「なんで殺すねん…」クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
なんで殺すねん…
台湾映画は多分初。傑作との予告を京都シネマで見ていてみようと思いつつ、4時間に尻込みしていたら上映終了、京都みなみ会館でも同様に見逃し…DVDとかで4時間は集中できひんしもう観られへんかも…と思っていたら、出町座という映画館が出来まして、そこでの上映を知った2018年正月。3度目の正直で行ってきました。
長時間なので特別料金2000円でした。
最初は人物が見た目でも字幕の名前でも見分けつかなくて苦労しました。が、最後の方には長いだけあってわかるようになりました。見終わってから今の認識で頭から見たらよくわかるんちゃうかなと思いましたが、もいっぺん4時間は流石に…という感じです。
長かったですが眠くはなりませんでした。
腑に落ちないことも沢山ありつつ夢中でみられる映画でした。
滑頭という名をわたしは「すべりあたま」とどうしても読んでしまって、修正効きませんでした。
最初は漢字の名前にルビがあったんですが、その後はルビなしの字幕だったのでほとんど音読みで脳内変換してたんです、でも滑頭だけはすべりあたまとしか読めなくて。引っかかり続けました。
台湾の歴史を全然知らないので、外省人とか、台南とか出てくるワードたちがどういう背景を持つのかわからなくて苦労しました。
鑑賞後に色々解説やらあらすじやら読んでちょっとスッキリしました。
にしても、もうちょい歴史を知らないとダメですね。
青春群像劇としても見られるとのことでしたが、小四も小明もちょっと危うすぎて、説教かましたくなって。青春もの大好物ですがどハマりはしませんてました。
小明が出会う男みんなにすり寄ってしまう、そうせざるを得ない悲しみは分かるんです。父親はいなくて病弱な母を支えにゃならん。14なのに。だけど14の女の子にできることなんてほとんどない、当時の台湾であれば尚更。ムカつくことばっか、悲しいことばっかの人生で、自分にコロッとよろめく男を転がすのは多少気が安らぐ。そんなところかなぁって。彼女は金のある誰かに庇護されなければどうにもならない未来しか見えないんだろうし。
けど相手の男にも純情な心がありましてな、しかも頭に血が上りやすい輩も多い。その最たる人が小四だったんです。
小四の小明への思いは、だいぶやばい。でも彼も希望が見出しにくい生活の中で唯一見つけた希望が小明だったからあんな風に思いつめてしまったのかなぁ。
そんなわけで小四は小明を殺しちゃったという話でした。そのあらすじを知らずに見たので、ハニーが217の山東に殺されたのが「殺人事件」なんかなーておもてたんで、ラストで小四が小明を刺してしまってびっくりしました。
ハニーがなんかかっこよかったですがすぐ死んじゃったなー。
小四の父の拷問の前後の変化がすごく悲しいな。
男社会のしがらみに苦悩するお父さんが情けないと思ってしまうわたしを、お父さんは「女どもはっ!!」って怒鳴るんかな?
お兄ちゃん、小四をかばってめちゃくちゃ殴られてて可愛そう、なんでキリスト教徒のお姉さんは、小四が真犯人ってわかったんかな?
夏先生って誰なん?大陸に帰った共産党員ってこと?
拷問で何回もおんなじことを書かせるやつは、韓国映画でも見たなぁ、東アジアの流行り?日本軍の負の遺産?
とか色々思いました。
面白く見られましたがラストの小四の行為が許せず、タイトルのような気持ちが強いです。
まだ歴史的、映画的素養が足りず、傑作たる所以はわかりませんでした。
でも今後も色々台湾映画も見ていきたいなと思っています。