ディア・ファミリーのレビュー・感想・評価
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実話の制約を脱する事出来ず、映画としては凡庸で残念です
非のつけようがない感動作、ましてコメディ色の強い大泉洋がシリアスに挑めば悲しみもひとしおで。なによりこれすべて実話であり、とんでもなく執念深い主人公のスタンスが全編を支配する。役者も揃って盤石で、70年代の様相を見事に再現も圧巻のレベル。名古屋駅、今はJRタカシマヤの巨大ビルがそびえてますが、それ以前の光景を動画で再現し身震いするほどです。古い新幹線のブルーとグレーのシートでタバコをくゆらすなんて、時代を強烈に呼び起こされました。
そもそも医学畑でない方が医療の現場に絶大な貢献をされた事実をまるで知りませんでした。いわば偉人伝の映画化と言っても過言ではないでしょう。どうやら原作があるようで、アトムの心臓「ディア・ファミリー」23年間の記録に基づく。本作はこれをベースにこの一家の十数年を描き、家族一体となった献身の尊さを謳いあげる。
こと左様に内容的には全く平伏すのみですが、ここは敢えて映画としてのジャッジをさせて頂きます。感動された皆様を陥れるつもりはさらさらなく、ただ映画としてもっとすべき事があって、もっと感動出来たと思うのです。ですから辛辣戯言とスルーして頂いても結構です。
なにより本作は平板で、感動すべきシーンを織り交ぜ琴線に触れるセリフも用意されていますが、結果的には退屈が支配してしまっています。なによりこれ程の偉業をなされた坪井宣政氏の際立った執念をもっと拡張すべきであった。冒頭からアフリカ帰りの禍々しい登場をされるほどに非凡な方、愛する娘のために尋常ならざる執念の源をもっともっと描くべきではないでしょうか?
8億円もの出費を厭わず、もちろんそれが可能な程の資産がおありだったでしょうが(住まいの様相にそれがよく表れてます)、それでも社員が次々の執念の鬼と化した経営者に愛想をつかし辞表に至る一方で、古参の社員はこの執念を応援する者もあらわれる。さらにいとも簡単に米国に乗り込むバイタリティ、そして人口心臓にはまだ30年かかると聞いて即座に「なら3倍努力すればいいじゃない」と答える規格外のポジティブ。もっともっと彼の事が知りたくなるのです。
逆に言えばタイトルに引きずられ、家族の結束に、もっと正確に言えば家族の美談に寄り添い過ぎたと思うのです。主人公が変人な程に面白くなるのは世の通説で、坪井宣政氏のそれこそ菅野美穂扮する妻との出会いのトンでもエピソードから描き、基調は大泉洋らしくコメディ調で描き、家族の献身は控えめに徹底して変人ぶりに焦点をあてて欲しかった。それでも他人様を数多助けたにも関わらず娘の命を救えなかった悲劇性が強烈に残るはず。
医療の世界の白い巨塔ぶりにも触れてますが深追いもせず、光石研扮する教授の役所臭さをもっと貶してもいいじゃないでしょうか? 有村架純扮するレポーター役をサンドイッチ構造にしたところで、却ってわざとらしさしか感じません。そもそもお久しぶりの有村が全然キレイに映ってないのは大問題です。一方菅野美穂扮する妻は終始美しく、やたらバストが強調され違和感ありあり。折角の川栄李奈が姉役ならば、難病とは言え妹に嫉妬するくらいのドラマを用意すべきであった。
実話ゆえの制約が全ての原因でしょう。折角の映画化に日本的忖度が作品をダメにしてしまった典型でしょう。
ハンカチ必需品
映画が始まる前にトイレに行き用をたして手を洗う時にハンカチを忘れたことに気付きました。でも、男なんでまぁええか!いつもの事や、と気軽に考えて劇場の席につきました。この後ハンカチがない事をこれ以上なく後悔するとも知らずに、、、
映画は実話を元に諦めずに娘の為人工心臓の開発に人生をかける男の話 大泉洋が熱演、他のキャストも見事に演じきりました。映像も昭和の町並みや今はない電車や旧型新幹線、を再現しとても懐かしく50代60代といった世代にはたまらないものがあったかと思います。50代以上の方なら是非みて欲しいですね。
冒頭に戻りますがとにかく泣かされます。悲しいシーンで泣かされ、熱く語るシーンで泣かされ、ラストの辺はぐちゃぐちゃの顔を手でビチャビチャになりながら鼻をすすっていました。あちこちの席ですすり泣きの声が聞こえてきました。
これから見る人、ハンカチは必需品です。
driving forth
夏至の日にこの映画を見た。母の死から5週間が経とうとしている。母も父も私の中で生き続けてはいるけど、人は何の為に生きるのか、という馬鹿げた問に付き纏われている。「今だけを見よ」と言われ日々実践しているが、根源的な問いに対する答えにはならない。
