かづゑ的のレビュー・感想・評価
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表現者のドキュメンタリー
宮﨑かづゑさんという、一人の表現者についてのドキュメンタリー作品だ。10歳から80年間、ハンセン病療養所で生活してきたかづゑさんの好奇心旺盛に生きる姿を近距離でカメラに収めた作品で、被写体のかづゑさんと熊谷監督の距離の近さが素晴らしい。物理的に近いだけじゃなく、心の面でも距離感が近くてだからこそ、撮れる画がたくさんあって感動する。
瀬戸内海にある長島愛生園の歴史も語られる。ハンセン病の差別の歴史をテーマにした作品ではないが、かづゑさんがどんな環境で人生を送ってきたのかを知ることで、今のかづゑさんのたくましさと美しさの本質に迫れる部分がある。「本当のらい患者の感情を知ってほしい」とかづゑさんは言う。この映画には、僕が知らないことがたくさん描かれていた。この島の自然はとても美しい、かづゑさんは「ここは天国でもあり、地獄」という。かづゑさんの言葉は天国と地獄、両方を知る人の含蓄に溢れていて身につまされる。
かづゑさんのようにいつでも好奇心を学ぶ姿勢を失わないようにしたいと心から思った。
いい映画を観た
ドキュメンタリー映画は
結構好きなのですが
その中でも
自分的には
かなり観てよかったと
思える作品でした。
誰しも
人生谷あり山ありだけれど
わずか10歳で
らい病に罹患し
親から引き離されなければならないなど
いくつもの
深すぎる谷高すぎる山を
通ってきたかづゑさん。
ご本人もおっしゃるように
ちゃんと生きて来られて
人として本当に立派だと思います。
本を読み、
自分の頭で考え、
自分の言葉で伝えようとすること。
やろうと思えばできると
何でも自分でやってみようとすること。
身近な人を
励ましたり支えたりすること。
人として大事なことを
確認させていただく映画でした。
「絶望などしていない」「可哀想と思われたくない」
十歳でハンセン病を発症して以降、国の「らい予防法」の規定に従う形で80年間を瀬戸内海の小島「長島愛生園」での隔離された生活を余儀なくされて来た宮崎かづゑ さんの生涯を振り返るドキュメンタリーです。
作品冒頭、ご自身の来し方を振り返るかづゑさんの
「絶望などしていない」「可哀想と思われたくない」
の力強い言葉にハッとさせられます。こうした映画を観る時、やはりどうしても我々は「可哀想」の視点に立ちがちだからです。そして、彼女は、
「らいはらいであって、ハンセン氏が作りだしたものではない。らいは、神話にも聖書にも出て来て、神が人間にくっつけた病。だったら、らいになった事は光栄」
とまで語るのです。しかし、その様な強さに辿り着くまでに、我々には想像も出来ない大きな葛藤や苦しみがあったのだろうなとやはり想像してしまいます。
病のせいで瞳孔が開きっぱなしなので常にサングラスをかけ、病のせいで両手の指を失っているのですが、彼女は真っ当な生活を送ります。そして、最後には、
「ちょっと自惚れさせて頂いたら、ちゃんと生きたと思う」
と言ってのけるのです。その言葉がなんと力強い事でしょう。
一方で、ハンセン病は既に治癒可能な感染症となっていたにも拘わらず、患者隔離を定めた「らい予防法」が廃止されたのは1998年のことであり、患者に対して行われた強制不妊手術に対しては裁判闘争が長年続けられて来ました。いつもながら、行政の対応は余りにも遅いのでした。
ただ、この映画に対しては、言わずもがなかも知れませんが気になった点が。ドキュメンタリーにも演出があるのは勿論の事だし、それが問題だとは全く思いません。でも、本作では「感動を喚起するためのTV的(分かりやすい)演出」が幾つか目に付きました。そんな事しなくても、事実の叙述だけで十分心に届くのになとちょっとだけ残念でした。
素敵なところと物足りなかったところ
「体を張った」という売りの作品よりも何倍もの素敵な姿を拝見することができた。
ご夫婦の間のプロポーズの言葉や言い残した言葉については、照れもあるのか、曖昧にまとめられていた。
ただ、鹿屋の上野正子氏の夫の断種手術を知った痛恨の言葉を何度も聴いた経験からすると、このご夫婦の場合のその件についての思いを十分引き出し得ていないのではないかと思った。
人生
このレビューのタイトルって必要?!
