劇場公開日 2017年3月11日

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「1961年の台湾の匂いと、若さの危うさが眩しい」クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 ターコイズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.01961年の台湾の匂いと、若さの危うさが眩しい

2022年9月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ほぼ4時間の濃厚なストーリー。映画3本分くらいの要素が詰まってそう。
1961 年の台湾はまだ随分不穏で、戦車が走っていたり、日本兵の残した日本刀が屋根裏から出てきたり、そして大人たちの世界も殺伐としてる。それに影響されるように子供たちも徒党を組んで抗争を繰り返していたりで、そんな当時の台湾のにおいが画面上からぷんぷんと漂い、それだけでも惹きつけられる。
小四が通う夜間中学で築くことになる新たな危なっかしい世界、そしてボスの女である小明との関係、このあたりが、彼を取り巻く社会環境とミックスして描かれ、どこか危うい魅力がある。若さは焦りを、激情を、止められないのかなって懐かしさとやるせなさと。

男性が描くファムファタルには毎回ちょっと引っかかるんだけどその点はこれも同じ。
執着のない人生なんてと思ってはいるのだけど、執着しすぎは身を滅ぼす。でも若い彼らにそんな言葉が届くわけない、それが若さなんだし。危うい世界の眩しさにくらくらさせられる作品。主役のチャン・チェン、俳優として大活躍中なのは嬉しい。

ターコイズ