ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディのレビュー・感想・評価
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青春に期限は無い
心寄せ合う家族像…まだまだ未来はある!
誰もが帰省の喜びに浮き足立つクリスマス休暇
校長をはじめ同僚や生徒からも嫌われてる頑固者の非常勤講師ハナム
カリブ海でのバカンスにテンション上がりまくりだったのに母親の一方的な都合でキャンセルされた生徒アンガス
愛息子を戦争で亡くした料理長メアリー
それぞれの事情でボストンの全寮制男子校バートンに居残りになった年齢人種階級も違う3人の物語
派手さはないがいちいち心に沁み刺さる台詞がじんわり胸に響くのであります
シビアでチクリと世情を風刺している辛めのユーモアにアレクサンダー・ペイン監督の深隠い人間観察力の鋭さを感じました
3人で出掛けた学校関係者のクリスマスパーティ
いつも冷静で凛としているメアリーが取り乱し号泣してしまう
幸せに浸る参加者達の中で一気に哀しみが込み上げてしまったのかと見ている私まで胸が締め付けられる思いでした…
3人でテーブルを囲んだ際メアリーの手料理に
アンガスが感謝を述べる…とても純粋で愛らしい少年のままのシーンが一等のお気に入りです!
70年代の音楽やビンテージっぽい映像は抜群に冴えていましたしオスカー助演女優賞を獲得したダヴィン・ジョイ・ランドルフをはじめ俳優達の演技力アンサンブルの素晴らしさに目が離せませんでしたね
人生は辛い事もあれどそこそこ悪くもないかなぁ
映画の深さと力を得られ世代を超えて楽しめる
この作品をぜひ!皆さんのホリディにご鑑賞下さい⭐️
ファミリー・ツリーやサイド・ウェイ同様
定期的に観たくなる作品になりそうです!
良い映画を見たという満足感
自分以外の者に対する愛情の覚醒
ジアマッティ
丁寧に作られた物語で、衝突が融和して変化していく過程が緻密に描かれていた
2024.7.2 字幕 イオンシネマ京都桂川
2023年のアメリカ映画(133分、PG12)
クリスマス休暇で帰れなくなった生徒を世話する偏屈な教師を描いたヒューマンドラマ
監督はアレクサンダー・ベイン
脚本はデビッド・ヘミングストン
原題の『Holdovers』は「残留者たち」「囚われている人たち」という意味
物語の舞台は、1970年の12月のアメリカ・ニューイングランドの寄宿学校
その高校の出身者である教師のポール・ハナム(ポール・ジアマティ)は、数十年を母校に捧げ、今では教え子ハーディ(アンドリュー・ガーマン)が校長を務めるほどになっていた
彼は生徒に厳しく、富裕層で寄付者の子どもだろうと容赦はしない
その対応は校長にしわ寄せが来ていて、教師間でも距離を置く人間が多くなっていた
そんな中でも、校長の助手ミス・クレイン(キャリー・プレストン)は分け隔てなく接し、彼は密かな思いを抱いていた
その年の冬、クリスマス休暇であるにも関わらず家に帰れない子どもたちがいて、その管理者を誰にするかを押し付け合うことになった
当初はエンディコット先生(ビル・モートス)が受け持つはずだったが、彼は母の病気を理由にして、最終的にはポールに押し付けることになってしまう
残ることになったのは、素行が悪いクンツ(ブレイディ・ヘプナー)、遠くて帰れない韓国人留学生のイェジュン(ジム・カプラン)、両親の宗教が原因のオラーマン(イアン・ドリー)で、両親が旅行中のジェイソン(マイケル・プロヴォスト)は都合がつき次第帰ることになっていた
そんな中に、生徒の中でも嫌われ者のアンガス・タリー(ドミニク・セッサ)が加わることになる
