「自我と他我が区別できない主人公の暴走」トラペジウム 納豆ごはんさんの映画レビュー(感想・評価)
自我と他我が区別できない主人公の暴走
クリックして本文を読む
全体的に見れば起承転結がはっきりしていて、丁寧に話の展開が進んでいました。人によっては、主人公の計画性が行き当たりばったりで不満に思うかもしれません。
話のメインは主人公の中にあるアイドルという概念を見つめ直すことでした。
主人公はアイドルは輝いていると冒頭で言っていたが、肝心のアイドルに必要な要素や自分の個性はどこなのか、というのが触れられていなかった。これは主人公自身が、自己肯定感が低いことが原因でしょう。
自分ではアイドルになれないという思い込みの脱却。これが物語の主軸です。
その強い思い込みにより、自分ではなく他者の力を借りてアイドルになろうとします。
他者がアイドルになってそのおこぼれでアイドルになる。打算的ではあるが、主人公は最初に他の三人に何かしらの形で、夢を叶えたり希望を与えて仲間に加えていた。この点は評価できると思います。
三人も期待に応えるためにアイドルになったが、当然すべては応えられない。だが主人公は自分の命運を三人に託しているので、しっかりしてほしいと思っている。だから、途中で舌打ちしたり、苦手なら練習しろと強く言ってしまった。自己中の行動なので、こういう描写で主人公の好き嫌いが分かれると思います。
ただそれは自分自身にも厳しかったことと、まだ高校生で心理的に未熟だったと考えると同情の余地はあるかなと個人的に思います。人間関係の歪さ、打算的な腹黒さが見どころです。
コメントする