「子の命のためという自分の願いから子の願いのために行動原理が変わったとき、ヒーローの原理とその誕生を見た」ディア・ファミリー 僧ヶ鍬崎さんの映画レビュー(感想・評価)
子の命のためという自分の願いから子の願いのために行動原理が変わったとき、ヒーローの原理とその誕生を見た
国から勲章を得る=ヒーローと評される主人公はその功に値するほどの仕事をしたのか?という問いからOPがスタートした時点で脚本に期待を持てた。
映画の前半は主人公は暴走に近い強い行動力で周囲を引っ張り成果を出していく。しかし、人工心臓は子供を救えないという挫折を味わったとき自信を失う。
それに対し背中を押したのは救いたかった子供だった。子供の願いはこれまで動き続けた父がこれからも仕事を続け、自分以外の命を救うこと。
この時点で、主人公の行動原理は自分の願いのためではなく子の願いのため、つまり公のために転換した。そのあとはOPの紹介通りだ。
主人公が公のために仕事をすると決めたとき、ある意味そこで私人としての主人公は死んだ。
「ヒーローは自分を救えない」という手あかのついたテーマとファミリードラマが交差した時、「本当に気高いのは表彰された父ではなく救われるはずだった子であった」と結論されるのは非常に美味しい脚本だ。
予告編からはいい意味で予想を裏切られた面白い作品だった。
コメントする
みかずきさんのコメント
2024年6月18日
はじめまして、みかずきです
ヒーローは自分を救えない。
確かにその通りですね。
本作の主人公も同じですね。
主人公を見ていると、常に高い目標を立てて挑むプロセスこそが人生の醍醐味だと思います。妻もそれを知っているからこそ、次はと呟くのだと思います。