彼は父トーマス(ステファン・トーン)が精神病院に入院していて、母ジュディ(ジリアン・カプラン)は離婚し、スタンリー(テイト・ドノヴァン)と再婚していた
スタンリーが多忙のために新婚旅行に行けておらず、この機会を使おうと考えていたのである
映画は、ポールが5人の生徒と、寮のコック長メアリー(ダバイン・ジョン・ランドルフ)、用務員のダニー(ナヒム・ガルシア)たちとクリスマス休暇を過ごす様子が描かれる
その後、ジェイソンの父(グレッグ・チョーポリアン)が迎えに来たことで、タリー以外の生徒が一緒にスキーへといってしまう
タリーは両親と連絡が取れずに許可が取れず、彼一人が取り残されることになってしまうのである
映画は、偏屈なポールと頑固で制御不能なタリーの交流を描いていて、メアリーとダニーは場を和ませる役割を担っている
ポールは課外学習との名目でタリーが行きたがっているボストンへといくのだが、そこでタリーの父の精神病院へ行ったことがバレて、事態はややこしくなってしまう
さらにボストンでは、ハーバート大学時代の同級生ヒュー(ケリー・オコイン)とその妻カレン(コレーン・クリントン)と再会することになる
ヒューはハーバードを中退した元凶でポールは自身が成功していると嘯きその場を取り繕うのだが、タリーはそれに加担する格好になってしまう
ポールはタリーに自分の過去を語り、それがタリー考え方を変えていくことにも繋がっていくのである
映画は、少し長めの上映時間だが、そこまで長さを感じさせない印象
青春期の危うさが全開になっているが、騒動の顛末をポールの決断で締めるのは良かったと思う
精神的な父親代わりになりそうなポールは、彼をこの時点で転校させることは人生に悪影響だと考えていた
過去を清算する意味合いも含めて退職を決意したと思うのだが、縛りがなくなったとは言え高齢なので、これから彼がどのように生活をしていくのかは気になってしまう
メアリーからもらったノートに執筆を始めるかもしれないが、隠居するにはまだ早いので、どこかで教師を続けてほしいなあと思ってしまった
いずれにせよ、問題を抱えた教師と、大人の問題に晒されている生徒の交流を描いているのだが、この擬似的な関係がうまく融和していく過程は綿密だったと思う
この二人だけだと空気が最悪なまま進んでしまうのだが、メアリーとダニーがいることが緩衝材になっていた
二人は自分が抱える問題に内向していく中で、メアリーの問題が浮上して物語が転換するし、ミス・クレインのパーティでの顛末もなかなか見応えがあった
最終的に校長室での一件が物語を締めるのだが、四面楚歌の状況で男を貫いたのは良かったと思うし、それをタリーが知ることがないというのも良いと思う
卒業して再会するときには、タリーは彼自身が臨む大人になっていると思うので、生理的な父、環境的な父、そして精神的な父がいることは彼の人生にとって幸運なことだったのではないだろうか
ウェルメイドな’70年代風のクリスマス映画。接点のない取り残された人々のぎこちない心の交流。
おいてきぼり
たった2週間の出来事なのに。
孤独を抱えて生きてきた先生の、皮肉だけど的を得ている言葉が、キラキラ散りばめられてて、なんとも心地の良い時間でした。
バートンが、彼のすべてだったのに、それを犠牲にしてもタリーを守ったなんて。
バートンマンを貫いた先生が、ホントに素敵。
頑なだったタリーが、2週間で得た擬似家族体験は、それまでの彼の人生になかったものなんだろうな。
そのことを素直に言えるまでになったのも、身近な大人たちのお陰。
アメリカ東部のトラディショナルな雰囲気も素敵。
う〜ん、ジンビームが飲みたくなる!
