「原菜乃華の奮闘が光る!」恋わずらいのエリー おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
原菜乃華の奮闘が光る!
予告を観てもさほどそそられず、スルーしようかと思ったのですが、舞台挨拶中継付き上映があったので、まあせっかくならと鑑賞してきました。概ね予想通りの内容でしたが、原菜乃華さんの奮闘が光る、後味のよい作品でした。
ストーリーは、学校中の女子の憧れであるイケメンの近江に想いを寄せ、日々SNSで彼とのラブラブな妄想をつぶやく“恋わずらいのエリー”こと市村恵莉子は、ある日、近江に口の悪い裏の顔があることを知ってしまい、同時に自身の妄想のつぶやきもバレてしまうが、近江はそんな市村に興味をもち、二人の距離はしだいに縮まっていくというもの。
偶然の出会い→他の人にはない魅力に惹かれる→付き合う→恋敵出現→誤解とすれ違い→別れの危機→反省→よりを戻してハッピーエンド、という学園もののテンプレ展開で、まったく目新しさはありません。ご都合主義もいっぱいで、もはやわざとやっているのではと思えるぐらい、主人公はスマホ落としすぎだし、靴紐ほどけすぎ。そして、クライマックスは文化祭の後夜祭と、こちらも定番中のド定番。そんな感じのベッタベタなストーリーと演出ですが、この手の作品の観客はそのベタを観にきているので、むしろきちんと期待に応えてくれていると言っていいでしょう。
そんな中、本作ならではの特徴が、市村の妄想のつぶやきです。しだいにエスカレートするつぶやきの内容もさることながら、妄想に浸る原菜乃華さんの演技がすばらしい!そして顔芸!コメディ路線を色濃く打ち出し、妄想マックスに振り切る原菜乃華さんを堪能できます。これだけでも本作を観る価値があります。
また、単なるラブストーリーというだけではなく、近江と市村が互いに影響し合って成長する様子が描かれている点もいいです。ただ、市村に対して近江のほうは、その変容を感じさせる描写がやや不足していて、単なるモテイケメンとしか見えないのが残念。外見に惹かれた女子からチヤホヤされても心は満たされず、本当の自分を知ってほしいと思う近江が、市村に心を開く過程をもう少し丁寧に描いてほしかったです。
主演は宮世琉弥くんと原菜乃華さんで、二人のキラキラした演技がまぶしいです。脇を固めるのは、西村拓哉くん、白宮みずほさん、小関裕太さんら。
舞台挨拶では、宮世くん、原さん、西村くんが登壇され、仲のよい雰囲気が伝わってきました。若いファン向けに3人の魅力を発信すればいいのかもしれませんが、監督の登壇もなく、上映後であったにも関わらず、作品や撮影にまつわる話も全く聞けなかったのはとても残念でした。