ディア・ファミリーのレビュー・感想・評価
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誰が為に、他が為に
迷っていたが、ミセスの曲と高評価に背中を押され鑑賞。
予告では大泉洋と菅野美穂の演技がややクサく感じてしまったが、思ったより気になりませんでした。
小学生が日記に「疾患」なんて言葉を使ったり、町工場の社長が8億も用意したり、どこまで事実だろ。
借金までしてた割に終始裕福そうだったけど。笑
しかしまぁ、そんな細かいことはどうでもいい。
ものづくりの話でもないので、難しい理論とか何がどう凄いかとかも重要ではない。
娘の命を救いたい両親が、目的のために恥も外聞も常識も取り去って奮闘する。
その姿に胸を熱くすればいい作品です。
佳美の結末を本サイトのレビュータイトルでネタバレされてたこともあり、意外性は皆無だった。
しかし、予告で何度も聞いたが、「私の命は、もう大丈夫だから」はズルい。
娘にあんなこと言われたら、諦められないよね。(肩を揉む福本莉子の手がまた小さくて、もう…)
ただ、話としてはここが頂点だったように思う。
佳美の最期は見せないし、カテーテル開発の描写もやや中途半端。
どちらも描く必要があるのは分かるが、人工心臓とカテーテル、どちらかに力点を偏らせた方がよかった。
英詞の挿入歌は浮いてるし、最後の文字も説明的過ぎてちょっと冷める。
また、メタ的な視点になるが、主役級を脇に使い過ぎなのはノイズ。
個人的には満島真之介はギリ、有村架純、川栄李奈あたりの役どころはもっと控えめな方がよかった。
その点、徳永えりの配役と彼女の出過ぎない演技は見事。
色々書いたけど、大きな欠点もなく、哀しいだけで終わらない良作でした。
石黒教授に正当な方法で意趣返し出来たのもスッキリ。
役者の力
家族の愛に包まれた物語
前進あるのみ 次
坪井佳美の死は偉大な救済を生んだ!
この作品の中の大動脈内バルーンパンピングは、心臓の機能が低下し、自らの心臓で血液を全身に送ることができない状態に対する治療法として確立されているようです。使用期間は長くて10〜14日ぐらいで、永久的な人工心臓とは違いますが、今までに数多くの(世界で17万人)心臓病疾患の方を救ってきたかと思うと、この映画の主人公になった坪井社長(大泉)にめちゃくちゃリスペクトです。坪井社長は坪井佳美(福本)の人工心臓を作りたかったが、挫折して叶うことができませんでした。しかし、副産物として大動脈内バルーンパンピングを、さまざまな困難を乗り越えて世の中に送り出すことができて、本当に幸せな人生だと思います。坪井社長の人生は、心臓病の娘を持つことによって、家族をより深く愛し続けること、そして自分がこの世で果たすべき使命に全力投球することが、どれだけ世の中のお役に立てるかという人生を学んだのでしょう。また、どんな困難があっても、常に妻と共に前向きに「次はどうする?」と自分に問い続けて進むことが、幸せな人生の生き方であると悟ったのです。あと、坪井社長の持つ直向きな向上心は、強い波動となって周りに人々たちに届き、その人たちの波動あげた状態で糾合することができました。これは彼の人徳の崇高さだと言えるでしょうか。もう1つ、坪井佳美の名台詞にもやられました。自分の死を俯瞰して放った菩薩のような言葉です。「私の命はもう大丈夫だから、みんなを助けて!」みなさんどうぞハンカチ&タオルを用意して堪能あれ!
