「婿が義理の家族を救うのは当たり前」タイガー 裏切りのスパイ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
婿が義理の家族を救うのは当たり前
インドのスーパースパイ、“タイガー”の活躍を描いたシリーズ3作目。
『WAR/ウォー!!』『PATHAAN/パターン』も公開され、いよいよ拡がった“YRFスパイ・ユニバース”の5作目。
ユニバースの中心にいるタイガーの今回の“ミッション:インポッシブル”は…
RAW新局長から任務。『1』で組んだゴービーがタリバンに拘束され、その救出。成功するも、拷問でゴービーは重体。息を引き取る直前、ある事を告げる。ゾヤは二重スパイだ、と…。
任を終え家に帰るも、妻を信じているが、疑念が晴れない…。
サンクトペテルブルクでゴービーの情報屋だった武器商人護衛の新たな任。何者かに妨害される。
それはゾヤだった。
本当に彼女は二重スパイだったのか…?
このシリーズはタイガーとゾヤのラブストーリーでもある。
愛し、信じていた妻が裏切りを…? ここに来てまさかの展開…?
ゾヤを追跡するタイガーはアーティシュ・ラフマーンという男に捕まる。タイガーとは因縁あり。
ゾヤとの関係は…? 彼女の過去も語られる…。
ゾヤの父もISIエージェントだった。
1999年、パキスタンで軍事クーデター。反対派の父は車に仕掛けられた爆発で殺される。ゾヤの目の前で。
天涯孤独になったゾヤの前に父の弟子だった男が手を差し伸ばす。それがラフマーン。
ゾヤはISIへ。敏腕エージェントに。
2011年、ウィーンでインドとパキスタンの国防会談。
これに反対派のラフマーンは出席するインド将軍の暗殺を目論むが、和平を望むゾヤと対立。ゾヤの咄嗟の機転で計画はインド側へ。それを受け取ったのが、護衛の任に就いていたタイガー。
出会い恋に落ちる前、顔や存在も知らず近くにいたタイガーとゾヤ。
元々ゾヤがインド将軍を暗殺する予定だったが、拒んだ為、別のエージェントに。襲撃するが、タイガーによって阻止され、射殺される。その暗殺者はラフマーンの妻になり、子供も身籠っていた。
計画は失敗し、将来の家族をも失ったラフマーンは投降。この時、タイガーと顔を合わす。
ISIからも追放。軍刑務所へ。復讐を誓う。その機会が…。
同じ志のパキスタン将軍の手引きで、ラフマーンは刑務所を出る。
現在。インドとパキスタンの首脳会談。パキスタン首相はインドと和平交渉を。
ラフマーンは再び妨害計画を企てる。
ゾヤを利用。ジュニアを人質に取って。ジュニアの体内に毒を。解毒を握るのはラフマーンのみ。
タイガーも従うしかなく…。
タイガーとゾヤを手玉に取ったラフマーンはある任務を。
イスタンブールでパキスタン軍が中国人民解放軍と軍事会合。パキスタンが中国から核ミサイルを。
中国将軍が持つ発射コードが入ったブリーフケースを盗め。
『2』で組んだタイガーとゾヤの仲間も招集。が、彼らは事情は知らず…。
手に入れるも、タイガーはトルコ警察に捕まってしまう。身柄はパキスタンへ。
インドとパキスタンの関係を揺るがした国賊として。かつてラフマーンも収監された軍刑務所に。そこで待ち受けるのは…。
コードはゾヤからラフマーンへ。コードを手に入れたラフマーンは同志のパキスタン将軍と軍事クーデターを実行に移そうとする。
悲願の政権転覆、タイガーへの復讐も果たし、全てはラフマーンの計画通り。
この危機に、タイガーは…? ゾヤは…?
『1』の物足りなさはもはや過去。
『2』で覚醒して以来、『007』や『ミッション:インポッシブル』も真っ青のスパイ超アクション。
タリバンでの救出作戦、サンクトペテルブルクでゾヤと一戦、イスタンブールで奪取…怒涛のアクション。妻の裏切りか、因縁敵の復讐と陰謀と展開の方も次から次へと。
あらすじ長々紹介は前半だけ。後半からもアクションと展開は波の如く。
まずインターバルを挟んで、軍刑務所から脱獄。そこに助っ人として現れたのは…、
『PATHAAN/パターン』の主人公、パターン!
…実は『PATHAAN/パターン』はまだ見てないのだが、同じRAWエージェント。
『PATHAAN/パターン』では窮地にタイガーが助っ人に現れ、今回はその逆の激アツ展開。アイアンマンのピンチにキャップが駆け付け、キャップのピンチの時に今度はアイアンマンが駆け付け…みたいな。
パターンの登場はこのシーンのみ。脱獄~救出~橋での大アクションはわざわざこんなに尺取るほどかと思うが、それをあざとくもたっぷり魅せるのがインド・アクション。
二人のユーモラスなやり取り、それでいて信頼。にしても、二人の超人アクションがスゲェ…。
おっと、早く『PATHAAN/パターン』も見なくては。
クライマックスは言わずもがな。
パキスタン首相と政権転覆を目論むラフマーンと将軍のクーデターに、タイガーとゾヤ、二人のチームが再び組んで挑む。
このチームもすっかりお馴染み。新たな仲間が…というか、前作でタイガーに保護された少年が協力。序盤タイガー家族のシーンに彼の姿が無くてアレ?と思ったが、こういう形で登場とは。
依然国賊とされているタイガー。首相官邸への侵入。
ラフマーンらが近付く中、タイガーは首相に接触を図るが…。
遂に官邸内で戦闘が。
まさかの内通者。
そして仲間に犠牲者…。
ラフマーン役のイムラン・ハシュミの憎々しさ。
不屈のタイガー&ゾヤ。
サルマーン・カーンはいつもながら、今回は話の立ち上がりのキーとなったカトリーナ・カイフが光る。またまた映える美しい肢体とキレのあるアクション。私がこのシリーズを見たいのは彼女が理由かも…?
メッセージも忘れていない。インドとパキスタンの和平と未来。
シリーズはこれが一貫している。『1』はタイガーとゾヤのラブストーリーを通じてインドとパキスタンの関係を。『2』は他勢力にインドとパキスタンが組んで挑む。今回はパキスタンの強硬派に再び組んで挑み、よりインドとパキスタンへのメッセージが明確になっている。それを義理の家族に例えたタイガーがまた難い。
それはインドとパキスタンのみならず、韓国と北朝鮮、中国と台湾、ロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナ…対立と紛争続く国や勢力へのメッセージにもなっている。
にしても、作戦名“暇潰し”って…。
そんなんじゃない。
大画面で有意義なアクションを。
今回もお腹いっぱいの超エンタメ!
EDのオマケ映像から察するに、次は『WAR/ウォー!!』の続編。前作は見たので(レビューも書き、超絶アクションに圧巻)これは期待。
で、タイガーと対して、パターンも参戦して、新たなスパイも誕生するのかな…?
拡がるこのスパイ・ユニバースに、どんどんハマってきたね。
行く行くはあの名スパイらと…なんても。