「「受け入れる」こと」ぼくが生きてる、ふたつの世界 カタカタさんの映画レビュー(感想・評価)
「受け入れる」こと
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聴覚障がいを持つ両親のもとに生まれた息子と、その家族の成長物語。
100席会場の9割が埋まっていて、関心の高さが見てとれた。
何気ない日常シーンが続くが、逆に現実的。
・「お前の母ちゃん、喋り方おかしくね?」
・訪問販売員が何を言ってるか分からない
・帰宅時には照明を付け消しして帰宅を教える
ろう者の方々が「言葉にはしないけどツラい一面」や、工夫して生活している描写がリアル。
母は明るく息子に接するが、しだいに息子は反抗期とあいまって「なんで俺がいちいち通訳しなきゃなんねぇんだよ」と溝ができ始める。青年の気持ちも分かる。
それでも母は挫けず前向きに社会に役立とうと、補聴器を手にしたり、パートに応募したりと奮闘する姿勢はすがすがしい。
青年はやがて手話サークルに入り、ろう関係仲間が増えて生きる自信を取り戻す。
――そう、恥ずべきことではないよ。
「生まれてきたくなかったは、さすがに辛いね……。」息子から投げられた言葉を母が旦那にこぼすシーン。
駅構内にて息子が母の背を見送り涙するシーンからのエンディング。
母はいつもあなたの味方だよと言われた気がして涙が頬を伝った。
主人公母役の忍足さんは表情豊かでほっこりさせられる。思い返せばかつて教育TV(現Eテレ)手話コーナーで講師をされていて、その頃から笑顔が素敵な方だと思っていた。
余談だが、私の母は耳が聞こえるが手話を学習して通訳をしていた。「表情と口の開き方が大事」と繰り返し言っていた。なるほどそのとおりだと映像から感じられた。
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