人は死に向かって日々を生きている。「死ぬ為に生きる」という所に根本的な矛盾がある。どうあがいてもやがては死ぬ、だからこそ、日々を精一杯生きるのだろう。
私の親しい人が病の床についている。その人の事を思いながら、それと母の事を思いながらこの映画を見た。医学の進歩はやはり凄まじい。それを支えているのは「情熱」だ。何が何でもやる、絶対にやる。私がやる。という情熱だ。「driving forth」という語感がピッタリだ。それは今の私が最も手に入れたいものだ。
生まれつき心疾患がある娘の為に全てを投げ打ち人工心臓の開発に素人が取り組む。その開発はできなかったが、その過程で得た知見が国産のバルーンカテーテルの開発に繋がった。17万人の生命を救ったとクレジットタイトルで流れた。
私が最も印象に残ったシーンは校門への坂道を一歩一歩、登って行く靴音だ。その一歩は医学の進歩であり、困難への挑戦であり、歩み続ける鼓動だ。
不可能を可能にするには「脳のリミッターを外す」しかない。脳は楽な道、楽な方を選択するようにできているから、運動でも勉強でも、人工心臓製作でも、「それはムリだ」「無謀だからやめておけ」と脳は指令を出す。それに抗う力がdriving forthだ。
個人のリミッターが外れても、次には組織のリミターがかかる。国産よりもアメリカ産というバイアスも手伝う。
物理的に物が動くには最初のエネルギーが最も大きい。その源は自分の為ならば湧いては出てこない。他者の為の時、最も大きなエネルギーとなる。
動き出しはしたけどそれが軌道に乗るとは限らない。何度でも、何度でもチャレンジし諦めない、折れない心、それにはやはり、周りの人の理解と協力が不可欠だ。だから映画のタイトルが「ディア・ファミリー」なんだ。ファミリーには工場の従業員もデータを提供し開発に協力してくれた医師も含まれる。
・医学の進歩を信じろ。
・家族の力を信じろ。
・不可能を可能にする意志の強さを信じろ。
人や社会を変えるのは人の思いや願い
落涙のプロジェクトX
全体的にテンポが良く、あっという間の上映時間でした。俳優さんの演技...
涙だけでなく勇気が出ます
熱演に泣ける
感動必須の映画は苦手なのですが、大泉洋ちゃん主演なので観てきました。
次女を救おうと奔走する父と、その父を支える母と、明るくふるまう娘たちの物語でしょうか。
実話が基になっているせいか、リアルさが心に響いて泣けました。
洋ちゃんにも娘さんがいるので、更に熱演になったかな~と思います。
こういう人々が技術の進歩を支えているのかもしれません。
それにしても番宣の洋ちゃんと菅野美穂さんが、映画の中のシリアスなキャラクターと全く違っていて、そのギャップ(シリアスなドラマの間にお笑いのCM が入るみたいな感じ)で、 一寸不愉快かな。
洋ちゃんが面白いのはわかるけど、番宣のやり方をもう少し映画に沿わせてくれたら~と思ったので、-0.5ポイント。
予告の音声でもう泣いた
超前向き家族
今まで観た映画で最も泣きました。文句なしで良い映画です。
ハンカチ二枚、ご用意ください。
日本人向けIABPカテーテル開発秘話
先天性の心臓疾患を抱えた二女(福本莉子)のために、人工心臓の開発に身を捧げた父親(大泉洋)と、その家族のお話でした。実話を元にしたストーリーということで、莫大な開発費を自費で賄い、日本のみならずアメリカの病院にまで飛んで可能性を追う父親の信念と行動力は驚くべきものでした。ただ、映画としては余りにストレートで、直接的に涙腺を刺激されている感じだったので、もう少し捻りが欲しかったかなと思わないでもありませんでした。
ストーリーを離れたところでは、闘病の中で成長する二女を綴った1970年代、80年代のシーンで登場する風景や、女性陣の衣装や髪形、そして特に車なんかが郷愁を誘うものでした。
また、個人的に興味深かったのは、人工心臓の開発を断念した後に開発に着手したIABPバルーンカテーテル。以前この種の医療機器の販売に携わっており、かつ本作のモデルとなった父親が設立した会社には、かつての同僚も勤めていたりして、その点実に身近なお話であることが分かりました。ただ15年以上医療機器業界にいて、IABPバルーンカテーテルの存在も知っていたのに、外国製しかなかった同製品の日本人向けの改良品が登場した裏に、こんなストーリーがあることを知れたのは、非常に印象的でした。
また、原作である「アトムの心臓『ディア・ファミリー』23年間の記録」を書いた清武英利氏。どこかで聞いたお名前だと思ったら、元々読売新聞の記者で、後に我が栄光の巨人軍の球団代表やGMを務めたものの、色々あって解任されてしまった方でした。なるほどお名前を知ってる訳です。まあ作品とは関係ありませんが。
