「バーキンの象徴するもの」ラストマイル きーろさんの映画レビュー(感想・評価)
バーキンの象徴するもの
それが外資系のバリバリのキャリアのアイコンだとしたら
最後のシーンは持ってない方が良かったのかな?
持ってたんだっけ?
とりあえず持ち物や着ているもので社会的地位を表現する感じなのかしら?ってのが登場シーンから感じられて第一警戒態勢に入りましたね。自社通販の服はダサいって言葉に企業へのロイヤリティの無さを感じて資本主義ここに極まれり、と思ったり。一旦帰って着替えたのか、インフォバー錦鯉みたいなチェックのシャツはそれはそれは素敵だった。
内容的にはみなさんおっしゃってるように無理矢理感があってシェアード・ユニバースである必要はなかったし、むしろ雑音でしかなかった気がする。実際チョロリとMIUのふたりが出た時に警戒度はさらに上がりましたわ。
多分これ、MIUに出てきた陸上の成川くんが刑事になってるとかアンナチュラルの白井くんがバイク便のドライバーでちゃんと届けてるとかの小ネタみたいに、少しだけ成長後日談みたいなのを散りばめつつ、なんなら成川くんがメインで事件を追って一瞬先輩2人に電話する、くらいの顔出しでよかった気もしないでもない。なんならベイビーメタルオタクの家出娘の原菜乃華がちゃんと荷物仕分けのバイトしてるとかは見たかったかも。
なんだかんだメインストーリーであるところの自殺を隠したかった企業側と最後まで戦いから降りなかったディーン・フジオカの扱いの中途半端さ?演出の奥ゆかしさ?がその他が過剰だったために薄味に感じてしまったことも残念でならない。
久しぶりに大スクリーンで見た作品からの学びとしては、資本主義の究極であるグローバルECが当たり前のように展開する便利の裏側で、たくさんの人が魂削ってることを忘れずにってことと、全ての運送会社が置き配をファーストセレクトにしてもらえるとずいぶんラストマイルが楽になるのではないかと心の底から思いましたとさ。
ところでこの映画、今まで観る人がどんなところでどんなふうに働いてきたかでずいぶん印象は変わるはず。大手のわがままに振り回される底辺クリエイターにはかなり刺さることが多かったです。特に阿部サダヲさんの中間管理職の悲哀とか、啖呵切ったら社長だったとかのくだり。
隠蔽体質のTBSが隠蔽体質の企業を丸裸にする感じはアイロニーが効いてて良かったですが、もう映画はサブスクに敵わないことが露呈してしまい難しい気持ちになりながらも“映画館で見る映画以外は全部偽物“をどこまで突き通せるのかが新しい興味になってきましたね。AppleVisionが鍵かもしれない。
それではハバナイスムービータァイム!