劇場公開日 2024年9月20日

「心に響く作品。」ぼくが生きてる、ふたつの世界 sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0心に響く作品。

2025年2月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

心に響くいい映画だった。
「ぼくが生きてる、ふたつの世界」という言葉は、この作品にぴったりくるタイトルだなと、観終わってしみじみ思う。

でもそれを、「ろう者と聴者」とか、「手話と音声言語」とか、観ながら頭に浮かんだ「偏見や思い込み」とか、「悪意の有無」とか、「ディスコミュニケーション」だとか、そうした言葉で言語化しても、表面的で陳腐なレビューしか書けない予感しかない。

なので、今回は個人的な体験と重ねて、2つのことについてだけ、記録に残そうと思う。

<ここから少し内容に触れます>

①大が、手話サークルで知り合った友人プラスその友達たちと飲む場面。
大が、代表して飲み物やつまみを頼んだことに対し、しばらくして友人は「さっきは、ありがとう。でも、私たちのできることを取らないで」とトイレのそばで話しかけてくる。
このセリフがとても共感できた。
私自身、まだ、なって一年も過ぎないが、呼吸器障害を抱え、たまに車椅子ユーザーでもある。
なので、自分に向けられた「思いやりや善意による行動」は、素直にありがとうという気持ちだ。
でも、積極的に周囲の人々に思いやりや善意の行使を求めたり、すがったりしたいわけではないこともわかってほしい。
私が「できることをできる方法でやってる」ことを認めて、見守ってもらえたらと思う。

②迷惑をかけたり冷淡な振る舞いをしてきたりしたことへの謝罪や、はるか昔の大学生の頃、友人と早く遊びたいが故に「忙しいから泊まらずに帰る」と言った私に「帰ってご飯を作るのは大変だろうから」と弁当を持たせてくれたことなどへの感謝。7年前に母が急逝してしまった今となっては、もう伝えることは叶わない。そのことを一番後悔したのは、今日この映画を観終わった時だったかもしれない。
吉沢亮と忍足亜希子、2人のやり取りに泣けて仕方がなかった。

sow_miya
ひなさんのコメント
2025年2月4日

sow_miyaさま
コメント返信、ありがとうございました。
レビューだけでなく、コメントもポンコツでごめんなさい。
長文で申し訳ありませんが、補足させてください。

もしこの作品を2024年にご覧になっていたら、昨年の1位は変わっていたのか気になっていました。
私は年明けに観たら、昨年の1位は『ぼくが生きてる〜』が『夜明けの〜』になっていました。

「不寛容社会」というワードは『夜明けの〜』のレビューで使いましたが、『ぼくが生きてる〜』ではそんな感想は違うと感じました。
あれこれ考えてカッコつけたレビューではなく、私も思ったことを書き留めたメモをそのまま追記しました。

人の心に残る映画は、それぞれたどる道があるのではないかと思うようになりました。
『BLUE GIANT』が作品の主人公の夢を現実でも叶えたように、『侍タイ』が社会現象になったように…。

『ぼくが生きてる〜』は、ローカル線に揺られている主人公の、まだ未完成な人生が続いていくラストシーンで終わります。
この作品も映画賞でスポットライトを浴びるより、各地で上映が続いて一人でも多くの人に観てもらう道が続いてほしいです。

新年早々の吉沢亮さんの“報道”を受けて検討されていた、今春からの『ぼくが生きてる〜』全国市民上映会の計画継続がプロデューサーから発表されました。
発表された2月1日は吉沢亮さんの誕生日でサプライズでしたが、同じ日に『国宝』も予定通り6月6日からの公開が決まりました。

ひな
luna33さんのコメント
2025年2月3日

共感ありがとうございました。
sow_miyaさんの体験談には非常にグッと来るものがあります。この作品自体も大変素晴らしいと思うのですが、何よりこの作品を観た方の多くが自身の体験と重ね合わせながら涙した映画であるという点が本当に素晴らしいと思うのです。

個人的にはこの作品が昨年観た映画の第1位ですね。

luna33
ひなさんのコメント
2025年2月3日

sow_miyaさま
共感ありがとうございます。
12月に『夜明けのすべて』と『侍タイ』で初めていただいた返信コメントに、『ぼくが生きてる〜』は1月31日公開ですとあったので、レビューを楽しみにお待ちしていました。

sowさんがクリスマスに選んだ2024年ベスト10の作品は、私も半分同じです。
実はクリスマスイブの夜更けに2024年ベストを選んだ時、『夜明け〜』と『ぼくが〜』のどちらかで最後の最後まで悩んで、こちらに決めました。

9月公開の初日に観てから何度も何度もレビューを上げようとして、結局クリスマスイブに下書きのままのレビューを追記した、そんな2024年ベストの作品です。

ひな
トミーさんのコメント
2025年2月2日

共感ありがとうございます。
大が初めて他の家と違う事に気付くシーンが残酷でもあり、それまでの両親の深い愛情が察せられました。その後はどこも同じなんでしょうが、家族間“色々あって”大の性格がかたち造られていったのが感動的でしたね。

トミー