「よくある悲しいね、切ないねだけではない」ディア・ファミリー ひとつのオリーブさんの映画レビュー(感想・評価)
よくある悲しいね、切ないねだけではない
他の映画を観に行った時に予告編で見て、その予告編ですでにうるっときてしまうタイプなのですが、この映画は感動物語でもあるけれど、根性の物語でもあった。
よくある悲しいね切ないねだけじゃなかった。
お父さん(大泉洋)は、「あきらめがわるい」。
医療知識もないしお金の問題や利権もあるし全然うまくいかないがお母さんをはじめ家族の応援もある。
普通は無謀だ無理だと言う。命の期限もある。当然だ。でもこの家族は違う。
ここは多少ネタバレなので注意。
私は泣かせにきてるな…と思ったの、あえてパンフレットも見ずにあらすじを見ないようにしていた為に読んでいなかったのだが、こうある。
『世界で17万人の命を救ったIABP(大動脈内バルーンパンピング)バルーンカテーテルの誕生にまつわる実話』
映画鑑賞中に、“そうか…!“と冒頭のシーンを理解した。
予告編にもある、「たとえ明日人工心臓が出来たとしても娘さんは救えない」と担当医が言うシーンと繋がった。
時間の使い方。命の価値。なんのために…と絶望に打ちひしがれるし苛立ちや悔しさも伝わってくる。お父さんだけじゃない、お母さんと3人姉妹の力もある。
でも、愛情だけでは救えない。根性だけでも駄目。悲しいけど綺麗事。
愛と根性、諦めず何年も何年も、10年もの間全力で努力して知識もつけて、結果を積み重ねていくことがすごい。
なのに結果を出しても認めてもらえず、車の中で咆哮する場面では私もやるせなさで心の中でなんでだよ!!!!!と叫びたくなった。
医学部長の言いたいこともわかるが、そりゃないだろと。
それでも諦めないからこそ差し伸べてくれる人もいて、一人ではやりきれなかったことも大勢の命を救う“事実“に繋がったことに尊敬する。
正直、邦画の感動系は難病で可哀想な恋愛でほら泣いてね?みたいなお涙頂戴が露骨で苦手意識からあまり見ていなかった。しかし今回、まんまと泣いてしまった…。
『23年間の愛の実話』の映画、とても良かった。