劇場公開日 2024年8月23日

「時事問題を扱ったところは理解できるものの…。」ラストマイル yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5時事問題を扱ったところは理解できるものの…。

2024年8月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年303本目(合計1,395本目/今月(2024年8月度)28本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。

 かなりの人気作で9割がた入っていたのが印象的でした。

 扱っている内容は今日の物流業界であったり、いわゆるオンラインショッピングがもたらす、それに従事されている方の労働環境であったりと時事ネタであり、ある程度の知識を持っていればなるほどね、というところではあろうと思いますが、そうした事情から求められる知識が労働基準法などやや細かい部分で(おそらく社労士ネタか)、一方で、民法ほか結構細かい知識の理解を要求するなどするところはありますね。

 もう一つ気になった点として、問題提起型の映画であることは誰しも理解できたとしても、この作品が述べるところの物流業界の労働環境を巡る問題というのは一消費者にどうすることもできないのにもかかわらず問題提起している点でしょうか。一見すると「そうしたサイトでは買わない」といういわば不買運動のような状況になることを想定しているように思えますが、そうしたオンラインショッピングのサイトはもはや今日において欠かすことができない一方、購入後のことまで介入できない(例えば特定の運送会社を拒否することはできない)ことはあげられます。かといって、「オンラインショッピングではなく、身近な地元の商店街で買いましょう」にすると話がひろくなりすぎるしベクトルも変わってしまう(そうすると、いわゆる地域活性化の論点に変わってしまう)ところがあり、ストーリー展開もそうした部分まで拾えないために問題提起をしたまま投げっぱなしになっているのは、それもそれで仕方がない気がしますが、ちょっともったいなかったかなというところです。

 見ていてそこそこ気になったのは以下をあげておこうと思います。

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 (減点0.3/警察だけの力で押収することはできるか)

 刑訴法(刑事訴訟法)99条以下ですが、裁判所の許可が必要です。
この展開のあと、ちょっと後に「裁判所も介入しているんだから仕方がない」みたいな発言が出てくるので手続きは適正になされていますが、ここはちゃんと先に示すべきだったのではないのか…というところです。

 (減点0.2/労働者名簿の保存義務について)

 労働基準法上、名簿や災害補償ほかの書類の保存義務は最低でも5年です(109条)。
この部分はそこそこ難しい話だし、一般常識でも何でもないので、ちゃんと示すべきだったのではないのかな…という気がします。
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yukispica