「お約束のインド&パキスタン紛争ベースのスパイアクションで、ユニバースならではのお楽しみが満載の作品」タイガー 裏切りのスパイ Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
お約束のインド&パキスタン紛争ベースのスパイアクションで、ユニバースならではのお楽しみが満載の作品
2024.5.7 字幕 MOVIX京都
2023年のインド映画(156分、R15+)
ボリウッドのスパイユニバース・シリーズの一作で、『タイガー2(日本では劇場未公開)』の続編
ユニバースとしては『パターン』の続きに近い印象
あるエージェントの死に際の言葉の真意を探るRAWエージェントを描くスパイアクション映画
監督はマニーシュ・シャルマ
脚本はシュリダール・ラガヴィン
物語の舞台は、1999年のインドにて、少女ゾヤ(Gurket Kaur、成人期:カトリーナ・カイフ)が父(アミール・バシール)と過ごす様子が描かれて始める
ある日、一緒に出かけることになった二人だったが、ゾヤが父の忘れ物を取りに家に戻った瞬間に、車が爆発し炎上してしまう
父は帰らぬ人となり、悲しみに暮れる彼女だったが、そこに父に師事していたアーティシュ(エムラーン・ハシュミ)がやってきた
アーティシュはゾヤを引き取り、父の仇を打つための特殊な訓練の場を彼女に与えた
それから十数年後、ゾヤはISIのエージェントとして活躍し、現在ではRAWのエージェント・タイガー(サルマン・カーン)と所帯を持つようになっていた(『タイガー 伝説のスパイ』『Tiger 2』参照)
『タイガー 伝説のスパイ』にて恋仲になった二人は、おそらくは『Tiger 2』にて夫婦関係になっていて、1作目に保護したハッサン(ヴィシャール・ジェスワ)は今では大学生になっていた
また、二人の子ども・ジュニア(サルタージ・カッカール)も大きくなっていて、『タイガー 伝説のスパイ』から直行した人にしてみれば、いきなり時代が飛んでいるように感じるだろう
私も『Tiger 2』を観ていないので、いつの間に子ども産まれたの?と思っていたが、そこはスルーしても問題ないのかな、と思った
映画は、いつもの「パキスタンとインドの関係」がベースになっていて、パキスタン政府のインド日和が許せない黒幕が、クーデターを起こそうとする様子が描かれている
軍事を掌握し、濡れ衣をタイガーに着せるという計画を立て、ゾヤも巻き込まれ要因となっていた
そんな中、指名手配されたタイガーが名誉を回復する流れになっていて、それがパキスタンの首相イラニ(シムラン)から発せられるところに政治的な色合いが出ている
いわゆるインドを持ち上げる展開になるものの、パキスタンの悪役にも事情があるというエスケープを用意するので、インドにおけるこの手の映画の鉄則になっているように思えた
いずれにせよ、タイガーが暴れまくるのを期待するとガッカリするかもしれないが、アクションは結構ハードに行われている
助っ人が劇中で登場し、これはお礼のようなものだが、エンドロール後には次回作を匂わせるある人物が登場する
このあたりはスパイユニバースを楽しんでいる人向けになっているので、ネタバレ上等ならば『タイガー』のみならず、『パターン』『War!』は観ておいた方が良いのではないだろうか