「密着取材したドキュメンタリー風」12日の殺人 かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
密着取材したドキュメンタリー風
冒頭で宣言された通り事件は結局未解決、この映画が描いたのは犯人探しのミステリーではなく、事件を巡る人々のノンフィクション風人間ドラマだった。
新任の主任ヨアンとベテランのマルソーが軸となっているが、どこかの警察署の刑事たちに密着取材したドキュメンタリーのよう。
オフィスはむさ苦しい男の巣
帰宅できずに署のソファで寝るとか、オフィスの机に食材を並べて男ばかりのミーティング件夕食は、フランスパンをテーブルに直においてみんなで手でちぎって食べるとか、大雑把だがチーズやワインがあってさすがフランス人
新人刑事を手荒くいじる刑事たち、残業当たり前しかも手当を請求してないって、フランス人のイメージと違う。仕事そっちのけで家庭問題に悩んでいるマルソー、結婚に対して異様に嫌悪感を出すチームの刑事、ヨアンとマルソーの、トイレでおしっこの飛沫を飛ばすな、という会話には、ここまでドキュメンタリー的じゃなくてもいいのにと思った
ヨアン曰く、刑事にはなぜかこだわらずにいられない事件がある
彼の場合は10月12日夜におきた、少女殺害事件がそれ。生きたまま焼かれた彼女の交流関係を調べるうちに彼女の数多くのセフレが容疑者として浮上するが、どいつもこいつもクズに近い男たちで、クズっぷりがバラエティーに富んでいる。彼ら全員怪しいだけで結局シロ。捜査は行き詰まりそのまま塩漬け。3年後に判事の協力を取り付けて再捜査するが犯人を特定することすらできない。結局迷宮入りとなる。
3年後には、署には女性刑事がいる、しかも優秀
3年後の事件の夜に事件現場の防犯カメラに映ったのは、被害者の両親の姿。音声無いが倒れ込んで慟哭する母親の姿がやりきれない
時の流れもドキュメンタリーのようでした。
かわいいうちの娘が惨殺された母の取り乱しようが気の毒すぎて見ていられなかった
その上、みだらな女として世間に知れ渡り嫌悪と好奇の目を向けられる
少女の親友が泣きながら、クララが殺されたのは女の子だったからよ、と言ったのがひりひりする。犯罪を犯すのも捜査するのも男ばかりと、新人女性刑事も言ってたっけ
ヨアンがひたすら自転車を走らせるのは、ストレスの解消と自身の思考のためでしょうか
考えながら公道を走るのは危ないかも
共感ありがとうございます。
マルソーが抜けた後のデカ部屋には女性の新人も入り、コピー機も直ってる。お蔵入りにはなりましたが、ちょっと班長も明るくなってて実際有りそうだなぁと思いました。