劇場公開日 2024年9月20日

「安心して。揺れませんよ。」ぼくが生きてる、ふたつの世界 きーろさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0安心して。揺れませんよ。

2024年10月1日
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鑑賞方法:映画館

10月のファーストデイ1本目はシネスイッチ銀座から。
この劇場は、フラットな前方の席だと前の人の頭が画面にかぶって見えないので、段差のある後ろの方がおすすめかも知れない(初めて行きました)。

何ヶ所かボロ泣きポイントあるので号泣注意ハンカチ必須のこの作品、ストーリーは生まれた時から耳の聞こえない夫婦からコーダとして生まれた男の子の人生をずっと追っていくのだけど、年代の切り替えがとても上手で心の中で拍手してしまった。

大ヒットした同テーマの「コーダあいのうた」の底抜けに明るい感じでも無く、周りの人々の反応というか家族に対する感情もしっかり描かれてて、日本が作るとこれぐらいの湿度になるよねー、くらいの匙加減も嘘がない感じでとても良かったです。

あと全然作品のせいじゃないんだけど、この地域でこの時代だと、どうしても東日本大震災が頭をよぎるので、いつ揺れるのだろうと気になってしまうのは3.11以降の日本人のよくない癖かも知れない…。

主演の吉沢亮さんは綺麗な顔面でこなすアイリスオーヤマのコミカルな演技が印象的過ぎていろいろ飛んでしまうのだけれど、仮面ライダーメテオから見ているこちらとしてはとても良い役者さんになられたなあ、と親の目線で見てしまうところがあり、まさに親の目線で彼の人生を追いかけているこの映画は、彼自身の人生に対して斜に構えた演技も相まって「大!しっかりなさい!」って思わず言葉が出そうになる程。

その一方でろう女優の忍足(おしだり)亜希子さんのただひたすらに夫と息子を愛する純粋な演技にはめちゃくちゃ心打たれました。旦那さんがハマの番長三浦大輔監督の実弟で俳優の三浦剛さんであるだけでなく、年齢が54歳と聞いて2度驚くなど。いやいや可愛すぎるだろマジで。

うちの父親はガチの毒親でアル中で女好きで最低だったので母親は苦労した分とても過保護である意味こちらも毒親だったけど、とても大事にはしてもらったので色々思い出してしまって母親のありがたみが身に染みる映画になってますね。あと恋愛要素が皆無なのも良い気分で映画館を出れる要因なのかなと。とにかく本作は独りで見にいくのがオススメです。

あと大切な人に電話できるなら電話したりしてみて。

それではハバナイスムービー🎞️

きーろ
きーろさんのコメント
2024年10月4日

コメントありがとうございます。

ご両親役どちらもろう者というリアリティがこの映画が胸に迫る要因なのだと思います。駆け落ちして新宿でパフェ食べたエピソードを思い出すだけでポジティブな涙が溢れそうになりますよね。こういう気持ちを見知らぬ人と共有できるのが映画コムの素晴らしさだと思います。

きーろ
みかずきさんのコメント
2024年10月4日

はじめまして、みかずきです

共感ありがとうございます。

本作、吉沢亮の演技は流石でしたが、
一番印象的だったのは、主人公の両親の自然体の生き方です。
聴覚障害者であることをしっかりと受け入れ、あるがままに生きていました。自己肯定感の高さに脱帽です。

ー以上ー

みかずき