追記 企業のトップが、すぐに売上に結びつかない仕事に没頭している姿を見る社員は、不安でたまらないかもしれません(笑)。夢を追う精力的なトップに、そういう方が多いような気がしました。
そりゃ泣くよ
このジャンルのものはあまり得意ではない。
おおよそのストーリーは分かってるし、それによる自分の気持ちの動きも想像がつく。
得意ではないのに選んだのは、個人的な動機があるからです。(それは後述)
鑑賞して。
いやそりゃ泣くよ。
分かっちゃいたけど、ボロ泣きです。
制作側の思惑通りに泣いてる自分がなんだか悔しくて、大泉洋に泣かされてなるものか!と、たまに冷静に自分に言い聞かせたけれど、くそー。私の負けです。
後から振り返れば細かいツッコミ所はあったけれど「実話を元にしている」という前提の前にはどれも野暮に思えるばかりでした。
というか、私、途中から映画としてじゃなくてたぶんドキュメンタリー作品として見ていたんだな。心の急所を突かれたような作品でした。
私に子供はいないけれど、私自身が子供だったことはあるわけで。
娘のために東奔西走する大泉洋に、私に愛情をたっぷり注いで育ててくれたわが父の姿が重なりました。
父の日の直前に公開したのは偶然?それとも、何か意図があったのだろうか。
親孝行なんて何もできていないけれど、せめて健康で、親よりも先に逝くことだけはないように、なんて思ったりしました。
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この映画を鑑賞した動機について。*以下、映画の感想から外れます。
(行数あけてもたいして意味ないですがなんとなくあけてみました)
身内に難病を患っている者がいます。
診断されたのはおよそ20年前。
当時の時点でそこそこ研究が進んでいて、あと10年もすれば治る病気になっているんじゃないかといった楽観論もありました。
が、20年経ち、実用化まではまだまだ時間がかかるようです。
そんなこんなで、全くのゼロから途方もない尽力の末に完成させて世に送り出したその物語を見たい、と思いました。
翻ってウチの場合。使命感をもって邁進してくれる医師もいてくれます。
が、お金の問題は常に付きまとうし、利権やら特許やら審査やら、臨床と関係ないことで足踏み状態が続いています。
その間にはコロナもあり。
あの時は、未知のウイルスを前に世界中の頭脳がしゃかりきになって、短期間でワクチンを作りあげました。
それを見て、やればできるんじゃん、他の病気でもそのくらいの熱意で進めてくれよ、なんて思ったり思わなかったり。
身内の病気は、進行すれば生活に不自由が出るものの、命には影響しません。
なので「命」基準で考えれば「リミットはない」し、この映画の家族と同じ土俵で語ることなんておこがましくてとてもできません。
ただ、患者は、治療法ができるその日をずっと待ち続けています。
人物設定や職種 環境含めなるべくして生まれたドラマ
2024年劇場鑑賞47本目 優秀作 71点
鑑賞予定ではなかったが、高評価を受け鑑賞
実に映画的な題材と展開、なるべくして生まれた家族ドラマと言わんばかりの構造であった
配役が素晴らしくて、どの人物にしても不足がないくらい適役で、主演の奮闘する達者な大泉洋に家族思いで古き女性らしさを持ち合わせた菅野美穂、幸薄めのか弱そうな福本莉子、いかにもな教授光石研、特に良かったのが、松村北斗
彼は正直最初また役者枠で売り出しているジャニーズかくらいで、顔もタイプじゃなかったけど、昨今どの映画作品でも演技が上手くて、すっかりファンになり彼の普段のキャラクターまで追ってしまった始末
声がすごく良くて、淡々と静かに熱い青年の役でも、正気を逸したモンスターの役でも豹変できるポテンシャルがある
物語についてだと、家族の危機に業界未経験ながら奮闘していき、その中での発見や今までの自分が活きる(前職など)展開など、一つ一つのドラマを階層ごとに描いていき、よく収まった優れたドラマであった
それもこれも、不幸ながらこんなにも映画的になった実話が生まれることが、奇跡的にである
いち観客としてエンタメを消化したのと同時に、現世に感謝しないといけない
あくまでドラマ、フィクションとはわかるが
封切りの何カ月も前から、TOHOシネマズの予告で「お父さんが絶対治してやるから」という大泉洋の絶叫にうんざりしていた。
この手の、感動をあおるような映画やドラマにはあまり食指が動かない。
本作の存在を知るまで、愛知に娘を助けるために人工心臓の開発に取り組んでいた人がいた…という事実を、恥ずかしながらまったく知らなかった。
僕は長年マスコミで働き(既に退社)ながら、いろんなことを知っているつもりだったが、この「事実」はまったく知らなかった。