だって、難しいんだもの
まず、今の日本って幸せだなぁって感じた。
実際は違うのかもしれないけど、ちょっと差別されようものなら、ハラスメントだぁなんだ、かんだと主張できる。
色んな思いを持ちながら、主張することさえできずに生きてきた人たちがいる。
それでも自分の人生を受け入れてプラスに思って生きてきている人がいる。
私には何も出来ないけれど、かづ江さんを含めて、色んな人たちがいて私がいるんだってことを少しでも、他の人に伝えていきたいと思った。
「づ」なの、「ず」なの❓
神谷美恵子さんの「生きがいについて」を読んでから、ハンセン病の患者さんの気持ちを知ってみたいと思っていました。
絶対に島外では暮らさせない、という政策、島内でのいじめなど、かづゑさんが乗り越えてきたもの全てのほんのわずか程度の苦労しか想像できていないだろうと思います。
それでも、20代で最愛の人と結ばれ、70代でパソコンを学び、80代で著書を出す。苦労した分、幸せにもなっている、とも思いました。
読書家であったことで文才を培い、患者の思いを伝える使命にあった方なのでしょうか。
「受け入れる」ことは、「服従する」ことではないと、改めて感じました。
お名前が、かずゑになっている時もあるのがちょっと気になりました。
宮崎さん夫婦が楽しい
夫婦のやり取りか見ていて楽しい。逃げ場のない状況で、数々の困難に遭いながら人間性を失わなかったのはなぜか。自由に生きている人の方が人間性が失われているような気もして、いろいろ考えさせられました。
パンフレットもかづゑさんの水彩画ポストカードもよかった
何事にも前向きな精神の強さに感服
10歳で国のハンセン病療養所・長島愛生園に入所し、80年以上過ごしている宮崎かづゑさんのドキュメンタリー。
病気による四肢の末端のマヒ、それに伴う傷が原因で手の指や右足を失っているが、自分で買い物をして料理もする。
10歳の頃から自分の病気と向き合っているから、自分の体が消耗品だという意識が強いのだろう。視力が低くても、いままで持ってくれてよかったと言い、指がなくなったことも悲観している様子はない。「どんな状況でも人は人間性を失わない」という言葉が重い。
入所した当初は症状が重く、同じ病気の子供たちからもからかわれて、自殺も考えたという。このドキュメンタリーには映らないところでも辛いことがたくさんあったであろうが、「かわいそうだと思わないで、一人の人間として接してほしい」とおっしゃっていた。
本当に強い人だと思う。
できることをできるかぎりやる。90歳を越えても、考えがしっかりしていて言葉はっきりしていた。凄いおばあちゃんだった。
指、脚の切断、老いにも負けないバイタリティの凄い人
1928年に岡山県の北東部で生まれ、10歳の時、瀬戸内海の長島にある国立ハンセン病療養所・長島愛生園に入所し、それから約80年、ずっと島で生きてきた宮崎かづゑさん。彼女は、病気のため手の指や右足を失い、視力も低下していたが、周囲の支援を受けつつも、買い物も料理も自分で行っていた。子ども時代にはイジメにも逢ったが、家族の愛情とたくさん本が彼女を救ってくれた。そして、長島愛生園で出会った孝行さんと結婚してからは、海沿いの夫婦寮で暮らしてきた。そんなかづゑさんを2015年に初めて訪れた熊谷監督が、翌年から6年間、映像に収めたかづゑさんのドキュメンタリー作品。
熊谷博子監督のトークショー付きの回を鑑賞した。
らい病(ハンセン病というのは嫌い、とかづゑさんが言われてた)回復者の様子を知る、というだけじゃなく、常に新しいことに挑戦しているかづゑさんの生き方に感動した。
事実を知ってもらうため、という事で風呂にまでカメラを入れて脚の装具を外すところから映させるなど、なかなか出来る事じゃないと思った。
