「感情からの自立を描いた思春期の成長ストーリー」インサイド・ヘッド2 つくくんさんの映画レビュー(感想・評価)
感情からの自立を描いた思春期の成長ストーリー
前作はまだ小学生低学年だった娘と見に行き、今作は高校生となった娘と見に行きました。そんなに月日が経ったのか。。
この作品とても好きです。感情を押し殺しては人間成長できないし、本当の幸せは手に入らない、という人間にとって非常に大事な事を、小難しくなく分かりやすく教えてくれる作品。
今作も基本的な構造は一緒だけれど、新しいギミックや思春期ならではの成長の奥深さも感じられる良作でした。
前作は遠方への引越という幼いライリーにとって劇的な環境変化を、我慢して抑え込んでいたカナシミを解放することで乗り越え成長する物語。
今作のライリーは思春期となり、大きく変化し始めた人間関係に順応しようとする中で、新たに芽生えた感情に翻弄されながらも、なんやかんやで乗り越えますよ、というお話。
新たな感情として登場したシンパイは、新しい人間関係に順応するために当初はうまく立ち振る舞い、それまで司令塔だったヨロコビに変わってライリーの言動を支配していきますが、シンパイの感情に支配されたライリーは次第に暴走していくことになります。
ここで今回新たに登場した人格ギミックが展開のキーとなります。
それまではヨロコビ達が選別したポジティブ記憶のみから構成された「私いい人」キャラでしたが、シンパイによって「私ダメな人」キャラにキャラ変させられてしまいます。
なんだかんだあって、今まで忘れようとしていたネガティブ記憶も含め色々な記憶・経験を統合した、いい人キャラでもダメキャラでもない、豊かな人格が形成されたことで、これまで一方的に感情によって支配されていた脳内制御をヨロコビに任せることをライリー自ら決断します。
シンプルに悲しみを乗り越え成長する子供の脳内を描いた1に対して、思春期特有の人格崩壊と再形成、感情優先の幼稚な子供から理性で感情を制御できる大人へと、やや複雑だけど人として大事な成長を描いたこのシーン、ここが1との一番の違いであり、この作品一番の見せ場でした。
エンドロールでのサブキャラの脳内劇場を密かに楽しみにしてましたが、今回はパパとママがほんの少し出てきたくらいでしたね。
続編があるか分かりませんが、ミッドライフクライシス真っ最中の私としては、中年の挫折と復活に直面した脳内を描いて欲しいですね。需要あるか分かりませんが。
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前作未見です。本作、思春期の少女ライリーの様々な感情を擬人化して描いた作品です。感情たちが個性的でしっかりキャラ立ちしているので分かり易かったです。テンポも良かったです。世界的にヒットしているのも納得です。
思春期前から、思春期中、思春期完了までの幅広い年齢層の心に響く作品だと思います。特に、思春期の子供のいる親世代、思春期を終えた大人世代には強く響くと思います。仰る様に、今の自分の感情たちの脳内での奮闘ぶりが観れたら面白いでしょうね。
これからも、様々な感情たちと巧く折り合いを付けて自分らしく生きていきたいと感じました。
ー以上ー