原作は、元読売巨人軍の球団社長で、中部本社(名古屋)社会部長や東京の運動部長も務めた清武英利氏。
その清武氏が、映画は原作を基によくできている、と評して(そう言うのは当たり前だが…)いた。原作者の中には故・西村賢太のように執着・粘着的に映像作品をこき下ろす作家もいるのだが。
その清武氏のインタビュー記事を読み、よくできた映画なのかどうか、本当に泣ける「感動作」なのかをチェックしたくなって都心のシネコンに行ってみた。
映画は街を走る車、新幹線、家庭の中の家電類などなど1970-80年代の雰囲気をかなり丁寧に再現しており、好感が持てた。
ドラマも、大泉の演技は予告編で見たような絶叫がしょっちゅう出てくるわけではない。適切であったと思う。妻役の菅野美穂もかつての美少女の面影を残しながら、アラフィフらしい落ち着いた母を演じている。
いずれ死ぬことがわかっている子供を抱える親の気持ち…それを大泉は時に熱情的に見せるのだが、全体的には比較的淡々と落ち着いた描写で作品にしている、と感じた。もちろん、親子の情が通い合う場面が多く、人の子、子の親であったりすれば共感もし、涙も出る作品だ。
ただ、光石研演じる大学教授との関係や、主人公の会社の事業そのものがどうやって成り立っていたのか、という気になる点は作品中あまり触れていなかったのが残念。もうちょっと掘り下げてもよかったと思う。その点で★ひとつ減らしている。
事実に基づいた映画の場合、最後にモデルになった当事者の写真やら近況について触れたりするものが多いが、それらが一切ないのだ。僕はあったほうがいい、と思った。
日曜の午後、都心のシネコンの巨大スクリーンで鑑賞した。ランキングでは初登場1位も、入りは3割ほどか。どっと客が入ってもいいのでないか。
愛にあふれた開発のお話
娘の余命10年という限られた時間を家族でどう使うか。
不可能かと思われるような挑戦に挑む家族の在り方に感動しました。
「次はどうする?」という奥様の前向きで力強い言葉が印象的でした。
17万人の命を今なお救い続けている
バルーンカテーテルの存在を恥ずかしながら詳しく知らなかったですが、
この映画をきっかけにもっと知りたくなりました。
涙無くしては見られない素晴らしい映画だと思います。
Mrs.green appleのエンディングも感動です。
町工場のオッサンが娘の命を救う映画と思いきや世界で17万人の命を救う医療器具を開発した感動作。 本年度ベスト!!
娘を救う事が出来なかった父親。
他界した娘との約束を成し遂げる素晴らしい作品だった。
久し振りに鼻水を流しながら泣いてしまった(汗)
でも周囲の人の鼻水をすすってる音に自分だけじゃ無いと安心(笑)
そして実話ベースと言う事にも驚く!
心臓病で余命10年と宣告されたら娘の為、医療知識ゼロのオッサンが人工心臓を開発する感じで始まるストーリー。
大泉洋さん演じる坪井宣政が熱いお父さんだった。
娘の人工心臓を作ろうと奮闘する中、開発を断念せざるを得ない状況に陥る。
福本莉子さん演じる娘の佳美が自分以外の人を沢山救って欲しいと言う願いを成し遂げようとする展開。
そんな中、輸入に頼っているIABP(大動脈内バルーンバンビンク)での医療ミスが多く、松村北斗さん演じる医師の富岡が輸入品のIABPが日本人の体に合ってないとの考えにより、宣政が日本人の体に合った器具の開発に着手する展開。
松村北斗さんの演技が良い!
前作の上白石萌音さんと共演した作品も良かったけど本作でも素晴らしかった!
調べたらナント!
彼はアイドルグループの方だったのね(笑)
家族愛を全面に押し出している感じで三姉妹の仲の良さが印象的。
川栄李奈さんが美しい。
・佳美の書いた日記。
・病院で佳美の隣のベッドにいた娘のスニーカー。
・菅野美穂さん演じる妻が宣政にかける言葉。
・佳美の成人式の記念写真。
泣けるシーンが盛り沢山(笑)
有村架純さんも登場。
彼女役の方は実際に宣政が開発した
IABPで命を救われたのか?
気になるところ。
どこまでが実話でどこを脚色したのか不明だけど素晴らしい作品を観られた事に感謝。
宣政が娘を思う事に必死で自分の会社を差し置いていた印象。
莫大な研究開発費用も会社のお金を使っている疑惑も否定出来ない感じ(笑)
従業員の事もあまり考えていない感じが気になりました( ´∀`)
諦めない。信念の強さ。
プロジェクトX
家族愛の話でもあり、ものづくりの話でもある!
TOHOシネマズユーザーなら、映画が始まるまでの幕間の時間お世話になってる福本莉子さん主演?(主演は大泉洋さん?)という事あり鑑賞。
予告でわかる通り言ってしまえばお涙頂戴ものではあるし、大筋の話も想像がつくのだけど、しっかり涙させられてしまった作品でした!!