多くの人が年賀状さえやめようとする年齢の、78歳の時にパソコンを始め、スプーンを曲げてタッチ棒で文字を打ち、84歳で初の著作を出版など、そのバイタリティには頭が下がる。
熊谷監督から、鑑賞した日も岡山の映画館に来られた、と聞き、最近は水彩画にも挑戦されてるようで、96歳になった今でも精力的に活動されているらしい。
本当に生きる見本となるような人で、還暦過ぎの自分なんてまだまだ若造みたいなもので、もっと頑張ろうと思わせてくれる素晴らしいドキュメンタリー作品でした。
ドキュメンタリーには事実を紐解いていくものと人物を深く掘り下げるものがあるが、本作の被写体はあまりにも強烈なので、それを受け止めて進行していく監督の手腕が見事だ。
当時の政策により隔離された患者たちは、閉じ込めと差別により二重の人権侵害を受けた。かづゑはいじめられた時に「怖い」と感じたけれど、本を読み思いを綴ることで強くなったのだろう。かづゑはかわいくて強い人だ!いや強くなったのだ。そしてそのように生きてこられたのは、愛情をたっぷり受けて守られているという思いがあったからなのだろう。いじめとは、いじめる側の欲求不満からなるものだと改めて思うし、差別とは無知からくるものだということも再認識する。
療養所の職員も島の人々もかづゑたちに寄り添い安心できる環境であることが見て取れて嬉しい。時代と共に厳しい環境にある人たちの暮らしが少しでも改善されていくことを願う。
素敵な女性ですね 全てのことを淡々と受け止めて生きていて、 何を責...
素敵な女性ですね
全てのことを淡々と受け止めて生きていて、
何を責めるわけでもなく、、、
色々あったけど、お幸せそうなのが何よりです
かずゑさんが、素敵
監督とナレーターのトークショー付きの回を鑑賞。
このお二人が、トークでかずゑさんの表現力を讃えているだけあって映像の中のかずゑさんが喋る言葉に何度もハッとさせられる。
どうしたらこんなに表現力(言語化能力?)が身につくのだろうと思っていたら、トークショーで「かずゑさんのおすすめ本はパンフに挙げてます」と聞き購入。もちろん、かずゑさんの2冊の著書も映画館で購入。
かずゑさんのキャラクターに出会えてよかった。
かずゑさんに、らい病(あえてハンセン病と言わない)が乗っかっているだけ。かずゑさんの人間性はそのまま出ているのがすごい。本人の言う通り、逃げてない。
おじいちゃんのキャラも良くて、夫婦二人が出かけるシーンとか、見てるだけで癒されました。
素敵なおばあちゃん
大変な病気や環境の中、ハンセン病回復者の方がいかに辛い体験をしたか等、視聴者が思いがちまたはそう見がちの中、かづゑさんは元気でパワフルな方だった。
療養施設と外界は差別の塊で、施設内はみんな寄り添っていると思いきや、その中での壮絶なイジメがあったり…。
そんな中でも、自分で受け止めて処理して生きている
そんなかづゑさんが、とても素敵で普通の長寿なおばあちゃんだった。
まだまだ長生きしてほしい、そう思いました
すいません中盤で眠くなりました
既に90歳を過ぎても元気な元ハンセン病患者の宮崎かづゑさんを追ったドキュメンタリー。何事にも前向きなかづゑさんだが、そこまでの境地に至るためには大変な苦労があったと思います。ハンセン病患者の隔離施設に入ってからも、見舞いに来てくれた母の墓石にしがみつくシーンはいろいろと考えさせられました。本作を見てから隣駅の大久保の高麗博物館で開かれている「ハンセン病と朝鮮人」の展示を見ることを勧めます。展示内容は日本人のハンセン病患者の話のほうが多く、かつゑさんのように前向きに生きていくことができず、自殺したり、犯罪を犯したり、冤罪を疑われている「事件」に関わったハンセン病患者の事も展示され、戦後特効薬ができたのにも関わらずハンセン病患者への隔離政策が続いた事による悲劇が理解できます。
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