暑い日にクリスマスの映画見るの好き
スマホもSNSもない世界は優しかったんだな。
世代や立場を越えて分かり合えたりするんだな。
いいないいな人間っていいなって思いたい人は観て。
この映画を見ていると人間関係を疎遠にしてるのはデジタルガジェットなのかもって思えてきちゃいますね。村上春樹もケータイのある世界は書けないって言ってたし、デジタルガジェット出てくると絵の情緒が確かに崩れるから多分もう人情咄は過去を舞台にした映画でしか描けないのかもしれませんね。そもそも人情という言葉自体がノスタルジックだし。
あと70年代の雰囲気が完璧に出せるだけの小道具やクルマや洋服が残ってるところがアメリカの凄さよね。たぶん日本で傷だらけの天使とかあの年代の雰囲気そのままでリメイクするなんて不可能だもの。あと視聴者である私たちがそれを求めていないってこともあるのかも。
ファーストデーとauマンデーが重なった不幸な7/1日に映画コムをざざっと見て目についた本作をなんの情報も入れずに観たんだけど、あらゆる映画の先人達へのリスペクトが行き届いたプロの映画屋さんの仕事は心の底から信用できました。超絶オススメ。
途中まで置いてけぼりでした😅
渋いブレックファーストクラブ
ポールジアマッディを主演に今風とは真逆のこんなとるにたらないささやかな話を映画にできるのならやはり応援したくもなるアレクサンダーペインの新作。
新作と言っても本当に地味な話だ。地味過ぎるブレックファーストクラブというか、のっけから今どきあるはずのないフィルムノイズサウンドノイズを、まるでタランティーノやリンクレイターの懐古主義のいたずらのようにゆる〜くかませてはじまり、全寮制のおぼっちゃま校のクリスマス休みがはじまり、ひとりひとりと皆が待ってる人の元に去っていき、待ってる人のいない寂しい3人が広い高校にポツンと残らざる得なくなる休暇物語。70年辺りが舞台なのでクルマや食べ物様々な小物もハルアシュビーやアルトマンやパクラやニコルズやイーストウッドやアーサーペンとかの時代と企画を思い出したりすると『小さな巨人』を観に行くシーンがあって「面白いうえに歴史考証がしっかりしてる」と映画館で話したりしていて笑う。
体臭が匂うと劇中でも言われる嫌われ者の歴史の先生の設定が、本当に匂いそうなほどなのが、だんだんだんだん匂わなくなる、というか、最後はイーストウッドの映画ばりにかっこよくなるまでに魅せる映画というか。正直フィルムノイズなど入れなくていいと思うし、偶然なんかの二本立てで観たりするほうが(今どき二本立てがないけど)最も威力のある出会い方の気もするけど、こういうのこそ、ポップコーン片手に観たい気がする。
こっちの目だ、世界を見てるのはこっちの目だ、は相当痺れた
帰りの電車で思い出して泣くほど
劇場で観てよかった
予告編を見て抱いていたイメージそのまま。。。
2023(日本は2024)年公開、アメリカ映画。
ダヴァイン・ジョイ・ランドルフがアカデミー賞助演女優賞を受賞した。
原題は『Holdovers』、直訳すると、残留者などになるようだ。
本作の英語版のWikipediaによると、「クリスマスコメディドラマ」とカテゴライズされている。
『ホーム・アローン』などと同じくくり?なのだが、
コメディ要素はあまり多くない。
監督:アレクサンダー・ペイン
脚本:デヴィッド・ヘミングソン
主な配役
気難しい古代史教諭ポール・ハナム:ポール・ジアマッティ
息子を戦争で亡くしたメアリー・ラム:ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ
問題児アンディ・タリー:ドミニク・セッサ
ポール・ジアマッティは、私が大好きな
『トゥルーマン・ショー』
『プライベート・ライアン』
『ペイチェック 消された記憶』
などに出演している。
真剣に演じるほどに醸し出されるコミカルな個性が、
印象的な俳優だ。
1970〜1971年の年末年始、
ニューイングランドの寄宿学校バートン校を舞台に色々と問題を抱えた面々が、一緒にクリスマス休暇をすごす、という設定。
映画全体に、半世紀前の雰囲気が横溢していて、
まさに、マーク・レスターでも出てきそうな懐古的な学園風景だ。
中だるみもなく、しっかりと見せてくれた。
◆予告編を見て抱いていたイメージそのまま、
◆事前期待を下回らないが、上回りもしない。
上映時間133分は、体感でもそのままで、
長く感じたのは間違いないので☆3.5
貧しいものは浮かばれないアメリカの現実
教師・ハナムは有り体に言って嫌な奴。堅真面目はそうだが、正論にかこつけて生徒たちをいたぶってもいる。大体世の中をナナメに見ている。皮肉屋で、自分でも気づいていないかもだが裕福なお坊ちゃまな教え子全般に憎しみに近いものを抱いているよう。特殊な病気の影響で強い体臭があったり斜視だったり、オトコとして女性に好かれることを諦めている。それでも、教師としての責任感は持ち合わせているし、勤め先である学校を愛している、矛盾だらけのニンゲン。
