「弱点は感じながらも、映画的な場面もあり面白く観ました」映画 からかい上手の高木さん komagire23さんの映画レビュー(感想・評価)
弱点は感じながらも、映画的な場面もあり面白く観ました
(完全ネタバレですので必ず鑑賞後にお読み下さい!)
個人的には、この映画の冒頭を見て、大人になった高木さん(永野芽郁さん)の、西片(高橋文哉さん)を含む、あらゆる周りの人たちに踏み込んでいく人物像は、魅力的と同時に一方でどうなんだろうとは思われました。
もちろん中学生同士が無防備に、特に精神的に男子より勝っている女子が、関係性に踏み込んで接するのは全然ありだなとは思われます。
しかし、互いに自意識や他者への認識が形成された大人が、それでもなお関係性の距離感を詰めて踏み込んで行くには、それでも踏み込む側が相手に嫌悪を持たれないという、自己に対する非常に高い自己肯定感が必要になると思われます。
実際は永野芽郁さんが演じる高木さんは、魅力的な人物として感じられ、その点のマイナス面はかなり映画の中でも軽減されていたとは思われます。
しかしながら、非常に高い自己肯定感の、時に感じるこちら側の小さい違和感は、この映画に不安定さを与えていたのは一方で事実だと思われました。
ただ、映画の中の、絵が上手い不登校の町田涼(齋藤潤さん)と、町田に告白した大関みき(白鳥玉季さん)の、互いが高木さんと西片(先生)に町田の不登校と大関の告白に関する話をする場面は、秀逸で質高い映画的なシーンだと思われました。
大関の、自身が町田に告白したことが町田の不登校に影響したと考えたいエゴと、町田の、大関の自分にした告白は一方的な暴力だ、とそれぞれ発言するくだりは、恋愛に関して一つの凝縮した解答を与えていて、美しい映画的なシーンになっていると思われました。
また、最後の教室の場面の、高木さんと西片との、なんともまどろっこしい長回しを含んだシーンは、入り組んでいて嘘を感じさせない、これまた映画的な2人の関係性を現わすシ非常に良いーンになっていると思われました。
であるので、高木さんの大人になっても様々な人に踏み込んで行ける高い自己肯定感の魅力的ながら危うさをはらんだ点を作中で感じながらも、今作の映画『からかい上手の高木さん』は、映画として個人的にも面白く観ることが出来る作品になっていると思われました。
(p.s. ところで、町田涼を演じた齋藤潤さんは『カラオケ行こ!』の主人公・岡聡実を、大関みきを演じた白鳥玉季さんは『流浪の月』の更紗の幼少期を、それぞれ演じていて、そりゃ2人とも上手いはずだよな‥とあとで分かって納得感はありました‥
今後さらなる活躍が期待できる2人だと僭越ながら思われました。)