「エイプVSエイプなので戦いは地味だが、壮大な新章の幕開けとしては及第点」猿の惑星 キングダム Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
エイプVSエイプなので戦いは地味だが、壮大な新章の幕開けとしては及第点
2024.5.10 字幕 イオンシネマ京都桂川
2024年のアメリカ映画(145分、G)
『猿の惑星』シリーズのリブート最新作
『猿の惑星 聖戦期』の続編で、シーザーが伝説になった数世代後を舞台にしている
監督はウェス・ポール
脚本はジョシュ・フリードマン&リック・ジャッファ&アマンダ・シルヴァー&パトリック・アイソン
原題は『Kingdom of the Planet of the Apes』
物語の舞台は、シーザー死後の数世代後を舞台にして、エイプたちはそれぞれのコミュニティを作って方々に散らばっているという状況になっていた
そのコミュニティのひとつ「イーグル族」は、成人になるとお供のイーグルを飼育するしきたりになっていて、その儀式のために、イーグルの卵を獲りにいく必要があった
若きエイプのノア(オーウェン・ティーグ)は、友人のアナヤ(トラヴィス・ジェフリー)、スーナ(リディア・ベッカム)とともに断崖絶壁にあるイーグルの卵を探しに出掛ける
何とか2人分の卵を見つけたものの、ノアの分が必要で、彼はさらに危険な場所へと足を踏み入れることになった
狩猟を終えて馬に戻った彼らだったが、馬の背にかけていた布がなくなっていることに気づき、その行方を追う
ノアは近づいてはいけないとされる「彼方の谷」に続くトンネルの手前で布を見つけるものの、それにはエコー(人間)の血と匂いが付着していたのである
映画は、「彼方の谷」からの来訪者によって、イーグル族の仲間たちが拿捕され、その闘争の末に父コロ(ニール・サンディライズ)が亡くなってしまう悲劇を描いていく
生き残ったノアは仲間の奪還を誓い、「彼方の谷」へと足を踏み入れるのだが、そこはプロキシマス(ケヴィン・デュランド)が支配している国で、彼は「伝説のエイプ・シーザー」の後継者であると嘯く
ノアは道中にて、シーザーの真の物語を知るオランウータンのラカ(ピーター・メイコン)に出会い、さらに言葉を話せない人間のノヴァ(のちにメイと判明、演:フレイヤ・アーラン)とも旅を続けることになる
そして、ノヴァには真の目的があり、プロキスマスが統治する場所には、人類を救うあるものが隠されていたのである
基本的なラインは「ノアの成長」であり、物語の根底には「シーザー伝説の既知と無知」というものが描かれている
イーグル族にはシーザー伝説がほとんど浸透しておらず、プロキシマスはそれを悪用していて、真の物語を知るラカは憤りを覚えている
シーザーがかつて人類と一緒に過ごしていたことは誰にも信じられないもので、人類とエイプは共存できるのか問題は一応は描かれていく
だが、本作は「共存」を模索する物語ではなく、排除前提で動いている人類の思惑というものが露見する
そんな中で、ノアと出会って時間を過ごしたノヴァだけは、その可能性を感じ取ることができるかもしれない、という感じに結ばれていた
これまでのシリーズを知っていた方が良いとは思うが、「たどり着いた星は猿が支配する地球だった」というパッケージでネタバレしているオリジナルすら見ていなくても問題がない
「完全新作」を謳っているが、シーザー伝説がちょっと残っているだけなので、『猿の惑星』の続編である理由もなかったりする
これまでに試行錯誤されてきたものはほとんど置き去りで、次のシリーズの主人公となるノアの覚醒の物語になっているので、これじゃないと思う人がいても不思議ではないように思えた
いずれにせよ、これまでのシリーズは大体見ているが、オリジナルの衝撃以外覚えていない私でも何とかついていけた
シーザーが伝説化していることはきちんと説明されるので、「これまで大変な戦いがあったんだね」とさえ思えればOKだろう
主人公サイドが似ているので混乱するが、あっさりと二匹が退場させられるので、途中からは問題ない
後半に合流した頃には顔つきも変わっているし、記憶にも残っているので、見分けつかない問題は前半だけで済むのは良かったと思う
今回はスケジュールの都合で通常字幕にしたが、特殊効果がある劇場でも問題ないのかなではないだろうか