「ぼくらが生きてる、ひとつの人生」ぼくが生きてる、ふたつの世界 uzさんの映画レビュー(感想・評価)
ぼくらが生きてる、ひとつの人生
前半の浮き沈みが激しく、それだけで、もう…
大の誕生による幸せムードから、聾者による子育ての難しさで一気に胸が苦しくなる。
差別的な意味ではなく、祖父母のサポート無しでは実際問題立ち行かなかったかっただろう。
(手話を憶えず明子を育てきったのもある意味凄い)
それでも愛情に溢れた家庭で幸せに育っていたところ、友人の「変」の一言で世界との隔たりを意識する。
手話で人気者になれそうなときにも、茶化す阿呆が…
しかし、花壇荒らしの濡れ衣を着せてきた女性含めて、悪意なき悪意が非常にリアル。
中学時代(サスガの吉沢亮でもムリがある)からの反抗期は、みんな身に覚えがあるのでは。
正直、観てて居た堪れなくなった。
だがそれに対し悩み、相談し合う両親の姿は、これも一般的なそれと何ら変わりない。
プータローからの上京暮らしは、両親の出番が減ったこともあり、うだつの上がらない平凡な日常。
大は、成りたいモノはないけど成りたくないモノはある。
だから面接で口では嘘をついても表情で自らバラすし、理不尽なライターには決して謝らない。
この辺は自分に似てて複雑な感情になった。
そんな半生を描く中で、言葉以上に物語る吉沢亮の表情や佇まいの奥行きが凄い。
両親はじめ脇もみな素晴らしいし、複数の子役が悉く吉沢亮っぽい上に演技もちゃんと出来るという。
サークルの酔って記憶なくした一人っ子女性が好き。
聾者同士の会話にユーモアがあって楽しかった。
誰にとっても人生は自分のもの一つきりだし、父も母も一人きりで、その中で生きていくしかない。
世界をいくつに区切ろうが、それは等しく変わらない。
コメントありがとうございます。
上京したとてまだ何も定まってない「持たざる者」だった。
そういう所がまた感情移入しやすかったような気がします。
お父さんのぶんの補聴器…。
申し訳ありません、頭になかったです(笑)
uzさん、さすがです。
みかずきです
吉沢亮は、どんな役柄も自分色で演じるので感情移入し易かったです。
主人公の両親の優しく自然体の佇まいが良かったです。
主人公が思春期に入って荒れても、どんな家庭にも色々あるからと言う父親は健常者の父親と変わりません。
両親は、自分達が聴覚障害者ということをしっかり受け入れて、
あるがままを肯定して生きていました。自己肯定感の高い両親でした。
ー以上ー