「(何がネタバレなのかよくわからないので安全策でネタバレ扱い)」スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナル ハッキング ゲーム yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
(何がネタバレなのかよくわからないので安全策でネタバレ扱い)
今年395本目(合計1,486本目/今月(2024年11月度)1本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
今週(11月1週)一番荒れそうな映画のような気がします。
結局のところ、もう「シリーズもののためのだけの作品」というところになってしまっている点が厳しいなという印象です。他の方も書かれている通り、ストーリーの中で程度の差はあっても「スマホを落としさえすれば」よいので(その程度の差は問わない)、ストーリーはよくわからないし、韓国まで混ぜた関係でかなり理解度が落ちそうです。
個々見ていくと、そこそこハイレベルなITの知識を要求するか…と思いきや見掛け倒しになっているところはあるし(ただ、syslogなど個々見ると普通の知識では無理か)、一方でこの映画の特徴はいきなり法律ワードを出して混乱させる点であり(この点後述)、その理解まで求めるとハイレベルになりすぎるし、一方でそれらも「見掛け倒しか」と思うとこの映画からは何も残らないので、そこがどうなのかなぁ…といったところです。
個々気になる点があるので採点ほかの後で…。
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(減点0.5/通達に関する解釈が雑すぎる)
通達は「上級行政機関が関係下級機関および職員に対する行政組織内部における命令」にすぎません(墓地埋葬事件)。「私人(国民)にあてて出したものではない」のと同時に、「下級行政機関が上級行政機関に出すもの」でもなければ「同じ層の行政機関に出すもの」でもありません。
このあたりは適当な描写が結構多いのですが、この辺は正直何とかして欲しいです(資格持ちは何を言っているかわからず理解に詰まる)。
(減点0.3/「未登録の船舶」が何を指すか非常にわかりにくい)
漢字として見るだけであれば理解は可能ですが(漢字の持つ性質による)、実際には適当な単語を並べた「だけ」ともいえるし、正しく理解しようとするとそこそこの知識が求められます(下記参照)。
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(減点なし/参考/「登録」制度について)
映画内で登場する上記の「未登録の船舶」という語は韓国国内で登場しますが、制度として大きく変わることはないので、以下日本を基準に見てみます。
民法上、その価値の大きさから取引について特別な制度を設けているのは不動産だけです(民法177条、不動産登記法ほか)。それ以外の動産の対抗要件はその引き渡しです(178条)。
ただし、その「価値の高さ」から、不動産には匹敵しなくても類似する制度や、その動産の性質上、何らか別の制度が存在したり、また日本国内だけでなく諸外国までかかわりうるものは、国が関与してくるような、民法の特別法がある動産があります。自動車、バイク、航空機のほか、この映画で出てくる「船舶」もそうです。
これらを管轄する特別法においても、私人間の間での所有権等の物権変動の対抗要件は、やはりそれらの登記であることにかわりませんが、これら自動車や船舶といったものは、不法投棄や海洋汚染といった問題がありますので、私人間の間でのやり取りとは別に、行政に対して「誰が所有者なのか」を明らかにする制度が別にあり、そちらは「登録」制度と呼ばれるものです。
しかし、「登録」と「登記」がそれぞれ別にあるのは混乱しますので、それらのうち登場頻度の高いものは、登録と登記制度を同じ制度にし、行政に対する登録を義務化した上で、かつ登録すれば登記と同じように第三者に対して所有権ほかを対抗(主張)できるようになっています。
日本では船舶なら「小型船舶の登録等に関する法律」で20トン未満の船舶がそれにあたり(たいていの船舶はこの範囲におさまる。映画内で登場するのもこの規模の船舶)、登録が行政(=国や地方自治体)に対する義務であり、また登録すれば所有権を主張できる私人間の根拠にもなります。
映画内で登場する「未登録の船舶うんぬん」は、日本の理解を前提にする限りそのような船舶はないので(←未登録では航行できない)、韓国の特別法は別なのか、あるいは適当に法律ワードが出ているのか理解ができず詰むことになるわけです。
※ 上記のうち、主に自動車・バイクの「登録」制度を扱うのは主に行政書士、船舶のそれを扱うのは海事代理士という「おとなりさん」にあたる職業の方になります。
※ このあたり、「登記」と似た「登録」という制度が存在する点は韓国も同様です。