「「好き」を面倒くさくなるほど考える優しい映画。主演の二人と中学生の二人がいい。」映画 からかい上手の高木さん ITOYAさんの映画レビュー(感想・評価)
「好き」を面倒くさくなるほど考える優しい映画。主演の二人と中学生の二人がいい。
最初に、これだけは書いておきたかったこと!
西片がプールに飛び込むシーンで驚いたら、続けて高木さんも飛び込む、ここが泣ける。
(永野芽郁さんも感動して泣いてしまってNGを出した。)
普通ならブーケが落ちたくらいで飛び込まない。
思い込みが激しいか、変わったところがある西片。
その思いを受け止めて、自分も飛び込む高木さん。
普通ならば、さらにあり得ない。
これはもう「告白」と「OK」を言っているのと同じ。
きっと現実で起きたら、同級生一同で冷やかした後、拍手喝采に違いない。
映画全体では、優しさと、温かさ、毎日かわす言葉の大切さが詰まったような映画で、観ていてほっこりしました。
クライマックスの長回しの二人のシーンなどで、「好き」は何なのかを面倒くさくなるほどに突き詰める、普通なら考え込まずに飛ばしてしまうようなことを、丁寧に真摯に描こうとしているのがいい。
不登校の男子と女子の話では、本当の気持ちを相手に伝えることについて、生真面目に紐解いて見せる。
それらの気持ちに、やさしく寄り添ってくれる。
そしてまさか、付き合ってくださいが言えなかったのが、結婚申し込みというフアインプレーには、さすがに驚きました。
けどそれが最高に良かった!
最近の日本の恋愛映画では、突然相手がいなくなったり、実はすでに死んでいたり、余命が短かったりと、安易なワンアイディアの悲劇や不幸とサプライズで涙を誘うようなものばかりで、本当に嫌になっていたところでしたから、本当に良かった。
と思ったら、やっぱり監督・脚本が「アイネクライムナハトムジーク」の人でした。
また、この主演の二人だからこそ実現した、この絶妙な空気感も大事。
特に永野芽郁のキャラクターによるところが大きい。
中学生二人も好演。
ドラマの映像の引用も効果的で、その短い時間だけで、自分は未見でしたが、ドラマ版の二人の好演もわかる。
二人のハッピーエンドを作りたくなる気持ちがとってもわかる。
ロケ地の小豆島の風景もいい。
ただ、タイトルにもある「高木さんにとって、からかいとは何ですか?」とセリフでじかに聞いてしまうのは、しかも本人の口からはっきり答えさせるのは、野暮です。
が、それもはっきり言わないと伝わらないと言いたいのかもしれません。
でも要するに「いちゃついている」だけなんですよね。
二人だけにわかる、とても幸せな時間なんですよね。