「ロッカーの数式・人命より利益を優先する人間の恐ろしさ」ラストマイル ayakaさんの映画レビュー(感想・評価)
ロッカーの数式・人命より利益を優先する人間の恐ろしさ
主演の満島ひかり、岡田将生をメインにMIUやアンナチュラルのキャストも加わり、めちゃくちゃ豪華な映画でした。
爆発(テロ)のシーンが多く、迫力がすごいので、箱を開けるシーンのたびにビクビクしてました笑
中の化学薬品が混ざる描写、もとても緊張感があって上手い演出でした。
中村倫也がロッカーに残した数式について、どういつ意味だったのか明言されないので、始めはピンと来なかったのですが、終わってからしばらくして意味がわかりました。
中村倫也は、あのスピードで自分の体重で落下することで、配送レーンが止まることが分かっていた。
思惑通り、中村倫也が飛び降りたことで、配送レーンは一度止まるのですが、あろうことか一緒に働いていたディーンフジオカがレーンを再稼働させてしまいます。
人が飛び降りて頭から血を流している横で、機械はまた動き始め、稼働率もすぐに戻ってしまうのです。
めちゃくちゃ怖いシーンですよね…
「人命よりも起業利益を優先する」、人としてなんだか気持ちが悪い、でもありそうな描写が、前半いくつも描かれます。
満島ひかりも、自社製品による爆発事件が起こっても、最初はなんとか配送を止めないために奔走しますし、犯人の爆破予告と取れるネットの書き込みが見つかっても隠蔽しようとします。
その姿勢が少しずつ変わっていき、クライマックスで大きな決断をするのがこの映画に通ずるテーマなのかな、と思いました。
「起業利益のために人が淘汰されていないか」「企業の利益のためにマジックワードで誤魔化されていないか」「血の通う人間が働くはずの会社が、利益のための会社になっていないか」「そのことによって社員を犠牲にしていないか」(現に中村倫也や前所長、満島ひかりは体調を崩している)
人が飛び降りても、爆弾事件が起きても、「工場の稼働率」を示すグラフが順調に元に戻って行くのが、サイコパス的で非常に怖いです。
最後の家庭で爆発物を処理しようとするシーンは、本当に手に汗を握りました…!
見事な伏線に本当に脱帽!!!!!
企業の「誠意」とは何か、考えられる作品でした。