「基本設定の勝利か。 やっぱり楽しめる。」猿の惑星 キングダム 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
基本設定の勝利か。 やっぱり楽しめる。
小学生のとき、TVで観た1作目のラストは衝撃だった。その部分だけは今でも良く憶えている。その後、続編、新シリーズ、etc.と一体何作られたのだろうか?
でも、どれも結構面白かったと記憶している。それだけ基本の設定が優れているということか。
本作はリブートということらしいが、「とにかく観てみよう」と観賞。
【物語】
ウイルスの流行により猿の知能が飛躍的に向上し、地球の支配者が人間から猿へと変わり、人間は生存数さえも激減していた。
ノア(オーウェン・ティーグ)はリーダーである父親が束ねるイーグル族(チンパンジー系?)と呼ばれる部族に属して平和な暮らしを送っていた。ところが別の猿族(ゴリラ系?)に村を襲われる。父親は命を落し、生き残った家族と仲間は捕虜として彼らに連れ去られてしまう。
ノアは彼らを救うべく、連れ去られた先を探す。その過程でラカ(ピーター・メイコン:オラウータン?)と彼が守った人間の娘メイ(フレイヤ・アーラン)と出会い、彼らと共に凶暴な猿族の居住地を探し続ける。
そして遂に海岸に築かれた彼らの居住区に辿り着く。その猿族はプロキシマス・シーザーが独裁者として君臨、支配していた。イーグル族の仲間達は奴隷としてそこで働かされていた。そこにはかつて人間が高度な文明で製作した武器や先進機材を収納した格納庫があり、シーザーは守る強固な扉を奴隷を使ってこじ開け、中の機材を手に入れて彼の支配力を絶対的なものにしようとしていた。
ノアはシーザーの野望を阻止し、仲間を救うべく立ち向かう。
【感想】
今回も結構楽しめた。
まず、冒頭の猿たちのダイナミックなアクション。 今さらどんなシーンを見せられてももはや驚きはしないが、あんなシーンを見せられるとワクワクする。CG + モーションピクチャー? 作り方(種明かし)に興味は無いが(というか知らない方が素直に楽しめる気がして知りたくない)。
そして中盤以降に目が行ったのは猿の泣きの演技。「目は口ほどにものを言う」わけで、名優は目で演技をするが、今回の猿は目でものを言っていた(笑)。目を潤ます繊細な演技。 「現代CGはここまで出来るんだ」と、これには感心した。
メインストーリーは、友情、家族愛、そして打倒悪の支配者、という散々使い古された流れだけど、それでも楽しめたのは、やはり基本設定の秀逸さなのだと思う。猿が人間に次ぐ知能だと誰も知っていて、
「どこかで進化の優劣が変わって、猿の知能が人類を上回っていたら地球はどうなってた?」
と考え出したら、興味が尽きない。
また、人間も知能が現代人と同等に発達してから少なくとも数千年の時間を経て現代文明を築いたのであって、猿が仮に突然変異で人並の知能を持ったとしても、いきなり自分達で文明機器を発明したり、製作することはできず、人類の遺物たる先端機器を手に入れようとする設定もリアルで説得力ある設定だと思う。
猿の中でも、人種ならぬ猿種、あるいは部族間の対立や諍いが有ることも、「人類でなくてもきっとそうよな」と納得してしまう。
コロナ以降ハリウッド大作欠乏が続く中で、気楽に楽しめる大作として、おススメできます。