そんな訳で、本作の評価は★3とします。
家族の物語であると同時にニッポンのモノ作りの映画でもあった。
医療機器としてのバルーンカテーテルの開発史などについては、開発会社のウェブページをカンニングしたところでは、略々(ほぼほぼ)事実の通りで、その点については、映画作品としての脚色も、なかったようです。
そのことを踏まえると「親の一念」というものは、物凄いものだということを以外に、なかなか適切なレビューが思い当たらない評論子です。
否むしろ、ニッポンのモノ作りの精神には、こちらも物凄いものがあったという方が、偽らない感慨に近かったように思います。
モノづくり系の中小企業は、しばしば「多様な技術・技能の担い手」と形容されますけれども。
その「多様な技術・技能の担い手」が、日本経済の基盤を根底から支えてきただけでなく、モノづくりを通じて、こうやって人の命を救うことにも貢献してきたことにも、思いが至りました。評論子は。 そういうことも含めて「ニッポンのモノづくり」であり、日本はモノづくり大国なのでしょう。
本作の場合は、佳美の家の家業が素材(ビニール系樹脂?)加工を本業とする町工場だったことが、本作のストーリーに、大きく寄与しているようです。
(不幸中の幸いだったとも、いうべきでしょうか。)
思い起こせば、日本で初めて開発された胃カメラは、今のようなケーブルの先に仕込まれたレンズ(撮影部)で動画を観察するものではなく、ネガフィルムに映像を撮影固定し、体外に出したカメラから取り出したフィルムを現像処理して、初めて読影ができるというような代物だったと聞き及びますけれども。
(つまり、食道を通して胃の中に入れられるミニチュア版の「写ルンです」みたいなものだった。)
開発に当たって、一番に困難を極めたのは、フラッシュに使う電球だったということでした。
真っ暗な胃の内部を5枚は撮影できるーつまり、小さな小さなカメラ本体に収納できる小さな小さな、もっと小さな電池から供給できる僅かな僅かな、ほんの僅かな電力で、少なくとも5回は発光可能な電球を、果たして作ることができるのか。
胃カメラの開発の最大の難関は、その一点にあったようです。
その仕事を引き受けたのは、空港の滑走路に埋め込む特殊な電球を作っていた中小企業の町工場のだったようですけれども。
その社長さん兼職人が「ウチに話を持ってきてもらって、断ったというケースを作りたくない」という職人気質(かたぎ)から仕事を引き受け、胃カメラ本体の開発・製造をを請け負っていたオリンバス光学工業に、試作品5個を納入したのが、世に胃カメラが出回る嚆矢となったと承知しています。
本作でも、そういうニッポンの(町工場の)モノづくりの能力の高さを実感する一本にもなりました。
親の子を想う心根の熱量の大きさと共に、上記のような事情も垣間見ることのできる本作は、充分に佳作と評することができると思います。
評論子は。
(追記)
泣きました。素直に。
重度の先天性涙腺脆弱症を患っている評論子は、ひとたまりもありません。
(追記)
むろん、ダンナも頑張っていましたけれども。
そのダンナの頑張りも、この奥さんあってのことでしょう。
どちらも似通ったものという意味では、正しく「割れ鍋に綴じ蓋」(あくまでも良い意味で)のご夫婦だったのだと思います。
その点も、本作の魅力であったことは、間違いがないことと思います。
〈映画のことば〉
何もしない10年と、やってみる10年。あなたは、どっちを選ぶの。
〈映画のことば〉
「なければ、作ればいいんだ。人工心臓を」。
「なんで、そんなこと気がつかなかったのかしら。」
(追記)
ニッポンのモノづくりという視点から観てしまったせいなのか、本作の「つくり」としては、宣政・陽子のご夫妻を始め、家族の佳美を想う関係性の方に力点が置かれ、モノづくりとしての本作のバルーンカテーテルの「開発秘話」のようなことには、あまりスポットが当たっていなかった印象です。
(製品としての製造上の企業秘密をネタバレさせないような配慮もあったのかも知れませんけれども。)
ただし、この点は、本作を、いわゆる「お仕事映画」という視点で観た場合のことであり、それを本作に当てはめるのは、ある意味「評論子の勝手な視点」ともいうべきでしょうから、上掲の佳作としての評価には、この点を反映(減点)していないことを、念のため申し添えておきたいと思います。
実話か~、泣かせて頂きました~😢
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