるシェアードユニバース方式を採用したヒット作品なので鑑賞した。本作は巨大ショッピングサイトの物流センターを舞台に繰り広げられる社会派サスペンス。配送物の連続爆発事件を主軸に、単なる犯人探しに留まらず、物流業界を多面的に捉え、全てはお客様のためにという企業理念に翻弄される人々の姿を丁寧に描くことで、企業にとって大切なのは何かについて深く考えさせられる作品である。
繁忙期のブラックフライデーが迫ったある日、配送物が次々と爆発し日本中を震撼させる連続爆発事件が発生する。爆発は全て同じ物流センター出荷品であり、センター長に着任したばかりの主人公・船渡エレナ(満島ひかり)とチームマネージャーの梨本孔(岡田将生)は事件解決優先の警察と対峙し配送を止めずに真相を究明しようとするが・・・。
満島ひかりは、台詞回しと目の表情で、只者ではない雰囲気を醸し出している。流石、演技巧者。また満島ひかりと岡田将生の演技の相性が抜群であり、時々刻々激変する事態への対応を巧演している。脚本も難解になりそうな急展開ストーリーを分かり易く捌いている。
連続爆発事件がメインではあるが、繁忙期に配送を止めるなと指示する自社・上層部と警察との板挟みになり葛藤する主人公達の姿、下請け会社やその従業員達の姿などの豊富なサイドストーリーを織り交ぜてテンポ良く上手にまとめている。
シェアードユニバース方式なので、多くはないがアンナチュラル、MIU404両作との絡みはあり両作の雰囲気は楽しめる。また両作とも本作との繫がりは自然なので、両作を観なかった人でも堪能できる。シェアードを名乗るなら両作の出番がもっと欲しい。
主人公は後半、梨本との会話で自社企業理念である、“全てはお客様のために”を連呼する。この言葉に嘘はないが、サイドストーリーで描かれる、どんな状況でも懸命に働く自社、下請け会社の従業員達が企業理念を支えていることを忘れてはなるまい。
観終わって、“企業は人なり”という言葉が心に深く刻まれた。
面白いのにドラマ過去2作の話で本筋がややブレる
最初からテンポが良くて引き込まれました。面白い!
…と思ったのに、過去に放送されたドラマ2作(MIU404とアンナチュラル)も本作に盛り込まれ、そちらの話にもクローズアップするので話が少しブレるように思います。
MIU404は少ししか観ていませんが、アンナチュラルは好きで毎回感涙していました。この2作とも挿入時間がやや長く何回も出てくるので、本筋が3本(アンナチュラル、MIU404 、ラストマイル)あるように感じてしまい、メインの「ラストマイル」に集中しづらく感じました。私は「ラストマイル」を観にきています。
また、山崎祐が飛び降りに追い詰められるほどの背景、および心情描写がもう少しあればと感じました。
***
ここからは自分の疑問になるので、もし考察がおありになる方がいらしたら教えて頂きたいです。
①主人公エレナ(満島ひかり)は「他人がどうなろうと自分には関係ない」と発言しているのに、わざわざワシントンに山崎祐の話をしに来た見ず知らずの他人の筧まりかのために、物流を完全に止めストライキ側に付き、後々辞めることになるような大きなことをしたのはどういうことだったのでしょうか。
②エレナの「知りたいことはロッカーに書いてあったのに!」という叫びも、知りたいこととは要するになんだったのでしょうか。
③アメリカ本社は爆弾事件が起こることを知っていたようなエンディング。筧まりかは山崎祐のことを伝えるためワシントンまで来るという行動力はありましたが、エレナと話していても爆弾事件を起こすようには見えませんでした。大きな会社が、筧まりかという力を持たない1個人のことを、大事件を確実に起こすと思ってわざわざエレナを送り込んだのでしょうか。
④筧まりかがわざわざ男性の戸籍を購入した理由。
同じ性別の戸籍を購入した方がいいですよね。なにか理由は言ってましたでしょうか。
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