「対話の大切さ」映画 ◯月◯日、区長になる女。 りあのさんの映画レビュー(感想・評価)
対話の大切さ
2022年6月の杉並区長選挙を記録したドキュメンタリー。人口57万人、有権者47万人の首長を選ぶ選挙でわずか187票差で現職区長を破った岸本聡子と、彼女を選び、ベルギーから呼び、支えた住民たちの様子を映した作品。
東京都杉並区在住のペヤンヌマキ監督が、自分の住んでいるアパートが道路拡張計画で立ち退きの区域だと知り、止めさせる方法を調べ始めた。地域運動に参加し、区議会も傍聴したところ、田中区長が居眠りしたり、質問の途中にスマホをいじっていたりと、がっかりしたため、区長選挙まで半年を切った時から、それまで無縁だった選挙や政治の世界の取材を行い、候補者や支援者たちと合意形成のため対話を積み重ねていった様子を映像に収め紹介している。
主題歌には、杉並区民で昨年の選挙で区議となったブランシャー明日香がつくった応援歌「ミュニシパリズム」を使っている。ミュニシパリズムとは、地域に根付いた自治的な民主主義や合意形成を重視する考え方の英語だそう。
ペヤンヌマキ監督と弁護士・三輪記子さんのトークショー付きの回をシネマ尾道で鑑賞。
区長だけ変わっても区議が変わらないと、って思って観ていたら、作品の最後に23年4月の杉並区議選挙の結果も紹介され、48名の定員に対し、24名の女性議員構成となり、現職が12名も落選したとのこと。区長就任の所信表明に対して誹謗中傷してたしょうもない区議など減ったのかな、岸本区長も多少区政運営がやりやすくなったのかな、って思った。
今回はうまくいった例だけど、うまくいかないことの方が多い、って言われていたが、その通りだと思う。現に、今年の都知事選では応援していた候補は落選だったそう。
同級生で友人の弁護士・三輪記子さんが司会的にトークショーを仕切られていたが、彼女は自分が7回司法試験に落ちた事を紹介され、続ける事、あきらめない事の大切さを語られていた。ほんとそうだなぁ、って思った。
監督が、岸本さんの素直な感想として、民主主義を取り戻すと公言し、私利私欲を追求しない人、当選しても涙ひとつ流さなかった、こんな人に初めて出会った、らしい。
そんな政治家が多くなれば良いな、って思った。
なるべく多くの人に観て、考えてもらいたい、そんな作品です。
コメントありがとうございました。
監督と三輪弁護士のトークをご覧になったのですね。羨ましいです。
先月「お母さんが一緒」という映画を観に行ったのですが、原作がペヤンヌマキさんで、社会派ドキュメンタリーの監督だけでなく、いろんな才能をお持ちの方なんだと感心しました。