「キラキラ青春ものだけど、中身中学生のままの大人なので、ファンタジー感が強いですね」映画 からかい上手の高木さん Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
キラキラ青春ものだけど、中身中学生のままの大人なので、ファンタジー感が強いですね
2024.6.1 イオンシネマ京都桂川
2024年の日本映画(120分、G)
原作は山本崇一朗の同名漫画
ドラマ版「からかい上手の高木さん」のその後を描いた青春ラブコメ映画
監督は今泉力哉
脚本は金沢知樹&萩森淳&今泉力哉
物語の舞台は、香川県の小豆島
母校にて体育教師として働いている西片(高橋文哉、中学時代:黒川想矢)は、何気ない日々を過ごし、学校中心の生活を送っていた
彼の中学時代からの腐れ縁で同僚の中井(鈴木仁)は、幼馴染の真野(平祐奈)と結婚することが決まっていて、仕事の合間にその話題で盛り上がっては、教頭の田辺先生(江口洋介)からお叱りを受けていた
ある日、10年ぶりに高木さん(永野芽郁、中学時代:月島琉衣)から電話をもらった西片は、かつての関係を思い出し、幸せな時間を過ごしていた
その後、普通に過ごしていた西片だったが、放課後の教室にて、高木さんと再会することになった
彼女は「ヒントを出した」というものの、元々鈍感な西片は、彼女の電話の意図を汲めなかった
さらに、教育実習生として母校に戻り、その担当を西片が担うことになったのである
映画は、ドラマ版の続きということで、パリに旅立った高木さんと、10年の時を経て再会する様子が描かれていく
その10年が2人に与えた影響を描きつつ、2人の現在位置を示す流れになっている
どうやら2人ともに「お互いを好きなまま誰とも付き合わずに過ごした」ようで、その気持ちを確認し合う感じに描かれていた
だ、西片は中身が中学生のままという感じに描かれていて、20代前半の男女のやり取りには見えない
あくまでも、中学時代の2人がそのまま成長して、そのままの対話を続けているように思えた
ドラマ版の続きと知らずに鑑賞したが、映画の構成上、知らなくてわからないという部分はなかった
前半の2人の環境の描かれ方で、中学時代の関係性というものがつかみ取れるので、「良い大人になったのに」などと思わなければ問題ないだろう
好きというものがわからない西片だったために、これまでに乱れ打ちされてきた「高木さんの好き好き攻撃」が効いて来なかったのだが、男性目線だと、若干高木さんの影響が多いように思えた
小悪魔系女子のそれっぽい仕草でヒット&アウェイを繰り返してされてきたので、その真意を汲み取る前に「子どもながらの仕返しをする」という関係が紡がれてきたように思う
高木さんの計画として成功しているのかはわからないが、西片は彼女以外の女性に靡かなかったことを考えると、ある意味では成功しているように思えた
いずれにせよ、ドラマ版を見ていなくてもわかるものの、たくさん挿入されるドラマ版のシーンなどを考えると、鑑賞しておいた方が良いように思える
綺麗な青春映画で、悪者が出てこないのだが、2人の精神年齢が思った以上に幼いので、共感を得られるとしたら高校生ぐらいではないだろうか
大人になって「この関係と対応」をしていたら、現実的にはヤバいと思うので、憧れを抱いている大人は、ファンタジーだと割り切ったほうが良いと思う