「誰しも、気軽に人に話せない葛藤がある」ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ Qooさんの映画レビュー(感想・評価)
誰しも、気軽に人に話せない葛藤がある
舞台は1970年代のアメリカマサチューセッツ州だけれども、フランス映画にも感じてしまう。それほど軽くなくしっかりと胸に残る映画。
全寮制の寄宿学校でクリスマス休暇に家へ帰れず残る生徒たちの監督役をすることになった教師のハナム。
皆と同じように家に帰るはずだったが、母親が再婚し新婚旅行に行くため帰れなくなり、突然寄宿学校に残ることになった生徒のアンガス。
ベトナム戦争で、まだ10代の息子を亡くした寄宿舎の料理長のメアリーもまた残って一緒にクリスマスを過ごすことに。
それぞれに葛藤を抱えてて、それぞれが望まない2週間を過ごすこととなる。
だけれどもそうすることでだんだんとお互いの本質が見えてきて、家族のように思いやることができるようになる。
アンガスは思ったことがそのまま口に出て、人を傷つけることもしばしばで、生意気で憎たらしいが、見た目は大きくても子供なのだ。嬉しかった時の表情が何とも可愛らしい。
そのアンガスを見事にハナムが教育するように思ったが、2人の関係はそうではなくて、お互いを知り尊重し合う事でお互いを家族のように大切に思うというものだったのだと思う。
最後アンガスは退学せずに済んだが、ハナムはクビに。
アンガスの将来を思ってのハナムの選択だったのだと思う。きっと多分、アンガスはそれを忘れることなく、クリスマス休暇にハナムに教えられたことを糧に立派な大人になれるだろう。
最後の終わりもフランス映画っぼかった
劇中の音楽がとても良くて、たくさんのクリスマスソングが流れ、とても綺麗なコーラスが流れたり、ブルースっぽい曲も流れたり。クリスマスにもう一度観たくなるかもね。