2時間切る作品で比較的サクッと見られるので、とりあえず感動するやつとか見たいなぁって人、あと意外とものづくりに携わる人にもおすすめかもな作品。
「人工心臓作る話じゃない!」
いや!人工心臓を作る話ではあるのだけど、話はいろいろな困難にぶち当たり結果人工心臓とは違うところに向かうことになる。
夢を追う中で夢の形が変わっただけでそれはそれで素敵な話でした!
「家族愛の話でもあり、ものづくりの話でもある」
本作がもし病気を治すために医者だけが頑張って勉強して〜って話だったら自分には刺さらなかっただろうなぁと思う。
医学の知識とものづくりの技術の知識が掛け合わさる事で1つのものが出来上がっていくというのがとてもよかった。
坪井さんのように命を救うようなものは作ってないが、一応ものづくりを生業にしてる自分としては、金型からどう抜くか〜とかわかりすぎたし、量産して全て同じクオリティって本当大変よね…
自分も欲しいものがないなら自分が作れるようになればいいじゃん!って気持ちでものづくりの道を歩み始めたので、
坪井の自分で作るって宣言に心を打たれすぎた気がする!
なんだか最近はそういう気持ちとか忘れてたなぁ…
もちろん強くて優しすぎる家族愛の物語なのは間違いないのだけど、町工場とかでもなんでもものづくりってものに携わる人ならそういう作るって部分でも刺さるかも。
「福本莉子さんの幼少期役の子」
名前はわからないけど、あまりにも福本莉子さんの幼少期感ありすぎて、他の作品とか見てても思うけど、よくこんなあー成長したらこうなるなーって思うような子役探してくるよね。すごい。
また家庭内の様子もとってもいい子感溢れてましたね。
坂道を登る過程で成長するシーンもなんか良かった。
「あまりにも良くできた子供たち」
福本莉子さん含め坪井家のこどもたはみんないい子!いや、良い子すぎやしないか?
が!まぁあの両親だったらあんな子供たちにもなるか…とも思えるくらい、大泉洋、菅野美穂の両親も素晴らしかった。
思ったほど姉妹での描写はないんだけど、
それでも最後には姉妹の関係をしっかり補完してくれて、関係描写としてはそれだけでも胸打たれた。
「命を救うって大変」
そりゃそうなんだけど、途中これまでかかった費用、これからかかる費用計算してるシーンあるけど、人の命に関わるものを作る、命を救うって莫大なお金がかかる…
いや普段何気なく買うものだって、実際大量に作ってるから、何気なく買えるだけで、工場動かしたり莫大なお金掛かってるんだけどね…
坪井さん研究室の人たちの要望に応えてチューブとか、心臓の金型とかも作ってたけど、全然やるよ!って感じあれだって実際結構なお金掛かってるはず…
命に関係なくものづくりって大変なんだよなぁ…
「儲からなきゃ命も救えない」
物をつくったり、お金がかかるということは、どうしてもそれを回収して利益上げないことには大きな組織は動けないのが、悲しいけど現実だしそうじゃなきゃ世の中おそらくまとまりがつかない。
そして医学会には医学会のルールがあってなんとももどかしい…坪井さんが怒るのも無理ない。
医者も商売なところあるから仕方ないけど、症例の少ない難病の研究ってなかなか研究費に対してのリターンがないんだろうなぁ…
「インタビュアー」
冒頭とラストにでてくる有村架純さん演じるインタビュアー。
ちょっとしか出ないのになんか贅沢な配役と思ってたけど、最後になるほどな話が…
出来すぎた話なので脚本だとは思うけど、個人的にはちょっとそれは出来すぎ感強めで、やや興醒め…
彼女の存在がなくても坪井さんの作ったものがたくさんの命を救ってるってのは伝わるしなぁ…
坪井家が叶えた夢が身近なところでもちゃんと意味を成してる感じがするのは良かった。
医学、研究室の障壁とものづくりの障壁、そして娘の命のタイムリミットという障壁の3つの間で駆け回る坪井さんを中心に坪井家や協力してくれる人の優しさに心打たれる作品。
坪井さんの向かう道はいつも向かってくる人しかいない登り階段だったのも印象的でした。
今年1感動した映画だった…
17万人を救った革新的カテーテル。その開発の裏にあった、家族の物語
先天的心疾患を持つ次女(三姉妹)のために、ゴム製品メーカーの二代目社長が奮闘し、結果として革新的カテーテルの作り出すに至ります。
