「時間経過についての考証甘くない?」猿の惑星 キングダム cysteineさんの映画レビュー(感想・評価)
時間経過についての考証甘くない?
前作でのシーザーの死から何世代も後(あらすじ紹介なんかだと300年って言ってますが)の話という事で、色々と状況が飛んでの新作
話自体は面白い。
独裁王国を興し、他のエイプたちを支配下に置き、
失われた人間たちの科学技術を得てさらなる力を得ようとする王と、
その侵略によって故郷を奪われた一匹のエイプによる、奪われたものを取り返さんとする反逆の戦い。
そこに、実は知性を失わずにいた一部の人間たちの思惑が絡んで……
前作までの三部作では、なんだかんだでエイプにも友好的な人間の存在があったので、
予告編とかでは、今回のヒロインもその類かと思っていましたが……いやはや。
実のところ己の任務に徹し、徹頭徹尾主人公のノアを利用していただけで、
あくまでも人間たちの復権最優先の腹黒ヒロインだったとは意外でした
そして実は意外と多く残ってた知性を維持した人間たちが、衛星通信を復活させ、
バラバラに点在していた生き残りどうしで連絡を取れるようになり……という事で、
次回作以降での人間たちの反攻を予想させる結末
こうした意外性は面白かったですね。次回作以降への期待も膨らみます
ただどうしても気になったのが、人間たちの文明が滅んでからの時間経過
冒頭の朽ち果て、植物に覆われたビルの上での鳥の卵獲りのあたりでは、確かに人間たちが文明を維持できなくなってから数百年という時間経過を感じのに十分でしたが……
話が進むにつれ、
・割と綺麗な状態で残ってる書物
・ほとんど色褪せた様子のないショッピングセンター? か何かの壁の絵
・普通に部品がくるくる回るし、レンズも働いてる天体望遠鏡(本当ならサビや汚れで動かんし見えないでしょ……)
とかで違和感出てきて、王国に着くと、
・普通に知性残してローマ史教えてる人間
・普通にきれいな本棚と家具(そりゃ、あそこだけはちゃんと維持管理されてたって事なんだろうけどそれにしてもさぁ……)
・いくら地下シェルターとはいえ、最上部の天窓はガラス割れてて普通に外気(それも海辺の潮風)入って来てるのに、あまりにも綺麗に残ってるサイロ内
・普通にあっさりブレーカー上げただけで復旧する電源
・いくら地下&ロッカー内にしまわれてたとはいえ普通に機能するコンピューター
・普通に撃てちゃう銃器
そしてラストの、
普通に機能して使える記録デバイスだの、防護服だの普通に動くコンピューターだの、一見ボロいがちゃんと動くパラボラだの……
ねぇ、これ人間が文明の維持不可能になって何年経った設定なのよ?
ていうかあんな限定環境で、人類がまともに規律を保ったままン百年も集団維持できるものなの?
あらすじ通り300年経ってそうなのは最初の朽ちたビルだけで、
それ以外は一桁少ない30年かそこらしか経ってなくね? ってくらいのチグハグさ
確かに映画本編中では「何世代も後」って曖昧にしか言ってないからそこは幅持たせられるんだろうけどさぁ……
ということで、考証面でのツッコミどころが気になって気になって仕方なかったです。
単純な内容では4.5、そうした描写からのノイズで-1.0。トータル3.5ということで