ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディのレビュー・感想・評価
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こんなクリスマスも素敵だなと思わせてくれる
今年のクリスマスシーズンに観るのだと決めていた作品。予想通り心が温かくなる作品だった。
クリスマスは笑顔と愛が溢れている1日だからこそ、人によってはいつも以上に孤独感を感じやすい日でもあるよなと思う。
この作品は
嫌われ者の教師ハナム
問題児生徒のアンガス
息子が亡くなった料理長のメアリー
の3人が、全寮制の高校で皆が年末年始の2週間家族のもとへ帰る中、高校に残り共に過ごす話。
最初は最悪な2週間の始まりかと思いきや、徐々にお互いの過去や考えや心のうちを知っていくことで、孤独だった3人が心を通わせ寄り添い合う2週間になっていく。
私も学生時代大嫌いな教師はいたけれど、こうやって上辺じゃない人間同士の会話をしたら、少しは好きになっていたのかな。
ハナムの最後にとった行動が本当にかっこよすぎて、胸打たれた。
劇中何個か胸を打つセリフもあり、脚本が素敵。特にハナムがなぜ歴史を学ぶ必要があるのかについてアンガスに語ったシーンにグッときた。このシーンは是非観てほしい。
クリスマスを代表する映画作品は多々あるけれど、キラキラのクリスマスから少し距離を置かれた人たちに優しく寄り添ってくれる作品だった。
オススメです!
留学中の記憶を刺激された
疑似家族関係を描く秀作。クリスマスシーズンに全寮制の高校で、帰る家のない青年と、家族のいない教師、ベトナム戦争で息子を失った寮の料理長が束の間のホリデーをともにする。生徒は生意気な問題児だった。ことあるごとに教師にぶつかる。教師の方は気難しい性格で、生徒たちから嫌われている。ホリデーシーズンにも関わらず、寮での生活を厳しくルールで縛ろうとする教師に生徒はうんざりするが、料理長が緩衝材となっていって、打ち解けていく。
アメリカ人にとってのクリスマスシーズンは家族の時間。家族を持たない人はその団らんの輪を築けない。団らんの輪を築けない人同士がちょっとデコボコした輪を築く物語だ。筆者もアメリカ留学時代、その空気はちょっと体験した。学生はみなクリスマスには実家に帰るが、留学生はわざわざ帰らないので、クリスマスは孤独になる。やることなく手持ち無沙汰で一層の孤独感を感じたものだ。
クリスマス映画として異色の作品だと思うのだけど、誰にとっても大事なことが描かれていて、心が温まる素晴らしい作品だった。
前向きなノスタルジーの成果。
1970年代というのは、映画でもポップ・ミュージックでもある種の黄金時代であり、ノスタルジックな憧憬の対象で有り続けている。ソダーバーグ、リンクレーターあたりに顕著だと思うが、アレクサンダー・ペインが70年代趣味を全開にしてきたのがこの作品。音楽のチョイス、映像や編集のスタイルなど、形から入れ!とばかりに、もう70年代にできた映画ですと言われても信じそうになるくらい、細部まで時代性を表現している。デジタル撮影なのに、35mmフィルムの上映用プリントまで作ったのも、監督の強いこだわりの現れだろうう。
じゃあ、ただの形式主義かというとそうではなく、70年代的なルックが、特に新味があるわけではないけれど、繊細で沁みる物語にピッタリあっている。というのも、ペインが参照している70年代が、しっとり、かつ飄々とした70年代ヒューマンドラマだから。アルトマンみたいに尖っているわけでもニューシネマみたいに抗っているのでもない。ハル・アシュビーとか『ペーパー・チェイス』とか『ヤング・ゼネレーション』とか、今では滅多に見られなくなった地味だけど愛すべきタイプの映画が、この時代にも価値を持つと信じているからこその、前向きなノスタルジーの成果なのではないだろうか。
いい映画を見た、と幸福な溜息が出た
