ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディのレビュー・感想・評価
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たった2週間の出来事なのに。
孤独を抱えて生きてきた先生の、皮肉だけど的を得ている言葉が、キラキラ散りばめられてて、なんとも心地の良い時間でした。
バートンが、彼のすべてだったのに、それを犠牲にしてもタリーを守ったなんて。
バートンマンを貫いた先生が、ホントに素敵。
頑なだったタリーが、2週間で得た擬似家族体験は、それまでの彼の人生になかったものなんだろうな。
そのことを素直に言えるまでになったのも、身近な大人たちのお陰。
アメリカ東部のトラディショナルな雰囲気も素敵。
う〜ん、ジンビームが飲みたくなる!
暑い日にクリスマスの映画見るの好き
スマホもSNSもない世界は優しかったんだな。
世代や立場を越えて分かり合えたりするんだな。
いいないいな人間っていいなって思いたい人は観て。
この映画を見ていると人間関係を疎遠にしてるのはデジタルガジェットなのかもって思えてきちゃいますね。村上春樹もケータイのある世界は書けないって言ってたし、デジタルガジェット出てくると絵の情緒が確かに崩れるから多分もう人情咄は過去を舞台にした映画でしか描けないのかもしれませんね。そもそも人情という言葉自体がノスタルジックだし。
あと70年代の雰囲気が完璧に出せるだけの小道具やクルマや洋服が残ってるところがアメリカの凄さよね。たぶん日本で傷だらけの天使とかあの年代の雰囲気そのままでリメイクするなんて不可能だもの。あと視聴者である私たちがそれを求めていないってこともあるのかも。
ファーストデーとauマンデーが重なった不幸な7/1日に映画コムをざざっと見て目についた本作をなんの情報も入れずに観たんだけど、あらゆる映画の先人達へのリスペクトが行き届いたプロの映画屋さんの仕事は心の底から信用できました。超絶オススメ。
途中まで置いてけぼりでした😅
渋いブレックファーストクラブ
ポールジアマッディを主演に今風とは真逆のこんなとるにたらないささやかな話を映画にできるのならやはり応援したくもなるアレクサンダーペインの新作。
新作と言っても本当に地味な話だ。地味過ぎるブレックファーストクラブというか、のっけから今どきあるはずのないフィルムノイズサウンドノイズを、まるでタランティーノやリンクレイターの懐古主義のいたずらのようにゆる〜くかませてはじまり、全寮制のおぼっちゃま校のクリスマス休みがはじまり、ひとりひとりと皆が待ってる人の元に去っていき、待ってる人のいない寂しい3人が広い高校にポツンと残らざる得なくなる休暇物語。70年辺りが舞台なのでクルマや食べ物様々な小物もハルアシュビーやアルトマンやパクラやニコルズやイーストウッドやアーサーペンとかの時代と企画を思い出したりすると『小さな巨人』を観に行くシーンがあって「面白いうえに歴史考証がしっかりしてる」と映画館で話したりしていて笑う。
体臭が匂うと劇中でも言われる嫌われ者の歴史の先生の設定が、本当に匂いそうなほどなのが、だんだんだんだん匂わなくなる、というか、最後はイーストウッドの映画ばりにかっこよくなるまでに魅せる映画というか。正直フィルムノイズなど入れなくていいと思うし、偶然なんかの二本立てで観たりするほうが(今どき二本立てがないけど)最も威力のある出会い方の気もするけど、こういうのこそ、ポップコーン片手に観たい気がする。
こっちの目だ、世界を見てるのはこっちの目だ、は相当痺れた
帰りの電車で思い出して泣くほど
劇場で観てよかった
予告編を見て抱いていたイメージそのまま。。。
2023(日本は2024)年公開、アメリカ映画。
ダヴァイン・ジョイ・ランドルフがアカデミー賞助演女優賞を受賞した。
原題は『Holdovers』、直訳すると、残留者などになるようだ。
本作の英語版のWikipediaによると、「クリスマスコメディドラマ」とカテゴライズされている。
『ホーム・アローン』などと同じくくり?なのだが、
コメディ要素はあまり多くない。
監督:アレクサンダー・ペイン
脚本:デヴィッド・ヘミングソン
主な配役
気難しい古代史教諭ポール・ハナム:ポール・ジアマッティ
息子を戦争で亡くしたメアリー・ラム:ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ
問題児アンディ・タリー:ドミニク・セッサ
ポール・ジアマッティは、私が大好きな
『トゥルーマン・ショー』
『プライベート・ライアン』
『ペイチェック 消された記憶』
などに出演している。
真剣に演じるほどに醸し出されるコミカルな個性が、
