「唯一無二」クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
唯一無二
この映画に出会ったか出会えなかったか、観たか観ていないかで、人の人生は左右されるかも。好きな映画を聞かれたら、まず挙げる一本。
オープニングの校長室のカット、並木道から自転車が近寄ってくるシーンに始まり、エンディングの最後の最後まで、至福の時を過ごした。
監督の緻密でやさしい眼差しから生まれる演出は、不可視なものを瞬時に理解させる力を持つ。
見えないものを見ようとする懐中電灯、聞けないものを聞こうとするラジオ。
個々の人物を描きながら、その奥にある時代や社会まで浮き上がかせるなんて、ほとんど奇跡。監督の圧倒的な才能としか言いようがない。
印象的なシーンは無数にある。
たとえば、ブラスバンドの音や車の往来の音に声を消されないように、二人が大きな声で語らう演出があるが、二人の息苦しさと、同時に二人でいるとちょっと解放されるような感じが、私は好きだった。
ひとつ一つ日記に書き留めておこう。
傑作中の傑作!
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