クリスマス休暇にたったひとり寮に残される羽目になった悪童・アンガスは悪質さはまだマシなほうで、かわいそうが先に立つ。わがままだが寂しがりで健気なところがあり、年少の少年のおねしょを一緒に対処してあげる優しいところがあったりもする。学校の食堂の料理長メアリーは、使用人として蔑まれることに慣れているよう。無愛想だが温かみがあり、最愛の一人息子を失った悲しみ、喪失感でいっぱいいっぱい。ポーカーフェイスでいるが、なにかの拍子に大爆発したりする。
3人共良い面悪い面持ち合わせて、矛盾だらけだが、これが「普通の人間」だ。
雪で閉ざされがちな学校で3人で過ごすうちに、なんとなく心が通い合うようになる。
彼ら3人に共通して言えるのは、寂しさを抱えていることだ。
ハナムは嫌われ者であることを自覚しているものの、開き直りながらも誰かの愛を求めているよう。アンガスはストレートに母の愛に飢えている。メアリーはいわずもがな。
多分、「寂しさ」に共感したことが、3人の心の交流の取っ掛かりだったんだと思う。
ポールが嫌なやつになっていったそもそもの原因、メアリーの息子が亡くなった原因。
それは彼らが貧しかったから。
貧乏人が努力してなんとか学歴社会に食い込んでも、貧しいがゆえに内部で蹴落とされるのが現実。
この点は日本の社会のほうがまだマシな気がする。
ハナムはクソッタレのはずの教え子アンガスに肩入れして庇った結局、自身が職を追われることになった。
解雇が本人の本意か不本意かわからないが、ハナム先生にとっては遅まきながら「巣立ちの時」になった。それまでのしがらみと、自分自身を過去のものにして、新しい自分として生きていくことになったのだ。
すでに良いお年だし狭い世界しか知らず、しかも性格も歪んでいるし、病気のこともある。これからどうするんだろう。
本人にあまり悲壮感がない様に見えるのは、強がりなのか本当に気分がいいのかわからない。
独身だし滅多に外出もしない、自費出版で本を出した以外大した趣味もなさそうなので実はたんまり貯め込んでいて、当面生活に困らないんだといいなと思った。
または、上流階級の子弟のための名門校で、超がつくほど長く勤務した実績を引っ提げて求職したら引く手あまたで仕事の心配はないのかも。バートン校の校長だって、推薦状を書くくらいはしてくれるのではないか。それなら先が明るい、ハッピーな巣立ちになる。
ハナム先生が幸せになれると良いと思った。
良い話のようだが、良いことをした人が必ずしも報われるわけではない。
良いことをしたがゆえに、窮地に立たされる。
現実はそんなもので。
ハナム先生の将来は誰にもわからない。
やりきれなさ苦さも妙な余韻として残る、アメリカン・ニューシネマみたいなテイストの映画と思いました。
鑑賞動機:予告:4割、あらすじ3割、アカデミー賞3割
アプリで鑑賞劇場が最近選択したとこしか指定できなくなったのはバグかな。
舞台が70年代だからというだけでなく、映像自体がむかしの映像のような質感がするの気のせいだろうか。エンドクレジットの出し方とかも意図的にちょっと古い感じにしているでしょ。
マリアはともかく二人の拗らせ具合にウンザリする序盤。
片や未熟さゆえの浅慮と、その裏返しで背伸びして虚勢を張りたがる若者というかガキ(いやわかるけどそれ絶対10年後黒歴史よ)。片や研究への情熱の残滓は持ちながらも諦念と開き直りが悪い方に出てるオッサン。
クリスマスの奇跡…ではないのだけれど、そんな彼らが数日間でどう変わっていくか。
時に下品なユーモアが辛い人生にささやかな暖かみを与えてるのが不思議。
アレクサンダー•ペインはやっぱりいい!
ネブラスカ好きの私からすると、相変わらず地味で家で見たら寝そうな作品ですが、最高の作品でした。
相手に対して映画演出的にはちょっと物足りないくらいのリアクションが、また心に残る見事な演出でした。もちろん脚本も見事で、丁寧な作りの作品でした。ラストはいくらなんでも、そこまでやるか?と思いましたが、脚本が巧みで、時代背景も上手く生かされており、ハナムの決断も納得できました。アンガスの母の考え方も理解できました。
ただハナムが新しい生き方をするにはちょっと歳をとり過ぎてるとは思いました。しかし、彼も一皮向け逞しくなったと思うので、楽しく余生を送ってほしいと思いました。
ラストに至るまで色々感じるところがあり、ちょっと書ききれないのですが、本当に珠玉の作品だと思いました。
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