劇場公開日 2024年5月10日

「計画遂行力≠夢の実現」トラペジウム サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5計画遂行力≠夢の実現

2024年5月23日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

単純

アイドルを目指す主人公って、キラキラしていて、カッコよくて、応援したくなるのがベター。だが、この映画の主人公にはそういう感情が1ミリも湧かない。「ブルーロック」以上に、いや比較できないほどエゴイスト。東の支配下に置かれていくことで、個性が潰され、自分を失っていく西南北を見ていると、心がズタズタになるほど苦しくなる。

しかも、これがアイドルの闇だよね、夢を叶えるのに必要な代償だよね、って捉えられているのがこの映画1番の恐怖。恵まれた環境の中、悪い状況に持っていき、崩壊の一途を辿らせたのは、紛れもなく主人公の悪行が故。どんなホラーよりも恐ろしい。今年一のヒトコワ映画。

この描き方をするのであれば、とことん悪に染っていた方が面白かっただろうし、何故そこまでアイドルにこだわるのか、「だってみんなの憧れじゃん!カッコイイじゃん!」とか言う曖昧な思いではなく、明確な野望を持っていて欲しかった。更には、ハッピーエンドみたく締めくくっているのが気持ち悪い。

この映画は、アイドルになるための葛藤ではない。自分の地位を形成し、社会的な評価を得るために、友人を人間と思わず下僕のように扱い、下劣な行いを平然とやってみせるダークヒロインの、エゴと憎悪に満ち溢れた、R指定並の激グロホラーである。本物のアイドルがこんな作品を作ったってのは、めちゃくちゃに面白いけどな笑

サプライズ