印象的な俳優だ。
1970〜1971年の年末年始、
ニューイングランドの寄宿学校バートン校を舞台に色々と問題を抱えた面々が、一緒にクリスマス休暇をすごす、という設定。
映画全体に、半世紀前の雰囲気が横溢していて、
まさに、マーク・レスターでも出てきそうな懐古的な学園風景だ。
中だるみもなく、しっかりと見せてくれた。
◆予告編を見て抱いていたイメージそのまま、
◆事前期待を下回らないが、上回りもしない。
上映時間133分は、体感でもそのままで、
長く感じたのは間違いないので☆3.5
貧しいものは浮かばれないアメリカの現実
教師・ハナムは有り体に言って嫌な奴。堅真面目はそうだが、正論にかこつけて生徒たちをいたぶってもいる。大体世の中をナナメに見ている。皮肉屋で、自分でも気づいていないかもだが裕福なお坊ちゃまな教え子全般に憎しみに近いものを抱いているよう。特殊な病気の影響で強い体臭があったり斜視だったり、オトコとして女性に好かれることを諦めている。それでも、教師としての責任感は持ち合わせているし、勤め先である学校を愛している、矛盾だらけのニンゲン。
クリスマス休暇にたったひとり寮に残される羽目になった悪童・アンガスは悪質さはまだマシなほうで、かわいそうが先に立つ。わがままだが寂しがりで健気なところがあり、年少の少年のおねしょを一緒に対処してあげる優しいところがあったりもする。学校の食堂の料理長メアリーは、使用人として蔑まれることに慣れているよう。無愛想だが温かみがあり、最愛の一人息子を失った悲しみ、喪失感でいっぱいいっぱい。ポーカーフェイスでいるが、なにかの拍子に大爆発したりする。
3人共良い面悪い面持ち合わせて、矛盾だらけだが、これが「普通の人間」だ。
雪で閉ざされがちな学校で3人で過ごすうちに、なんとなく心が通い合うようになる。
彼ら3人に共通して言えるのは、寂しさを抱えていることだ。
ハナムは嫌われ者であることを自覚しているものの、開き直りながらも誰かの愛を求めているよう。アンガスはストレートに母の愛に飢えている。メアリーはいわずもがな。
多分、「寂しさ」に共感したことが、3人の心の交流の取っ掛かりだったんだと思う。
ポールが嫌なやつになっていったそもそもの原因、メアリーの息子が亡くなった原因。
それは彼らが貧しかったから。
貧乏人が努力してなんとか学歴社会に食い込んでも、貧しいがゆえに内部で蹴落とされるのが現実。
この点は日本の社会のほうがまだマシな気がする。
ハナムはクソッタレのはずの教え子アンガスに肩入れして庇った結局、自身が職を追われることになった。
解雇が本人の本意か不本意かわからないが、ハナム先生にとっては遅まきながら「巣立ちの時」になった。それまでのしがらみと、自分自身を過去のものにして、新しい自分として生きていくことになったのだ。
すでに良いお年だし狭い世界しか知らず、しかも性格も歪んでいるし、病気のこともある。これからどうするんだろう。
本人にあまり悲壮感がない様に見えるのは、強がりなのか本当に気分がいいのかわからない。
独身だし滅多に外出もしない、自費出版で本を出した以外大した趣味もなさそうなので実はたんまり貯め込んでいて、当面生活に困らないんだといいなと思った。
または、上流階級の子弟のための名門校で、超がつくほど長く勤務した実績を引っ提げて求職したら引く手あまたで仕事の心配はないのかも。バートン校の校長だって、推薦状を書くくらいはしてくれるのではないか。それなら先が明るい、ハッピーな巣立ちになる。
ハナム先生が幸せになれると良いと思った。
良い話のようだが、良いことをした人が必ずしも報われるわけではない。
良いことをしたがゆえに、窮地に立たされる。
現実はそんなもので。
ハナム先生の将来は誰にもわからない。
やりきれなさ苦さも妙な余韻として残る、アメリカン・ニューシネマみたいなテイストの映画と思いました。
鑑賞動機:予告:4割、あらすじ3割、アカデミー賞3割
アプリで鑑賞劇場が最近選択したとこしか指定できなくなったのはバグかな。
舞台が70年代だからというだけでなく、映像自体がむかしの映像のような質感がするの気のせいだろうか。エンドクレジットの出し方とかも意図的にちょっと古い感じにしているでしょ。
マリアはともかく二人の拗らせ具合にウンザリする序盤。
片や未熟さゆえの浅慮と、その裏返しで背伸びして虚勢を張りたがる若者というかガキ(いやわかるけどそれ絶対10年後黒歴史よ)。片や研究への情熱の残滓は持ちながらも諦念と開き直りが悪い方に出てるオッサン。
クリスマスの奇跡…ではないのだけれど、そんな彼らが数日間でどう変わっていくか。
時に下品なユーモアが辛い人生にささやかな暖かみを与えてるのが不思議。
アレクサンダー•ペインはやっぱりいい!
