「聴こえてても、同じ」ぼくが生きてる、ふたつの世界 きりさんの映画レビュー(感想・評価)
聴こえてても、同じ
思春期に親と衝突したり関係がぎこちなくなるのは、聴こえない親と聴こえる子供との間だから起こることじゃなくて、聴こえてる親とでも起こること。
成長して親元を離れて社会を知り、親の愛情の深さや強さを改めて実感し、今度は自分が親に寄りそいたいと考えるのもまた、聴こえてる私と同じ。
エンディングソングの歌詞がお母さんからの手紙だった。それがものすごく愛に溢れてた。
私はまだ子供いないけど、今まで自分の親から言ってもらった事やしてもらった事を思い出したら分かる。
聴こえてても聴こえてなくても、子供を思う親の気持ちは同じ。
だからこそ、違う境遇なのに共感して涙が流れたんだと思う。
吉沢亮さんと忍足さんの親子関係の空気感ややり取りは、思春期で反抗的だった自分と、当時は口煩い存在だった母親との関係を思い出すリアルさがあった。
子役さんも全員、この子達以外は考えられないなっていうキャスティングでみんな吉沢亮さんに似てる!
成長する過程で突然変異しなきゃこの顔にはならないだろっていうのが常だけど、子役の子たち全員に吉沢亮さんの要素を感じられて、そこもまたリアリティあった。
東リべのマイキー役の時は他作との兼ね合いもあってビジュアル的に高校生役はなかなかに苦しいものがあったけど、今回は中学生役もこなしててやっぱり吉沢亮は凄いと思った。
しっかり声や表情で年齢を表現できていた。
キャスティングと演者の努力によって、赤ちゃんから成人するまで五十嵐大さんとして生きる吉沢亮の成長過程を見届けたような気持ちになった。
吉沢亮さんの作品を観たことがない人や興味ない人もこの作品は観てほしいな…私は公開を控えてる「国宝」が心の底から楽しみです!