「ピュア100%のからかい」映画 からかい上手の高木さん 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ピュア100%のからかい
隣の席の女子・高木さんにいつもからかわれている男子・西方。からかい返そうとするが、いつも失敗し…。
見た事は無いが、何となく知っている。だって、
人気コミック→アニメ化→その劇場版。実写ドラマ化→その劇場版。
出来る映像化を全てクリア。人気のほどが窺える。
だけど、この実写映画化のキャスティングを聞いて、アレ…? 永野芽郁と高橋文哉。
設定って中学生だよね…? 高校生ならまだしも(いやもう無理か、ギリセーフか…?)、二人が中学生…?
ドラマ(及び原作)から10年後という設定。
たまに実写映画化にある名のあるキャストで話題集めだけのやる必要の無いオリジナルストーリー…?
原作にも二人が結婚した10年後の話(からかい上手の(元)高木さん)があるらしい。なら、OKかな…?
結婚はしてないけど、10年ぶりの再会から始まる…。
母校の中学校で体育教師をしている西方。全く体育会系に見えないけど…。
ラブコメアニメにニヤニヤしたり、おそらく恋愛経験もナシ。童貞100%の草食系。
でも、生徒たちからは好かれているようで。中学時代のクラスメイトとは今も付き合いあり、近々元クラスメイト同士で結婚も。
平凡だが、それなりに満ち足りた日々。
そんなある日、教育実習生が。何と、高木さん…!
ドラマのラストで絵の勉強をする為にパリに旅立ったという。
パリ行きもまたからかいと思ったらしいが、本当。淡い想いと突然の別れ。中学時代の甘酸っぱい思い出…。
そんな高木さんが帰ってきた。こちらには3週間だけいるらしい。
嬉しい反面、大人になってもまたまた高木さんのからかいに翻弄される西方で…。
ドラマや原作を見てなくてもすんなり見れる作りなのは有り難い。
が、ドラマや原作を見ていないと、キャラへの感情移入のほどがなかなか…。いきなり10年後と言われても…。
ちなみにドラマ版のキャスティング。画像で見た月島琉衣と黒川想矢が原作(及びアニメ)に似せていて、フレッシュ&キュート。
まあそりゃあ同年代キャスティングには敵わないけど、こちらだって。
登場人物にヤな奴は一人もいないファンタジーだけど、その分超好感。
永野芽郁の小悪魔的魅力大爆発!
高橋文哉もいい意味で平凡。
にしても永野芽郁がからかってくるなんて、男の超絶願望である。
元クラスメイトより現中学生役の齋藤潤(今年は大活躍!)や白鳥玉季らがフレッシュ&キュート!
監督が今泉力哉なのもミソ。恋愛映画の名手だが、『アイネクライネナハトムジーク』『mellow』『ちひろさん』などハートフルドラマもお手の物。
とにかく、この作風に癒される。温かくて、心地よくて、ほのぼのして。
島の雰囲気も最高。外界から隔離されたようなしあわせ島。この世界に飛び込みたい…。
島の雰囲気や作風に合わせて、劇的な展開は無い。淡々としたエピソードが続く。
西方と高木さんの10年ぶりの再会や、元クラスメイトや現中学生ら周りの関わる人たちとの交流が紡がれていく。
かつての自分たちのような男子と女子にアドバイスするエピソードは大人になったドラマ面の白眉。
だけど、それだけ…? 10年ぶりに再会して、昔と変わらずからかわれるだけで、進展ナシ…?
ちゃんと大人になった成長の展開が。
教育実習3週間が終了。高木さんが帰る時が…。
このままお互い想いを伝えられぬまま…。
遂に、意を決して。教室で、あの時のように隣同士座って。
青春が戻ってきたような教室へ射し込む陽光、その場の雰囲気までもが二人を温かく優しく包み込む。長回しが効果的。
高木さんは何故西方をからかうのか…? 高木さんにとって“からかう”は、“好き”を超える“好き”。
だから昔から、何回も何回も想いを伝えていたのだ。
高木さんのからかいのお陰で今の自分がある。
ありがと。
そして、好きです。好きって気持ちがよく分からないけど、好きです。
昔からも、再会したこの3週間も、楽しかった。これが、好きって気持ちなんだね。
高木さんも戻りたかったのは、西方の隣。
たどたどしく、不器用ながらも、実直に。晴れてお互い告げた想い。
そしたら西方、好きとか付き合って下さいを通り越して、結婚して下さい…!?
西方、混乱からか飛躍し過ぎ!
だけどお互い、これ以上の相手はいない。
結婚式での恩師(江口洋介好演)のスピーチ。好きって気持ちだけじゃ続かない。自分にとって特別な存在。
西方にとって高木さん。高木さんにとって西方。
一緒にいて楽しいし、ずっと隣にいて欲しい。
隣同士の席だった昔から、収まる席に収まったハッピーエンド。
まずは手繋ぎから。キスどころか、それすらまだかい!
そもそも付き合い始めたばかり。
そんないじらしい二人へ。
これからもずっとからかい、からかわれ続けます。
> ほのぼの
まったく。
俺は、映画観てから、同じ今泉監督によるドラマを観ましたが、この順序は逆だったなあ、と心から思いました。逆ならたぶん3倍楽しめたなあ。逆でも十分に楽しめたので、文句は全くないのですが。