「言葉にできない」ディア・ファミリー 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
言葉にできない
2024年映画館鑑賞62作品目
7月7日(日)イオンシネマ石巻
ACチケット1000円
原作未読
監督は『君の膵臓をたべたい(2017)』『となりの怪物くん』『センセイ君主』『響 HIBIKI』『劇場版 そして、生きる』の月川翔
脚本は『空飛ぶタイヤ』『糸』『太陽は動かない』『護られなかった者たちへ』『ラーゲリより愛を込めて』の林民夫
実話を元にしたフィクション
絶対に諦めない男とその家族のヒューマンドラマ
粗筋
ビニール製品樹脂の技術者で父から町工場の愛知高分子化学株式会社の経営を引き継いだ坪井宣政には生まれつき心臓に疾患がある娘がいた
主治医から余命10年の宣告を受け20歳まで生きられない可能性が高いことを知らされる
各地の病院に相談したものの厳しい現実を知り状況を打破するため私財を擲ち借金もして人工心臓の開発に勤しんだ
しかしタイムリミットは近づきたとえ永続的な人工心臓が開発されても娘は手術に耐えられるほどの体力はもはやなかった
妻陽子とともに絶望する宣政ではあったが余命わずかな次女佳美の願いを叶えるため人口心臓開発研究で得た知識を使い日本初のIABP(大動脈内バルーンパンピング)バルーンカテーテルの開発に没頭した
アメリカからの輸入品に比べ安全性が格段に高くなったIABPバルーンカテーテルは見事に完成し各病院に売り込んだ宣政は多くの人々の命を救った
死の淵に立つ病床の佳美は酸素マスクを外し「誇り」だと寄り添う両親と姉妹を讃えた
原作本を読んだことがないが監督脚本家共に豊富な実績があり主演大泉洋は芝居以外はなにかとおちゃらけが目立つ人物だが客観的に言って俳優としての評価はかなり高い
妻役の菅野美穂も言わずもがな
とにかく細かい顔芸
彼女を見てるだけでも退屈しない
長女役の川栄李奈はわりと良かった
次女がもう助からない現実を突きつけられ呆然と診察室から出てきてしまい東京からわざわざ名古屋まで車で宣政を送ってくれた医師富岡進に感謝もしない両親を叱る長女の歪んだ表情が特に印象的
エンドロールのキャスト紹介では家族の面々と1人離れ後半の方に名を連ねた
ディア・ファミリー鑑賞後チケット売り場に戻ってくると階段の方からオフコースの『言葉にならない』が流れてきた
イオンシネマ新利府は21時以降になると外に出られるのはそこの階段と隣のエレベーターだけになる
その階段ではしょっちゅうインストゥルメンタルでしっとりしたいろいろな音楽を流す
歌詞全体の内容は映画の内容とあまり合わないが「言葉にできない」「あなたに会えて本当に良かった」というフレーズがピンと来たのでレビューのタイトルに採用した
配役
次女のために永続的な人工心臓の開発に没頭する坪井宣政に大泉洋
献身的に夫を支える宣政の妻の坪井陽子に菅野美穂
先天的な心臓病を患い20歳まで生きられないと宣告される坪井家の次女の坪井佳美に福本莉子
佳美の幼少期に鈴木結和
唯一佳美に甘える坪井家の三女の坪井寿美に新井美羽
寿美の幼少期に小野井奈々
家族の中ではわりと冷静で両親を支える坪井家の長女の坪井奈美に川栄李奈
奈美の幼少期に富井寧音
東京都市医科大学日本心臓研究所の研究医だったが初めは宣政に対し冷めた目で見てさっさと研究所を辞めてしまうがのちに考えを改め手伝うようになる富岡進に松村北斗
愛知高分子化学の社員の中村に野添義弘
東京都市医科大学日本心臓研究所研究医の佐々木肇に上杉柊平
のちにモンゴルに渡る東京都市医科大学日本心臓研究所研究医の柳玲子に徳永えり
東京都市医科大学日本心臓研究所研究医の三浦武に古屋昌敏
石黒の頭が上がらない存在の東京都市医科大学部長の中山に大石吾朗
学生に紛れて宣政が講義を受けていた時の東京大学医学部教授に宮本大誠
佳美の主治医に外川貴博
式典の案内係にさいとうなり
学生だった頃に学生に紛れて東大の医学講義を受けていた宣政の相談を受けたのちの医学博士の桜田純に満島真之介
佳美と同じ病室で先天性心疾患と闘っている少女はるかの母親の川野由希に戸田菜穂
佳美を励ますも幼くして亡くなる由希の娘の川野はるかに宝辺花帆美
かつて子供の頃に宣政が開発したIABPバルーンカテーテルによって命を救われたテレビリポーターの山本結子に有村架純
熱意に絆され人工心臓制作で宣政に協力するがアメリカの記事をきっかけに実用化に向けて対立するようになる東京都市医科大学教授の石黒英二に光石研