「いろいろ外している」もしも徳川家康が総理大臣になったら バソラプンテさんの映画レビュー(感想・評価)
いろいろ外している
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原作はコロナ(2020)が始まって一年目ぐらいにヒットした小説です。
閉塞した自体の雰囲気の中で発表(2021)されたため、決断力と実行力に溢れた「もし徳」は、政府や社会の風刺としてウケたのでしょう。
しかし、映画の中で描かれている理想の政府が成し遂げた「海外と比べて桁違いに少ない被害」を、当時の政府の方針や日本国民の行動により実際に実現してしまったことが、現在(2024)ではハッキリしてしまっています。当時の限られた情報の中では最適解を出していたと言ってもいいでしょう。
それを風刺しようとしている時点で、映画化の時期を「外して」います。
また、風刺の一環で、実在の人物をオマージュして登場させていますが、あまりに稚拙で、モノマネレベル。明らかにその人物がしそうにないことを度々しており、これも「外して」います。
楽曲もQueenなどの名曲に似せて作ることでギャグにしていますが、これまたレベルが低すぎてギャグにもなっておらず、「外して」います。
設定のキモのSF的設定もボロボロで、ギャグとしての「すこしふしぎ(SF)」として考えてもお粗末で外していると言っていいでしょう。
おそらく映画のハイライトであろう、主役の長台詞による演説も上滑りしてて、肝心の伝えたいテーマも陳腐で語り尽くされたメッセージに過ぎず、これまた外している感がすごかったです。
全体としては、風刺というものの難しさがよくわかる映画です。タイミングとどこまで似せるかという匙加減の、ダメな例として参考になりました。
映画としては、暇つぶしにはなりましたが、わざわざ見るまでもない程度かと思います。
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