「良い材料を程よく調理して仕上げられた良品」ディア・ファミリー コショワイさんの映画レビュー(感想・評価)
良い材料を程よく調理して仕上げられた良品
1 我が子の心臓病を直そうと多年に渡り奔走した夫婦の姿を描く人間ドラマ。
2 町工場を経営する一家で、先天性の心臓病である二女。医者から手術は不可能で、余命 10年と宣告された。両親は、二女を助ける唯一の方法と考えられた人工心臓を医科大学との共同研究により10年で実用化することを目指した。しかし、資金不足や大学の研究体制が打ち切られため開発を断念した。二女を助けることができず両親取り分け父親は絶望したが、二女から逆に励まされた。彼は気持ちを立て直し、心臓病の患者向けに使用されながら事故が頻発していた用具の改善に乗り出す。そして・・・。
3 本作で描かれたのは、覚悟を決めて生きた家族と父親の歴史。実話ならではの驚きと感動があった。そして演出は実話を情緒過多に作り込むことや安易な再現フィルムにせず、家族の姿と心情を真っ直ぐに捉えた。二女を巡る家族の絆、モノ作りに向き合い試行錯誤を繰り返す姿、行動力あふれ決して諦めない父親の意思の力、人工心臓の開発は諦めたと告げられたときの二女の言葉、多くの命を助けたが愛する二女は助けることができなかった父親の悔しさ。そのひとつひとつがジンワリと涙を誘い目尻を伝う。
4 大泉洋のキャラクターが生かされていた。そして、人工心臓は自分が作ると言った大泉に、そうよと疑いもなく直ちに同調した菅野には笑い、そして泣けてきた。
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