「コーダの人生を丁寧にリアルに描く」ぼくが生きてる、ふたつの世界 mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)
コーダの人生を丁寧にリアルに描く
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「そこのみにて光輝く」の呉美保監督作品。
とても丁寧で、リアルに描かれている。
コーダ(両親がろうで子供は健常者)の息子と母(ろう)の関係を生まれてから、20代後半までを描く。
とても面白かったので、色々と調べたりインタビュー動画を見た。
監督は、リアルさの追求を大前提で撮ったとか。だから幼少期から子役や小学生の子役たちは主演の吉沢亮によく似ていることを前提で選んだとか。全く違和感がない。そんなところも気を遣ったとのこと。
今回は、両親役は本当のろうの役者を使っていて、他に登場するろうの人は皆さん本当のろうの人を使っている。
手話の脚本もあり、手話の演出の人も常時立ち会って撮影した。
主人公の現在までの半生をその時代時代で点描していくのがとても滑らかで見入ってしまう。
でラスト。それまで、劇的効果を排していたけど(音楽なし)、ここで映画的な演出をする。静かながら、ドンとくる演出。
じんわりと泣けてくる。
音楽が全くない(エンドクレジットにはテーマ音楽が流れるがそれまではない)のは、ろうの人が見ても健常者と同じように楽しめるようにという考えからとか。
ドキュメンタリー的では全くなく、しっかり劇映画だけど現実を切り取ったようなリアルな世界がしっかり息づいている。
役者もみんないい。祖母役の烏丸せつこがリアル。いい役者になりました。
あと、母親役の忍足亜希子。彼女が声を出すのですが、それだけで泣けてくる。ろうの人は言葉にならないような声を出して手話をするのがリアルらしいのです。
呉美保は、凄い監督だ。
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