「知らなかった世界。多くに人に知ってもらいたい世界」ぼくが生きてる、ふたつの世界 たつのこさんの映画レビュー(感想・評価)
知らなかった世界。多くに人に知ってもらいたい世界
ろうの両親から生まれた子供と言うのはなるほど成長を重ねるにつれ様々な感情の揺らぎの中で孤独感や苦悩と葛藤しながら日々を生きるというのが良く分かります。
反対もそうなのでしょうね。聞こえる両親から生まれた聞こえない子と言うのも同じなのだろうと思います。
誰が悪いと言う訳でも無いけど、でも辛いし悲しい。苛立ちを覚えつい辛く当たってしまうのも仕方のないことなのかも知れません。
この作品の中でも母親にきつい言葉を投げるシーンがありますが、あれは悲しいですね。
きっと言った子供も辛いだろうし言われた母親は本当に悲しいだろうな。
明るく前向きに考えていても子供のその言葉でくじけそう。僕にはコーダの子供の苦悩より母親の気持ちの方が悲しく突き刺さりました。
でも嘆くばかりでは無い希望もきっとある。
だからこそ電車の中で人目もはばからず手話で会話する子供の姿に母が喜びの気持ちを伝えるシーンには救われました。何気ない母子の会話でもこの世界ではとても大切な事なんだと知らされます。
この作品の中でお父さんの存在も大きかったなと感じます。息子との会話でも自身を包み隠さず話し、そして妻であるお母さんの悲しみや苦しみも受け止め、自身の苦悩もあるだろうと思える中で頼もしいお父さんだと思います。この両親を演じた忍足亜希子さんと今井彰人さんは実際にろう者だそうで、経験から来る日常を演じて素敵な両親役でした。吉沢亮くんも難しい役だったと思いますが自然体で演じていたようでやはり実力者ですね。
まだまだ知らないことが多いこの世界ですが、ろう者だって強く生きていこうとしているし、聞こえる側も同情するだけではなく、共に助け合う社会になればいいなと考えます。
あまり身近な問題として捉えることもありませんでしたが、誰もが普通にいれるのが一番ですよね。
いい映画を見ました
仲々姿を現さないお父さんに、イライラしていた所、とにかく東京行けのナイスアドバイス。男相手の方がやはり話しやすいんですかね、テイッシュをなすり付けるでんでんも仲々・・。