ネブラスカ好きの私からすると、相変わらず地味で家で見たら寝そうな作品ですが、最高の作品でした。
相手に対して映画演出的にはちょっと物足りないくらいのリアクションが、また心に残る見事な演出でした。もちろん脚本も見事で、丁寧な作りの作品でした。ラストはいくらなんでも、そこまでやるか?と思いましたが、脚本が巧みで、時代背景も上手く生かされており、ハナムの決断も納得できました。アンガスの母の考え方も理解できました。
ただハナムが新しい生き方をするにはちょっと歳をとり過ぎてるとは思いました。しかし、彼も一皮向け逞しくなったと思うので、楽しく余生を送ってほしいと思いました。
ラストに至るまで色々感じるところがあり、ちょっと書ききれないのですが、本当に珠玉の作品だと思いました。
You can do it. See you.
優しい映画でした
地味とはいえ最強のタッグ
アレクサンダー・ペイン × ポール・ジアマッティ ‼︎
そう、ペインとの出会いとなった2004年(日本公開は2005年)の名作「サイドウェイ」でもタッグを組んでいたお二人。
1970年、ホリデーシーズンに突入せんとするボストン近郊の全寮制寄宿学校。
家に帰れない学生の監督役となった教師ポール、母親の再婚のため寄宿舎に残ることになった学生アンガス、ベトナム戦争で息子を失って間もない寄宿舎の料理長メアリー、、、描かれたのは寄宿舎に残った3人の2週間の休暇。
濃密な時間だった。
心が通じ合った。
家族の如く、若しくはそれ以上に。
思いのほか辛口なエンディング。しかし時間とともにポジティブな印象に置き換わって行くのもペイン流。ポールの人生の新章がスタートした。
にしても、リチャード・リンクレイターとアレクサンダー・ペイン、自分と同じ時代を生きてきたお二人の作品に強烈なシンパシーを感じる。些細なことまで響き渡る。
古風な人情コメディがいい
フィルム基調の色彩にサントラはモノラル音声!これだけで一気に70年代にタイムスリップさせてきました(と言っても70年代は幼児だったのでリアルタイムで観た洋画は「未知との遭遇」と「遠すぎた橋」だけ)。
さらに映画の予備知識としては今年度のアカデミー作品賞にノミネートされただけ。スタッフも役者も知らない人ばかりで、主役こそ何本かは観てるが脇役なので全く記憶に無い。
そんな感じで始まりは観ていたのですが、最初の授業シーンで一気に映画の世界に引き込まれて行きました。
キャラクターがリアルで生き生きしてる。だからこそキャラクターを知れば知るほど感情移入していってしまいます。
そしてラストは味わい深い感動。
新鮮なドラメではなく、むしろ古風なメロドラマですが、映画の面白さはここにあると思います。
他人の人生に関わりたくない
こんな事なら引き受けるんじゃなかった。
生真面目で皮肉屋で学生や同僚からも嫌われている事は判っている。容姿や体臭も仕方がない、それが自分の人生なのだ。
多額の寄付金をしてくれたからといって成績に手心を加える事はしない。
要領良く出世した上司(校長)におもねることはない。校長はかつての教え子だったのだよ。
小賢しい子供は扱い難い。納得出来なくてもそれは貴方の家庭の問題なのだ。そして貴方が招いた事なのだ。その上はしゃいで怪我をするとは。
たったのクリスマス休暇の2週間じゃないか。
じっとしていてくれたら良かったのに。
でもそうだったら名作が生まれていないか。
私は会社員人生の中で
人は頼る人と頼られる人に分かれる。
そして頼る人は常に頼る側にいる。
そして頼った人が成果を上げられないと次に頼ることはない。
また頼られる人は人に頼らない。自分でなんとかする。
この事を学びました。
心温まる3人の物語(と、それ以外⁈)
名門校の寄宿舎で、クリスマスなのに母親から急遽学校に残るように言われ、居残りとなったアンガスと、頑固な教師ハナム、ベトナム戦争で一人息子を亡くしたばかりの料理長のメアリー、この世代も境遇も違う3人が織りなす奇妙な共同生活。
口も悪く、教師の言うことも聞かない“問題児”アンガスと、とにかくルールを守らせようとするハナムとの間には、大きな隔たりがあります。
しかし、さまざまなぶつかり合いがある中で、時にメアリーの仲介により、少しずつお互いの背景を知るようになり、2人の間に“絆”のようなものが芽生え始めます。
その過程がユーモラスで、温かい。
非行少年の更生を支援している方が「“問題児”というのは、子どもが問題なのではなく、問題を抱えている子どもなのです」という話を思い出しました。
そんな微笑ましいストーリーに体を預けていると、衝撃のラストが待ち受けていました。それは悲しくも、清々しい幕切れ。伏線の張り方も絶妙で気持ちいい!
逆に、母親や同級生、他の教員など、周りの登場人物が救いようのがなく悪い奴ばかり(という描かれ方)で、スッキリしない感情が残りました。
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