「これからは、二人で一人」ソウルメイト tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
これからは、二人で一人
ミソとハウンという幼馴染みの2人の女性の、十数年に及ぶ友情の物語に胸が熱くなる。
性格も価値観も異なる2人は、必ずしもずっと仲が良い訳ではなく、1人の男性を巡る感情のもつれや経済観念の違いなどが原因で、別離と再会を繰り返すのだが、そうしたことを通じて、切っても切れない「腐れ縁」のような関係性がうまく描かれていると思う。
それは、異性との恋愛とは別次元の、人と人との強固な絆であり、タイトルにもなっている「魂の結び付き」と呼べるものだろう。
最近流行りのLGBTQのような話にせず、純粋に「友情」だけを描いているところにも好感が持てる。
ハウンのブログを辿る形で、過去と現在を行ったり来たりする語り口には、入り込みにくいところもあるのだが、自由奔放なミソが、画家になる夢を諦めて会社勤めになるのと入れ替わるように、堅実なハウンが、教師の職と結婚を投げ出し、画家になる夢を叶えようとする展開は鮮やかで、怒涛のラストまで目が離せなくなる。
2人の名前を形どったピアスや木片のブローチといった小道具のほかに、拾ってきた猫やジャニス・ジョプリンのエピソードなども良い味を出している。
ただ、洞窟でのキスの真相のように、「登場人物は皆知っているのに、観客だけが知らなかった」みたいなトリッキーな描き方をしているところもあるので、何が事実なのかが分かりにくいのも確かである。
特に、ハウンがバイカル湖に行くシーンは、真偽不明で混乱するが、これは、ハウンにそう生きてほしいと願うミソの幻想で間違いないだろう。
ミソは、これからも、ハウンに代わって絵を描き、ブログを更新することによって、ハウンと共に、やりたいことをやりながら、自由に生き続けるのだろう。
確かに悲劇的ではあるが、それと同時に明るい希望を感じることのできる素敵なエンディングだったと思う。