「【”現状を変えたかった・・。”愛息子をギャング抗争の流れ弾で失った男のサイレント&ヴァイオレンス&リベンジアクションムービー。息子を持つ男にとっては、ラストシーンは沁みました。】」サイレントナイト NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”現状を変えたかった・・。”愛息子をギャング抗争の流れ弾で失った男のサイレント&ヴァイオレンス&リベンジアクションムービー。息子を持つ男にとっては、ラストシーンは沁みました。】
■ジョン・ウー監督、可なりチャレンジングな映画を仕掛けて来たモノである。
今作は、一切の台詞無し、アクションと息子テイラーをギャング抗争の流れ弾でクリスマス・イブの日に失い、自らも声を失ったブライアン(ジョエル・キアマン)が、一年間息子の仇を取るために、妻のサヤを安全な場所に移し、身体を鍛え、格闘技をビデオで覚え、中古スポーツカーを購入しドライビングテクニックを鍛え、射撃をマスターし、一年後のクリスマス・イブの日に、激烈なる復讐を実行する物語である。
◆感想
・ご存じの通り、俳優が発する台詞は、映画構成上重要なアイテムである。声のトーンやセリフ内容で観る側は、劇中に埋没していくからである。
・今作は冒頭から男(ジョエル・キアマン)が、2台の激しい銃撃戦を行いながら走る車を必死の形相で追うシーンから始まる。そして、勝ち残った車に対し鉄棒を振り上げるも撥ね飛ばされ、男に対しボス(後に、プラヤと判明)が喉に銃撃し、男は病院で目覚める所までが、一気に見せられる。男の傍で心配そうにしている妻(後に、サヤと判明)
そう。この映画は台詞がない代わりに、各シーンをノンストップで魅せる事で、観客を引き付けるのである。
・ブライアンを演じるジョエル・キアマンは、大変だったと思う。だが、彼は表情とアクションのみで、ギャングに対する憎しみ、亡き息子に対する想いと哀しみを表現している。
■今作の見せ場は、矢張りブライアンがギャングの男を一人拉致し、情報を聞き出し、それをUSBに入れ、デニス刑事に渡す所からの、自身で防弾チョッキを着てプラヤの根城に侵入し、次々にギャング達を始末していくノンストップ映像の凄さである。
一体、何人殺したのか。ジョン・ウィックも真っ青だが、彼自身も深手を負って行くのである。だが、到頭プラヤの部屋に到達し、彼に止めを刺す姿。
途中からデニス刑事も参戦するが・・。
<ラスト、ブライアンが残した手紙を妻のサヤが微笑みを浮かべながら、二人のメッセージが刻まれた息子テイラーの墓に置くシーンは、少し沁みたな。
ブライアンの行為は法を大きく逸脱しているが、警察機能が麻痺している町で”現状を変えたかった・・。”と書かれた手紙は、ブライアンが自分と同じ思いをする人が無くなるようにと願った手紙であり、父親としても立派な男ではなかったかな、と思ったからである。>