本作の序盤、寄宿学校で暮らす人々の関係性は不協和音に近いほどギクシャクしている。なかなか素直になれない。身の回りのすべてに反発する。あえて他者と距離をおく。自分は嫌われ者だと高を括っている・・・などなど理由は様々。彼らは家庭がとびきりの温もりに包まれるクリスマスシーズンにも帰省できない人たちなので、よっぽどの事情があるのは明らかだ。そんな「ワケありさん」たちが、誰もいなくなった学校で、まるで擬似家族にでもなったかのように過ごす数日間。最初はしょうがなく、しかし途中からは本心で、苦笑いを浮かべながらもぎこちなく、ありったけの心を持ち寄り始める姿がなんとも胸を打つ。自分のことだけで精一杯の意識にふと「他者のために」という気持ちが芽生える時、人は誰もがルビコン河に挑むカエサルになりうるのだろう。そうやって人生は押し開かれていく。監督によるジアマッティの演出が相変わらず冴え渡った至福の一作である。
誰もがどこかで感じている"置いてけぼり感"
人生のレールから逸脱した人々にもひとかけらのプライドがあることを描かせて、今のハリウッド映画では右に出る者がいないアレクサンダー・ペイン。その最新作も期待通り、皮肉と優しさとユーモアに満ちた作品になっている。
その厳しすぎる性格から生徒からも同僚からも疎んじられている教師と、母親に見捨てられた男子学生と、息子をベトナム戦争で亡くした料理長。以上、3人の主要キャラには同じ寄宿学校の住人という以外に何の共通点もないのだが、たまたま、クリスマス休暇で誰もいなくなったキャンパスで共に過ごすうちに、互いの心の奥底に同じ傷を隠していることに気づいていく。でも、ペインは彼らが傷を癒し合う話にはせず、絶妙の語り口で矛盾だらけの人生を生きることの悲しさと可笑しさを同等に配分して、温かみのある後味を残してくれる。こんな贅沢な時間は滅多にない。
ポール・ジアマッティ、ドミニク・セッサ、ダバイン・ジョイ・ランドルフが醸し出すケミストリーも芳醇だ。"置いてけぼりのホリディ"という日本オリジナルの副題が、誰もがどこかで感じている置いてけぼり感を言い当てていて、なんかこう、今の日本人にピッタリの映画であり、副題だと思う。
じんわり、温かくなる。
素晴らしい映画でした!!
アマプラで公開終了間近だという事で、こんな素晴らしい映画は、一人でも多くの人に観ていただかないといけないと考え、レビューを残しておかねばならないと思いました。
不器用で孤独な先生と、夫を失い孤独な食堂のオバチャン、そして頭が良いのに孤独な少年。その、冬休みに寮で過ごす物語。
特に若い男の子たちには、ぜひ観ておいて欲しい映画です。若い頃に感じる孤独や葛藤、イラつき、それらは、いずれ大人の男になっていく為に必要な葛藤だったのだと、振り返る時には、この映画が記憶の片隅にあった方が良いと思います。
そして、社会というのは本当に理不尽で、大人たちはまったく自分たち若者の感性など認めず、一方的に自分たち価値観を押し付けてきてばかりだと絶望する中でも、必ず、根気強く理解をして認めてくれる大人と出会います。そういう希望くれる映画です。
ハナム先生のラストにグッとくるような、そんな感性を持った人が一人でも多くこの作品に触れて欲しいと願いを込めて、露出よ増えろ!の★5です(笑)
心が通じる居残り当番
ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
2週間、先生一人、生徒一人、きまづいよなあ
教師ポールはうっとしいがられてたかも知れないが若い頃にやってきたことを考えると「わかり合えたら面白い人間なんや」と思う。
逆にポールから見たら寄宿舎に残った学生はうっとしいかったのではないか?
しぶしぶ休み中の監視役を務めることになったが休みが明ける頃には変な友情が芽生えていた。
本当は生徒思いの先生だったのに今まではそれを全く出していなかった?あるいは全く生徒に理解されていなかった?
料理長メアリーも加えて3人の抱える悩みが三者三様でお互い理解できていく過程は良かった。
メアリーの息子が若くしてベトナム戦争で亡くなり、ポールはアンガスを戦争に行かせたくないために自分が悪者になって退職していく。
戦争はダメということが底辺に流れていてほっこりだけで終らない良い映画だった。
アンガスはスキーに行かなくて正解やったね。
それにしても生徒の親がヘリコプターで学校にやってきて子供たちをスキーに連れて行くってさすがアメリカやね。
日本では考えられん。
貴重な時間
ジアマッティを始めとするが役者陣がとにかく良い!
