「【”目ぇを覚ませええ!”愛知が誇る三英傑を筆頭に日本史の偉人達がAIにより復活し、内閣を結成する破天荒なエンタメ作品。キャスティングが絶妙で就任した役職も適任。日本史好きには堪らない作品でもある。】」もしも徳川家康が総理大臣になったら NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”目ぇを覚ませええ!”愛知が誇る三英傑を筆頭に日本史の偉人達がAIにより復活し、内閣を結成する破天荒なエンタメ作品。キャスティングが絶妙で就任した役職も適任。日本史好きには堪らない作品でもある。】
■2020年。コロナ禍により総理大臣が急死し、内閣も崩壊する。政府の人事を陰で操る御子柴(酒向芳)は、人工知能で且つての歴史の偉人を復活させて偉人内閣を立ち上げる。
◆感想<Caution!内容にやや、触れています。>
・今作のキャスティングが絶妙で、偉人たちが任命された職務とのマッチングも抜群に可笑しい。
1.徳川家康:総理大臣(野村萬斎)
もう、この人しかいないでしょう!
そして、彼は策謀に会いつつも、国民の安寧を考えるのである。流石、徳川幕府260年の礎を築いた男である。
2.豊臣秀吉:財務大臣(竹中直人)
秀吉は竹中直人に尽きる!何たって、大河ドラマで二度も秀吉を演じているからね!
作品後半の、腹黒さや狡猾さもバッチリである。
3.織田信長:経済産業省大臣(GACKT)
今作で、一番格好良かった大臣だったなあ。
リモート国会で居眠りしている愚かしき議員たちに、”目ぇを覚ませええ!”とドスの効いた声で叩き起こすシーンは、場内爆笑。大体さあ、議員の人達は給料もらっているのに国会で寝すぎだし、リモートにすれば寝ているのも分かるから宜しい。更に議員は半分で良いんじゃないの?特に、参議院かな。
彼は、更に、”令和、楽市楽座”を拓いて、経済を回すのである。斬新である。
流石、新しもの好きである。
4.坂本龍馬:内閣官房長官(赤楚衛二)
リポーターの西村(浜辺美波)が、突然質問を振られて“ぜよって何ですか?”と聞くシーンも可笑しかったな。”ぜよは、ぜよぜよ。”クスクス。
5.徳川吉宗:農林水産大臣(高嶋政広)
享保の改革の人だからね。農業政策だったらバッチリ!
”暴れん坊将軍ならぬ、暴れない将軍。”というキャッチコピーもナイスである。当然、家康には頭が上がらない。
6. 徳川綱吉:厚生労働大臣(池田鉄洋)
生類憐みの令を出したお陰で、愚君とされているが、実は良い面も多かった人である。当然、彼も家康には頭が上がらない。
7.北条政子:総務大臣(江口のりこ)
もう、絶妙に可笑しいキャスティングである。“♪るーるる、るるる、るーるる♪”と音楽がながれる中の”政子の部屋”のシーンも、場内から笑い声が上がる。
8.紫式部:文部科学大臣(観月ありさ)
リモートで、源氏物語の教育をチビッ子達にする。
9.聖徳太子:法務大臣(長井短)
正に、元祖法務大臣である。なんたって、十七条憲法を定めた人だからねえ。
10. 足利義満:外務大臣(小手伸也)
何でも、金ぴかが好き。金閣寺を建てた人だからねえ。
■偉人政府が行った政策
1.コロナ給付金の全国民への無償支給
・マスコミから”手続きはどうするのだ!””財源は?”という質問に、経済産業省大臣の織田信長は、大企業のトップを集め、比叡山の焼き討ちの話をしながら寄付金を募るのである。”鳴かぬなら、殺してしまえ不如帰。”そして、次々に集まる寄付金。クスクス。
そして、”ズルをした人にはどうするんだ!”と言う質問には、”斬首だ!”とキッパリ!
2.農林水産大臣の徳川吉宗が提示した、コロナ禍で職を失った人への全国の遊休農地解放。そして、日本の食物自給率を上げる政策。斬新だなあ。
3.前述した、国会のリモート会議化。
大賛成である。序でに議員数も減らせばよい。更に、分かり易いように、寝ている議員はドアップでTVに映す事を提案したい。(NHKは忖度するからなあ・・。)
■で、起こった謀反。
・日本国民の人気が集中した織田信長が”人生50年・・。”と敦盛を能舞台で舞う中、ホログラムが消えてしまうシーン。
替わって登場した秀吉の本性を表した悪い顔を、竹中直人が嬉しそうに演じる。何たって、いまだに本能寺の変は秀吉が企てた説がある位だからねえ。
”中国大返し”は、信じられないとか言ってね。
更に、秀吉は現代日本の民の思想、行動を激しく痛罵するのである。
”SNSとやらに振り回され、自分の意見を持たない。今の選挙の投票率の低さは何だ!”悔しいが、正論だろう。
・そんな中、家康は秀吉と御子柴の画策により幽閉されるのである。そして、家康内閣総辞職とかメディアに出てしまうのである。
秀吉なんか、信長がいた時にはヘコヘコしていたのに、居なくなったら大威張り。中途半端に出世する輩って、こういう右顧左眄する奴が多い。けれど、途中で居なくなる。世の常である。
・だが、ここで描かれる信長と家康が話し合うシーンが、後半に効いてくるのである。信長は秀吉に対し”貴方は、私が成し遂げなかった日の本統一をし、世界でも稀なる安寧な時代を築いた人だ。”という言葉は、ナカナカであった。
・そして、復活した家康は、
”儂は民を信じる。そして、変わらぬ安寧な世を築いて欲しい。”と言うのである。
その言葉を聞いた日本の民は涙し、皆、選挙にも足を運ぶのである。
投票率が、空前の数字を叩き出すシーンも良かったなあ。
更に、リポーターの西村から好きな風景を問われ、家康は高台から江戸城を見下ろして、感慨深げに自身が礎を築いた”江戸の町”を見るのである。
<今作は、大変面白い偉人コメディでありつつも、現代日本に生きる我々に大切なメッセージを告げる作品である。
それにしても、偉人政府のキャラクターたちは、個性豊かで良かったなあ。
掲げる政策も、斬新だったしね。流石、日本の土台を築き上げて来た偉人達である。>