1970年代の医療技術では10年生きられないと診断された娘のために、人工心臓の開発に乗り出すが実らず。
※人工心臓は現在の技術を持ってしても、手術中という限定された時間でしか使えません
次女は、親や姉妹の深い愛情に包まれて育つとともに、自分でやれることはなるべく自分でやるという意志を持って成長します。幼少期に想定されたよりも長い期間生き、自分にできる貢献をしたいということで親が経営する会社に就職もします。
それでも結果として、次女は若くして亡くなります。
しかし、親や家族が蓄積してきたその経験や技術を人の役にたててほしいという彼女の望みを叶えるため、人工心臓ではなく心臓を含む手術の時に使えるカテーテル(管状のもので、血管を経路として身体の内部に入れられ、血管を補助するなど血管にまつわる手術に役立つ)を開発するに至ります。
当初作りたかった人工心臓でもなく、作ろうとするきっかけとなった次女も亡くなりましたが、このカテーテルのおかげで17万人が救われることとなりました。
原作はジャーナリストの清武英利氏で、元読売巨人軍球団代表だった方です。球団代表だったときに、読売グループの独裁的支配者であるナベツネに反旗を翻したことで、その座を追われた過去があります。
物語の中では、旧態依然とした医療界により、革新的製品が受け入れてもらえない苦悩、それを突破していく姿が描かれます。両者には何か共通するところ。清武さんが人生を通じて大切にしていることがあるように感じられました。
余りにも余りにも
人にとって自分の死を死ぬことは出来ない。それは自分の眠りを意識して、眠る瞬間を自覚出来ないのと同じだ。
だから、物語は「死」を幻想し、仮定し、「物語」の中に納めることで安心を得ようとする。それは仕方がないことだ。問題はその仮想化の姿勢だ。
娘が亡くなることは悲しいことだか、その末期の言葉に「家族を誇りに思う」と言わせることは、余りにも死者に対して傲慢だと私は感じる。
そんな傲慢さが細部に渡るまで行き届いた不快な映画だった。
そもそも冒頭、有村架純演ずるインタビュアーの圧が強いのは、きっとこのカテーテルで救われたからなんだろうなと思っていれば、その通りだし、同室の子が残した運動靴を代わりに履くんだろなと思えば、その通りになるし。
最初反対していた富岡が協力者になるし。お父さんのためにと呟いた後、倒れるし。
自らの洞察力を誇るつもりで言っているのではないし、フラグとその回収がステロタイプであることを非難しているのではない。
ドラマであることと、ドキュメンタリーを下書きにしたことの着地点が必要なことも分かる。しかし、ストーリーを進める時に無限にあり得る描写の中から選び取られたその選択は、どこか人を、人の存在を、もっと言えば尊厳を蔑ろにしている。
人は、あのように話さないし、あのように行動する生き物ではない。「人」の魅力はあんな行動、あんな台詞には1ミリもない。
「私の医師免許にかけて」の一言で、手術を始められるのだとしたら、ドラマツルギーなど必要ない。
また、私にはそんな専門知識がないのだが、循環器の手術に、一介の業者が立ち会うことなど可能なのだろうか?
原作は未読だが、本当にこれはドキュメンタリーなのか?
周囲の啜り泣きがなければ、『翔んで埼玉』よりずっと大笑いできる映画だ。
大泉洋の熱演…⭐︎
娘の心臓病を治すために人工心臓を作ろうとする父親とその家族の物語。
この手のお話しは、湿っぽくて泣いてくださいと言わんばかりになりがちだが
この作品はそんな感じによっていかない。
家族も一緒になって、病気に立ち向かっていく。
菅野美穂はやっぱり上手いなぁ…と思い、姉妹三人もそれぞれに個性があって
面白い(川栄李奈は個人的に少しムリっぽかった)。
でも、なんと言っても大泉洋の一人芝居かと思えるほどの熱演!
今まで彼の演技を良いなと思ったことあまりなくて、「こんにちは、母さん」
などはわざとらしくてウンザリするくらいだったけど今回は町工場の娘を
何としても助けたいという父親に成り切っていた。
物語のテンポも良くて、エピソードが積み重なり 人口心臓からIABP開発への
父親の気持ちの変化も上手く繋がっていく。
娘さんは亡くなってしまうけど悲しさだけで終わらない未来を感じるエンディング
も良かった。
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