「面白いが、疑問が残る」ラストマイル Soraさんの映画レビュー(感想・評価)
面白いが、疑問が残る
切迫した物流現場、物流の羊運輸と販売会社DAIRY FASTとのそれぞれの保身の描写がリアル。
耐熱性の高い洗濯機の伏線回収などはすっきりしたが、一部では疑問が残る。
①最初の爆発物、DAIRY PHONEは発売日に事件発生。セール予告前に購入できない→爆発の被害者が犯人で、手動で爆破した。というシーンでエレナが「1番知りたかった答えはロッカーの中にあったのに!」と言う。どういうこと??
②エレナは福岡からの転勤者ではなく、アメリカ本社から何も知らされずに移動させられてきた人だった。→それなら何故最初に福岡から来たと嘘をついたのか??
③ロッカーの言葉、2.7m/s 70kg→0 は自分の体でベルトコンベアを止めて稼働率を0にする、という意味だけなのか?
①の「答えはロッカーの中に…」を考えると、何が別の意図もある気がする。深読みしすぎ??
最後の爆弾は宅配ボックスに配達済みの荷物だったが、これも皮肉なものだな、と思う。配達の際にたくさんの荷物を抱えながら「宅配ボックスが1箇所しか空いていない」というセリフがあった。みんなが宅配ボックスに荷物を放置することで新たな荷物が入れられず再配達が増えているということを再認識させるための描写だと感じた。
この家族は宅配ボックスに荷物を3日放置したおかげで助かったが、現場の方を思うと本来はこんなに放置するべきではない。
それと、山﨑の描写が少なすぎる。ロッカーで手が震えるシーンなどから、過労で追い込まれて自殺したということはわかる。ただ、仕事中の描写が少なすぎるのでどれだけ過酷な環境だったかが伝わらない。
宅配ボックスに荷物を放置して助かった家族の情報(離婚、誕生日プレゼントなど)は正直要らないので、山﨑の描写が欲しかった。あの家族の描写は視聴者ウケを狙いすぎていると感じてしまった。
総合的には丸く収まったが、後から色々と考えさせられる話。自分自身、荷物が1、2日で届く生活に慣れてしまっているのを痛感した。医療現場などは急ぎかもしれないが、一般家庭では物流現場を圧迫してまで翌日に受け取らないと死ぬような物はない。とはいえネットは便利なので、とにかく再配達を減らすように努めるのが我々のできることだと思う。