アレクサンダー・ペイン特有のペソース漂う人情劇。今回は70年代に作られたようなエイジング加工を施してあり、この作品自体が登場人物と同じように世間から疎外した佇まいになっているのが良き。ジアマッティの偏屈な教授、人知れず家族の悩みを抱えた青年を演じた新人ドミニク・セッサのビビッドな魅力、そしてダヴァイン・J・ランドルフが深刻になりすぎない絶妙な塩梅で息子を亡くした母の喪失を演じる。2時間以上ある作品だが、この3人のアンサンブルが映画に実に心地よい空気を醸成していて、緩みなく観れる。
❇️『なんか良いなこの映画。多くを語らぬ美学に圧巻。』
ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリデー
🇺🇸1970年 マサチューセッツ州ボストン
❇️『なんか良いなこの映画。多くを語らぬ美学に圧巻。』
㊙️どんな話なの❓
『クリスマス前の冬休み。ほとんどの大学生や教師は寮から実家に帰る予定だが、訳あって学校に残され、冬休みを寮で過ごす事になってしまう話。』
◉85B点。
★彡好き嫌いあるねんと思うんけど、ほんま良い映画やった。
🟢感想。
1️⃣『景気や街の雰囲気、そして音楽が本当に癒された!』
★彡また来年も観たいと思えました。
2️⃣『味のある俳優さんたち。』
★彡本当主要な三人が個性があって嫌いスタートから好きになりエンディングが訪れる最高のストーリー。
3️⃣『一冬の濃厚な思い出と成長する三人。』
★彡新学期の生徒や先生の成長の差が凄かったと思える濃厚な時間が名作とも言える。
4️⃣『教師と生徒の多くは語らないやり取りが凄いと思う。』
5️⃣『お互いに曝け出した本当と思える友情が良すぎた!👍』
🥹🫵👴🧑🏻🦱👩🏾🦱🎄🌨️☃️🍗🍪🥃⛸️🚙🚁🏫🩻🎉💮
アメリカの好きではなかった世情
うん、まあ、よかった、
70年代の反抗的な高校生の話ということで観たのだけど…
確か、舞台は70年代設定とか。ベトナム反戦、人種問題、フラワー・ムーブメントがアメリカ全土で吹き荒れていた時代?70年代の音楽とファッションが大好物なんで、まずは全然違うよでした。ロン毛の高校生が目立ってたくらいで、やらかしたなと思ったけど、途中から惹き込まれてしまいました。いい映画だよね。
ハナム先生?こういう先生がいてもおかしくない。正義感というか融通の利かない信念の持ち主?空気読まないとこもあるよね、生徒からすりゃあウザいだけなんだけど、結構実はすごくいい人要素を潜在的に持っていて、そのへんがうまく描かれていた。
もちろん、この映画は主役3人の演技力が大きいのだけど、三者三様にいい味出していた。でも本当の主役は脚本かもしれない。後から振り返れば、どのシーンも計算されていて、場面展開も自然だったし、台詞もよくできていた。やっぱ脚本が物語を仕切ってた感はあったね。
だから、クリスマスにぼっちな三人が、何かを乗り越えていく過程で生まれる特別な絆みたいなものに素直に感動できると。とても不器用そうな生き方をしているダメっぽい人たちが一緒に成長していく話ってテッパンだよね。ここだけの話、そういうのには本当に弱くて困っています。
にしても、サントラなんですけど、絶対70年代は関係ないでしょ。それとも、また勘違いかな?
普通の映画だからこその非凡さ
こういうタイプの作品は、ぶらり映画館へ入ると、
偶然にもよい出会いだった、そんな感触である。
キャラクターがしっかり描き分けられているから、
余計なことを考えずに、最後まで見入ってしまった。
俳優メインキャストが三者三様で、
それぞれの孤独感、クセが、傷みが、他者への思いやりが
彼ららしい表し方であり、なんともいえない愛らしさ。
こうあるべき、こうしなきゃいけない、
そういう堅苦しさはない。
アレキサンダーペイン監督は、
サイドウェイや、ハイスクール白書 electionでもそうだった。
理想や義務感をもちながら、
なんとも矛盾してしまう人の情けよ。
摩擦して、はみ出して、ジタバタする
そんな人々への、慈悲深い眼差し。
何を大切に抱えているか、描いているか。
それが伝わってくる作品は、作者ごと抱きしめたくなる感じ。
ポール・ジアマッティ、めちゃくちゃカッコいいじゃないか!レディインザウォーターも素晴らしかったね!
まるでサウスパークみたいな顔の愛すべきフェイスおっさん^_^
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