三日月とネコのレビュー・感想・評価
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餅ではなく、パン
この作品は、不幸の上に建っていない。
震災にも特段被害は受けず、過去にトラウマもなく、最後まで悪いことは起こらない。
それでも全員が“欠落”を感じている。
とにかく少々“普通”のレールから外れているだけで、“何となく”満たされない、というのはリアル。
ここに共感できるかどうかが分かれ道だと思う。
クライマックスは、どちらを選んでも幸福な、それ故に選ばなかった方にも未練が残るという贅沢な2択。
最終的に「どっちも選ぶ」というあまりに都合のよい結論なので、否定意見も多いだろう。
しかし個人的には嫌いじゃない。
3人の共同生活とか、作家といきなり仲良くなる鹿乃子とか、まぁそういう縁があってもいい。
偶然にも相互フォローしてた灯と長浜とか、全員の転機が同じ日に訪れる奇跡とかも、まぁ映画だし。
灯の少女性に鹿乃子の惑い、つぐみの拗らせに網田の安心感、長浜の穏やかさも非常に良かった。
ただ、仁だけは有り得ない。
灯と鹿乃子の時も、つぐみの時も、初手があの距離の詰め方でその後の発展はないでしょ。
2年を共に過ごした同居人ならいざ知らず、長浜をいきなり呼び捨て、大荷物を引かせてスタスタ先頭を歩く。
家事を手伝うなどもなく、端々で不快感を覚えた。
映画的なドラマ性のないリアルさと、ご都合主義のバランスが受け入れられないとキツい作品。
されど食事は尽く美味しそうで、安達祐実と倉科カナの、何よりネコの可愛さには抗えない。
隙間に入るのが好きなネコは、人の心の隙間にもすっぽりと入ってしまうもの
2024.5.28 TOHOシネマズ二条
2024年の日本映画(112分、G)
原作はウオズミアミの同名漫画(集英社)
震災を機にルームシェアを始めたネコ好き男女を描いたハートフルヒューマンドラマ
監督&脚本は上村奈帆
物語の舞台は、熊本県熊本市
書店員として働く灯(安達祐実)は、40歳になってもこれと言った出会いがなく、愛猫のまゆげ(にぼし)と暮らしていた
ある夜、地震が起こり、屋外に避難した灯は、そこで同じマンションの住人・鹿乃子(倉科カナ)と出会う
彼女はミカヅキ(Elphie)という白猫と一緒に住んでいて、今は精神科医として働いていた
不安が過ぎる中、停電の復旧を待っていた2人だったが、そこに猫好きの青年・仁(渡邊圭祐)がやってきた
場の雰囲気が明るくなったと同時にマンションの停電も復旧し、それぞれは自宅へと戻ることになった
だが、鹿乃子は「余震が怖いから、もう少し一緒に居ませんか?」と言って、2人を自分の部屋に誘った
物語は、そこで縁が結ばれた3人が共同生活を始めるというもので、それぞれの新しい人生が訪れた時にどうするか?というものを描いている
一歩間違えば「鎖」になりかねない関係で、家族ではないゆえに相手への配慮が枷になるような印象もある
40歳を越えて、1人で生きていくことを決めかけていた灯には、編集者の長浜(山中崇)が現れ、趣味も好みも全て理想的だった
恋愛に興味のないつぐみ(石川瑠華)に惚れ込んだ仁は、自信過剰に追いかけていくものの、恋愛関係にはならずに距離を置くことになる
明確には描かれないが、鹿乃子は同性愛の気があり、作家の網田(小林聡美)もそれに近い印象がある
とは言え、彼らの関係は心理的なつながりを重視しているので、性欲的に強く繋がりたいとは思っていないところがあって、この感覚が今風のように思えた
映画は、ネコがたくさん登場するが、最終的には人とのふれあいこそが人生を豊かにすると結ばれている
その隙間を埋めてくれる存在がネコであり、人間関係というものは持続的ではいられないゆえに、休息が必要となってくる
そう言った時にそばにいてくれる存在があれば心強く、悩みを吐露できる環境というものが大切なのかな、と感じた
いずれにせよ、ネコ好き御用達の映画ではあるが、そこまでネコありきの映画でもないところが面白い
ネコに傾倒しまくる人生だと難しいところがあって、かと言って癒しをおざなりにする人生も大変だと思う
本作におけるネコとの関係はバランスが保たれていると思うので、これぐらいの距離感を保てるのなら良いのではないだろうか
小さな違和感
小林聡美さんのファンの為鑑賞しました。
熊本の震災をきっかけに知り合った男女3人の共同生活を通して、それぞれの生き方を模索していくストーリー。
こういった題材や大きな出来事がなく進んでいく物語も好みです。
しかし、所々持った違和感が物語に没頭できませんでした。
・医者と書店員とフリーターが住んでいるマンションとは…?フロアによって家賃が間取りが異なり家賃も違うのか?エントランスは高級そうだったがどういう設定なのか?
・仁がゲイなので3人の同居が成り立っていたと思っていたがそうではなかった。
・子猫を置いて一泊旅行は大丈夫なのか。
・灯は引越し準備までしておいて結局みんなで仲良く暮らしましたの童話エンドなのか?
3人の台詞は少し押し付けがましくてムズムズしましたが、ファンの欲目か小林聡美さんの演技はやはり好きです。
個人的にはこういったほっこり映画ではない作品に出演して欲しいのですが…
やっぱり一緒。
2016年4月福岡在住の本屋で働く猫好きな戸馳灯の話。
仕事を終え自宅マンションに帰り、愛猫マユゲと過ごすなか突然襲ってきた震災級の地震、停電の為マンション外の広場へ猫と一時避難すると…、猫を連れた女性鹿乃子との出会い、猫が好きで寄ってきた仁、「猫好き」という共通点から一緒に住み始める3人のストーリー。
鹿乃子の余震が怖いからもう少し一緒にいようから始まり、2年が経った時、愛猫マユゲは亡くなって、鹿乃子の愛猫三日月と猫譲渡会で譲り受けた猫2匹(フーとギー)を持ち帰り、灯、鹿乃子、仁の3人と猫3匹の暮らしが始まる。
冒頭から流れる優しいBGMと猫と過ごす優しい描写で掴まれ、日々の日常と恋愛、40歳独身(灯)の悩みみたいなものを絡ませながら進んでくんだけど、原作未読でしたが面白かった。
ただ本作を観て分からなかったのは網田すみえ先生と鹿乃子の関係性が略され過ぎてるのかよく分からなかった。書店でのサイン会で出会い、その後の食事会後の食事と、それで何で2人が一緒に住むって話になるって感じだったけど、同性愛者か何か?とも、思ったけど、後々皆と住みたかったのね。
仕事絡みで出会った編集者の彼と出会い、実はSNSでフォローしてるアマ料理家と知り、恋愛から疎遠気味な灯に光が見えたけれど、上手くいってる事に浮かない顔の鹿乃子に何で?と思ってたけど結局この生活を終わらせたくないと分かって納得。原作は分からないけど本作の雰囲気と3人の素敵な関係性はもう少し観てたかった。
灯演じた安達祐実さん、子役で活躍してた頃よりも今の方が好きだな~
猫好きにも賛否ありか
まず
演技力もうちょい。
セリフが棒読みとは言わないが
言わされてる感があって、自然な感じがもう少し欲しい。
あと、一番は猫要素。
基本的に猫はキッカケでしかなくて
ストーリーにはほぼ無関係。
中身は多様性がテーマの人間ドラマ。
展開が速いのか遅いのかよくわからないほのぼのした部分が多くて。
後半はほぼ他人のデートを見てる感
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