「波を待つ」ガザ・サーフ・クラブ LaStradaさんの映画レビュー(感想・評価)
波を待つ
猫の額ほどのガザの海岸で、サーフィンに興じる人々を描いた2016年制作のドキュメンタリーです。
海岸で沖を見つめていい波を待つ若者の姿はどの国のサーファーとも違いません。ただ、彼らはこの海岸の波しか乗る事が出来ず、ボードが輸入できないので手持ちの物を大切に使うしかないのです。
「戦争になったら、子供よりボードが心配だ。子供はまた作ればいいが、ボードはもう手に入らない」
と冗談っぽく語る言葉には悲痛な笑いが漂います。波と向かい合っている間だけは自由を感じられると言う思いは全てのサーファーに共通するものでしょうが、彼らの場合は文字通り死と背中合わせの自由なのです。
そして、イスラエルの無差別爆撃開始以降、本作中の誰がまだ生き延びていて、ボードが一体どうなったのか想像すると胸が塞がります。
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